名作うしろ読み プレミアム

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著者 : 斎藤美奈子
  • 中央公論新社 (2016年2月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120048197

名作うしろ読み プレミアムの感想・レビュー・書評

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  • 「名作うしろ読み」待望の続編!スタンダードな作品が多い印象だった前作に比べ、今回は幅がぐっと広がり、童話に時代物、SF、ミステリーetc…バラエティ豊かなラインナップとなっている。斎藤さん曰く、『名作うしろ読み』が「あっさり醤油味」なら、この本は「こってり豚骨味・トッピング全部のせ」風かもしれない…とのこと。確かにこってり感はあるが、斎藤さんの小気味よいツッコミは健在。そのお蔭で胸やけはしない(笑)
    ただ、なかなかの重量感ゆえか…図書館から借りてきて、嬉々としてすぐ読み始めたのに、なかなか読み終わらず。恋愛の古典もの、少年少女もの、おとぎ話の章までは、知っている作品も多く順調だったのだが、歴史、犯罪、耽美・幻想の章になってくると、「トッピング全部のせ」のずっしり感が…。初めて知る内容が多く、咀嚼し消化するのに時間を要した。読み流したくはなかったので、結構二度三度読みしたかな。『空気頭』『ドグラ・マグラ』『族長の秋』『フランケンシュタイン』など、改めて濃いめの作品群のあらすじを知って「うわぁ…」と思ったが、今回様々なトッピングの豚骨味を堪能できて非常に有意義であった。馴染みのある作品に対しても、「え、そんな解釈が出来るの!?」と新鮮な思いでした。名作って意外と、知ってるつもりで全然知らなかったなぁ、と。
    初めて知った作品で読んでみたいなと思えたのは、武田百合子『犬が星見た』。グロめ&不条理な作品が多かった後半の中で、何だか切ない想いに駆られた作品でした。そして、ラストの一文が印象的だったのは、エミール・ゾラ『居酒屋』、魯迅『阿Q正伝』かなぁ。エンディングにも実に様々な形があって、どんな着地をするかって結構重要だよなと改めて思ったのである。
    前作では全体的に、昔の男のだらしなさがとにかく印象的だったのだが、今回は古今東西の人間の心の裏側の複雑さが際立ったような。見たくないもの見ちゃった、的な。それでも、名作って骨太な作品ばかりだよなと実感しました、さすが「プレミアム」!新聞連載は終わってしまったようですが、またどこかで復活して欲しいです。

  • 2016 0620読了

  • 前作に比べて翻訳物や児童文学、SFやミステリや歴史ものなど、ジャンルが幅広くなって、私が読んだことのある本も結構あったけれど…。
    だけどやっぱり最後の一文で作品がわかるのって、登場人物の名前が出てくるものだ。

    “けれども、その悲しみも美しい妻と子どもたちですぐなぐさめられました。”
    これ、なんの最後かわかりますか?
    「眠りの森の美女」ですって!
    王子のお母さんは人食い人種だったんですって!
    最後の一文どころか、全面的に知らなかったよ。
    白雪姫の方は知っていましたけど。(グリムとペローで違うけれど)

    自信を持って答えられたのはこれ。
    “極楽ももう午(ひる)に近くなったのでございましょう”
    「蜘蛛の糸」ですね。
    学校で習いました。

    “南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。難有い難有い。”
    これは書き出しがチョー有名な「吾輩は猫である」の最後の一文。
    これで、猫は水瓶に落ちて死んだと思っていたけど、最後の一文は猫のモノローグだからまだ死んでない、と。
    この後救出されているかもしれないと言われれば確かに…。
    ああ私、今まで何を読んでいたんだ!と愕然とするほど読んではいないので、ご心配なく。

    一文の紹介だけではなく、作品の解説、作者の紹介等、見開き2ページでこの充実感。
    “……ったく、……この、未熟者めが!”
    は、チェーホフの戯曲「桜の園」から。

    たとえ未熟者であることがあからさまになろうとも、やっぱこの本は面白い。
    最後の一文といえども気を抜かないで読もうと改めて思った次第。

  • 前作「名作うしろ読み」の方が面白かったような気がする。

  • 図書館で借りた本。8つのテーマ書いてあり1つの作品に2ページ。約130話分。ラストの言葉を記載しながら1話づつ簡潔に内容をまとめて著者の経歴なども紹介している。日本三大奇書やSF作品の有名処、歴史やミステリー、社会、ファンタジーとジャンルも満載で難しく敬遠してた本もたくさん紹介していた。

  • 世界文学のラスト一文から読み解く。
    テーマは8種類。
    危険な恋愛、少年と少女の部屋、おとぎ話の迷宮、歴史は劇場、犯罪のあとさき、現代の奇譚、旅こそ人生、社会と人間。

    おとぎ話の迷宮が興味深かった。
    白雪姫のラストが、真っ赤に焼けた靴をはかされ死ぬまで踊り続ける罰だったのは知っていたけど、ペローの眠りの森の美女については知らなかった。めでたしめでたし後に人食い姑が登場するなんて、想像しただけでも恐怖で震え上がる。こちらが物語のメインになっていてもいいくらいだろうに。

  • これは「名作うしろ読み」の「姉妹編」だそうで、童話や時代小説やミステリーやSFや、まあ実に幅広く様々な本のラストが取り上げられている。正直に言って、前作の方がおもしろかったように思うが、タイトルは知ってるけど読んだことがないという本が次々出てきて、へぇ~そういう筋なのかと参考になった。「赤と黒」とか「クレーヴの奥方」とか「耽溺」(岩野泡鳴)とか皆さん読みました?

    前作は、古今東西の「名作」に著者が遠慮のない鋭いツッコミを入れていて、大笑いさせられた。今回はちょっと笑いどころが少ないが、その中で気に入ったのを。

    ナボコフの「ロリータ」を評して、「『源氏物語』や『不思議の国のアリス』にも刻印された嗜好性を、とことん煮詰めた奇書。少女にとってはサイテーのオヤジだが、手記だけあり、文学という病理の研究にはうってつけ」。確かに。

    「若草物語」になんとなく感じていたモヤモヤをずばっと。「貧しいという設定のわりには十分ステキな暮らしに思えた印象はいまも変わらない」。そうそう、田舎の子どもには、西洋のお話はビンボーさえオシャレに見えたのだったなあ。

    谷崎の「痴人の愛」は、「源氏物語」や「マイ・フェア・レディ」と違って「わがままなナオミに譲治が負け続けるのが、この小説のポイント」と指摘されている。譲治のような上京青年は近大文学の典型的人物像だけど、他の主人公の上昇志向(成功するかどうかは別にして)に逆らうように、彼は女に溺れていく。このことについて、「『知識人』に偏重した日本文学への反逆の気分が込められている気がしないでもない」とある。「しないでもない」というのが可笑しい。

    コレットの「青い麦」が出てきて、あーっ、そうそうあったあった!定番だったよ「青い麦」、爽やかなような隠微なようなこの語感、すっかり忘れてた!と懐かしかった(「青い性」なんて言い方も死語?)。「一歩間違えばソフトポルノにもなりかねぬ事態を、小説はあくまで詩的な言葉でつづっていく」「『たけくらべ』なども連想させつつ、性がからむあたりがおフランス」、うんうん、確かにそうだった。今やこの程度では中学生も読まないか。

  • -

    「……ったく、……この、未熟者めが!」さて、この文章は何という作品のラストでしょう?古今東西の名作137冊をラストの一文から読み解く、丸わかり文学案内。名作は?お尻?を知っても面白い!

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