彼女に関する十二章

  • 409人登録
  • 3.64評価
    • (15)
    • (69)
    • (51)
    • (8)
    • (0)
  • 73レビュー
著者 : 中島京子
  • 中央公論新社 (2016年4月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120048449

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

彼女に関する十二章の感想・レビュー・書評

  • 50歳の主婦聖子の独特な脳内独白が面白くグイグイ物語に引き込まれていく。50歳になってもキュンとしたり、悩んだり、驚いたり、色々あって人生は楽しい♪

    そうそうわかるよ〜と肩を叩いて聖子と笑い合いたいところもあれば、えっそれはちょっとと聖子にダメ出ししたくなるところもあった。初恋の人の息子にドキッとしたり、元ホームレスのおじさんに気を持たせたり…。私が社会から離れて20年以上経ち主人以外の男性と関わるといえば、宅配便のお兄さんくらいだからちょっと大袈裟に考えてしまうのかも(笑)

    1番共感できたのが「シャンプーをいくつ変えても髪型が決まらなくなった」という点。これにはものすごく頷いた。45を過ぎた頃から年々ひどくなっていくような気がしてこの先恐ろしい。とにかく潤いがなくなるのだ。

    お気に入りの章は「結婚と幸福」「五十歩と百歩」「愛とは何か」「この世は生きるに値するか」。哲学的なこともあり色々考えさせられました。
    だけど、マモさんの言う通り「明日のことなんて、誰にもわかりゃしない」のだから毎日毎日自分らしく面白おかしく歳をとっていくのもいいなって思える作品でした。

  • 伊藤整の60年前に書かれたエッセイがベースとなっているこの物語。
    すいません、伊藤整って聞いたことも読んだこともないんですけどベストセラーになったエッセイなんですね…

    それはさておき、50歳になった普通の主婦聖子さんが主人公…といろんなレビューでも説明されている。
    確かに50歳で、かつてはバリバリに働いていた女性で今はパート勤務。夫と社会人になった息子と言う設定はどこにでもいそう。

    でも、この聖子さんはファンタジーの世界の住人だなぁと思ってしまう。
    本来この年代の女性は様々な悩みや問題を抱えて辛いことも多かろう。
    それが中島京子の筆にかかればどうだろう。
    あっという間におとぎの国の主婦に変身してしまう。
    だってとぼけている風だけど会話の多い友達のような夫もいるし、仕事をオファーされる能力も持ってるし、自分に想いを寄せる男性もいるじゃないか!
    贅沢だよ、聖子さん!
    この現実からちょっとだけ離れた世界がなんとも心地良い。
    中島さんの独特の間合いとユーモアたっぷりの会話。いやみの全くない登場人物たち。

    「長いお別れ」でも感じたことだけれど、現実世界に限りなく近い世界を描くことによって、深い共感と心地よさを感じられるのだろう。

    ああ、やっぱり中島さんはすごい。
    読んでいて本当に面白かった。

  • 50歳を迎えた聖子さん。
    呑気な夫とののんびりした日常の中、彼女ができないと心配していた息子がちょっと変わった女の子と同棲してることが分かったり、初恋の人の忘れ形見にときめいたり、新しい職場で知り合った男性に苛立ったり、小さな出来事に翻弄される。

    同世代の聖子さんに共感しながら読みました。
    同じテーブルでランチでもしながら、そうそう、分かる~と話しているような気分になり、とても楽しい読書でした。

    聖子さんがとても魅力的。
    笑いのセンスも冴えていて、とても頭のいい人だなと思いました。
    著者ご本人がこういう方なのかもと思わされますが、どうなのでしょうか?

    聖子さんとお友達になりたいです。

  • 熟年世代の仄かな淡い恋心がピュアに描かれていて好き。
    恋と呼べるのかどうかもわからないけれど、
    生々しく発展せずに、いい感じのところでぴたりと終わるのもいい。
    いろんな形の人生や恋愛があって、それでいいんだ!
    と素直に前向きな気持ちになった。

  • 伊藤整『女性に関する十二章』がモチーフ。主人公は、一人息子が家を出て、週三のアルバイトをしながら夫婦二人の生活を送っている、そろそろ月のものもあがりそうな気配の聖子。

    体を冷やさないように温かいお茶を飲みながら、夫の仕事に絡む本を読んでみたり、初恋の人の息子にときめいたり、新しい仕事にチャレンジして新しい出会いを体験してみたり、ごく普通の主婦が穏やかに歳を取っていくとこんな風になるのだろうな、という感じの小説です。
    本人にとってはもちろん穏やかなことばかりではないのですが、近頃殺伐とした本ばかり読んでいたせいか、読後はほんわかとなりました。

    作中にある中川中也の詩が、今の自分の状況にぴったりでどきりとしました。

  • 50代の女性のありがちな日々を、伊藤整のエッセイを用いてさらりと綴った作品。

    取り上げているのは、更年期による体調の変化や、自立した子どもの心配、仲は悪くはないけれど時々いらっとする夫との会話、初恋相手の死とその息子とのかかわり、パート先での出来事などなど。どれも50代の女性にふと訪れそうな、身近なことばかりだ。
    それらは、ともすると思い切り深刻な問題になりそうなのだが、主人公の性格もあってふわりとかわしているところがいい。
    一般的にマイナスイメージばかりがクローズアップされて、厄介なお年頃と考えがちだが、こんな風にうまく乗り越えられたら人生楽しめるかも。

  • 更年期世代。
    これからやってくるのね、自分にも。
    息子はいないから、息子のことでヤキモキすることはないけれど、夫や社会との関わりはこんなものなのかもと考えたり……。
    その日がきたら、あたしも豆ごはんを炊こう!

  • 聖子さんがあまりにも「可愛いおばさん」過ぎて、ちょっと乗りづらかったなあ。

    今流行りの言い回しなどもうまく取り入れており、全体に明るくユーモラスで、読んで楽しいとは思うけれど。
    まあ、暗くなっていく中高年が多いから、フィクションならこれくらい明るいほうがいいか。

  • 50歳の聖子さんの脳内独白をセキララに綴ったエッセイのような物語。
    年齢が近いせいか殆どの内容に共感した。
    更年期によるモヤモヤ感や虚しさ、思いがけず快適な老眼鏡(ってことは私もそろそろ?!)、シャンプーを変えても決まらなくなった髪型等々、分かる分かると頷くことばかり。

    淡い恋心にドキドキしたり、息子の彼女がもさっとした眼鏡女子だったことにショックを受けたり、暢気で楽天家の旦那様にヤキモキしたり、と何かと慌ただしい聖子さんは可愛くて微笑ましい。

    自分の子供時代を知る人がどんどん少なくなってきてるって寂しいね…。
    出産は赤ちゃんに生まれてくるチャンスをあげること、という考え方には目から鱗だった。

    これが等身大の50歳女性の日常。
    今日と明日は違う一日で予測不可能だから面白い。
    人生まだまだこれから楽しめるはず、と元気が貰える物語だった。
    続編希望!

  • 冒頭のフェミニンすぎるモノローグにちょっと戸惑うが臆せず読み進めて大正解の中島ブランド。
    ふとしたことから伊藤整の「女性に関する十二章」を手にすることになったアラフィフ主婦の日常がそれをきっかけに変化して行くストーリー、と言っても波風が立つわけでもなくウィットある文章で淡々と読み進めれるわけだがこれが殊更に奥行が深く人生訓なるものが満載。
    毎日は平凡そうに見えて実は瞬間瞬間は激動の出来事の連続、そう思えば明日は何が起こるか楽しみでないはずはない…そんなことがさらりと語られる小説が面白くないはずはないではないか。
    タイトルは女性向けだが草臥れたオジサンにもぜひ

  • 戦前から戦後にかけて活躍した小説家・伊藤整のエッセイ「女性に関する十二章」をモチーフに書かれた物語。この本はもちろん、伊藤整さんは(名前は知っていても)一冊も読んだことがないのですが。。。
    主人公は50歳の主婦・聖子。こちらも十二章から出来ていて、聖子さんの抱えるなんとも楽しいモヤモヤ(息子に彼女が出来ないと悩み、できたと思ったらちょっと妙な彼女で悩み。初恋の男性の息子にときめいたと思ったら、お金を使わない生活を目指す男性に好かれたり・・)と伊藤整の「十二章」が絡み合いながら話が進みます。
    しかし毎度のことながら、中島京子さんはなんか可笑しい。
    ホワリと温かく、クスクス笑える本でした。

  • 思ったより全然軽くて明るくて心が軽くなる本だった。時にはこういう本もいいな。

  • 女っ気のない大学院生の一人息子のことが心配な50目前の母であり妻である女性聖子(昔のあだ名はブリちゃん)のお話。夫はあまり細かいことにこだわらない感じのライターで、自身は割と長い期間、週の半分くらい同じ事務所に経理系の事務仕事の手伝いに行く生活。あるときその事務所の紹介でNPOの経理仕事を手伝うことになり、なんとも独特で不思議な、初老の男性「調整屋さん」と知り合う。請け負ったコラム的なもののの執筆テーマがワンマン経営者のジイサンの希望でひどく偏ったものになりそうで頭を抱える夫と、予告無く彼女を連れて帰省してきた息子、愛想のないその彼女、と、妻・母として家庭の潤滑油的な脇役的な立場でそれぞれに向き合うのが主人公の日常。そこに時折、聖子が主役となる職場での調整屋さんとのエピソードと、むかしむかしの初恋の人(故人)の息子とのやりとりが挟まって、とてもいいアクセントになっていました。大変面白かったです。今回の元ネタ『女性に関する十二章』について全く知らずに読みましたが、問題なく楽しく読めました。

  • 読み終わってからじわじわ感動する、あとから来る系の1冊。聖子さん齢50歳。自身では変化のない人生だと思っているけれど、どっこい色々な事がこれでもかとやってくる。本当に人生って分からない。それが聖子さんの言葉を借りて淡々と書かれ穏やかで優しくて好感が持てる。中原中也の『頑是ない歌』の引用が的確。上手に溶け込んでいる。「私にとって最も美しい滅亡の物語は、淡くて遠くにある時間なの。それはたとえば、十二の冬の夕べの、港の空の汽笛の湯気みたいな細やかな揺らぎなんだわね」聖子さん、読者とシンクロし物語は美しく終る。

  • 同世代の女性が、仕事したり、ハプニングが起こったり、子供の成長など、毎日色々ありながらも生き生きと生きているのがすがすがしいと思える1冊でした。
    同世代でありながらもまだ我が家は子供が中学生なので、数年後の心情の参考にもなりました。
    夫婦の会話も本の話ができてうらやましいわ!
    子供が成長すると、こうやって夫婦だけになっちゃうのねと現実はなかなか寂しいものですね。自分が聖子さんみたいにもがきながらも子離れできるか不安です・・・

    昔の女性の生き方とリンクさせている設定が新しいと思いました。
    やや文章が読みにくい感じもあったので、★3つ。

  • 大学の同級生守と結婚して25年、50歳になる宇藤聖子は一人息子の勉が中学に入った年から週3日税理士事務所で働く。彼女の日々の生活と夫が会社の創業者のPR誌に頼まれた連載の元にする60年前の女性論「女性に関する十二章」の彼女なりの考察

    ◆年齢は近いはずだけどイマイチ入り込めなかったな。しかし50歳の旦那さんが、奥さんが仕事増えることに対して心配することがそれだけとか「はぁ?」無愛想な息子の彼女も「はぁ?」種撒く人の息子も「はぁ?」もう、謎だらけでちょっと消化試合

  • いくつになっても人は惑うのかー
    そうだろうなー
    そして胸に内にある「なんてことない」が「大事」になったり、「ときめき」が「どうでもいい」になったり。
    外側からは何も変わっていないけれど、中身は刻々と変わっているんだろうな。

  • 参考文献、読んでみたいな。
    守さんの解釈みたいな内容なのか確かめたい。

  • 平成29年4月30日読了

  • 常識とユーモアのセンスもしっかり持ち合わせている50歳の聖子さん。大いに共感しつつもちょっぴりうらやましかったりして…
    過去を悔いたり、未来を憂えたりするより、今を楽しもう!
    「今日と明日は違う一日で、それぞれ新しいことを体験する、それを知るだけでも意味はあるんだ」に納得。この世は生まれてくるに値する。

  • いくつかの非日常的な出来事を通じて、主人公の宇藤聖子が思い、感じ、考えていく様(=脳内独白)がなにやらリアルに描かれていて思わず引きこまれます。60年以上前の婦人公論に連載された「女性論」エッセイをベースとした章構成もマル。

  •  ソレテンチハバンブツノゲキリョニシテコウインハヒャクタイノカカクナリ
     「婦人公論」の伊藤整「女性に関する12章」を下敷きに、中島さんのこの作品は始まります。伊藤さんの文章に現在風の解釈を次々加え、50代の夫婦の暮らしや、奥様のちょっとウキウキした日常を楽しく描いた作品でした。

  • 50代の主婦聖子の淡々とした日常の中に起こるちょっとした出来事のあれこれ。脳内の独白が共感できたり笑ったり。

  • 2017.1.23

    〈自分のエゴも他人のエゴも肯定する〉キリスト型の愛
    〈他人のために自分のエゴを否定する〉孔子様型の愛

  •  家族、小さな社会単位。生まれる家を選ぶことはできない。でも自分の家族を作ろうとすることはできる。それはパートナーとの関係から始まる。それは自分がどう生きようとするか、からはじまる。
    何をどう感じるか、それは一人一人違う。隣の人にもそれぞれの感じ方がある。
     それぞれの感じ方があり、折り合うところを見つけていくということでいい。昨日と違う今日、それを感じるだけでも生きている意味はある。
     「○○のために」という生き方は美しいように思えるが危険でもある。それは家族のために、でもそう。
     自分を大切にすることは人を大切にすること…。
     キリスト教的な愛と孔子的な愛、というのが私にはよく理解できなかったな。

全73件中 1 - 25件を表示

彼女に関する十二章を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

彼女に関する十二章を本棚に「積読」で登録しているひと

彼女に関する十二章の作品紹介

どうしたって違うこれまでとこれから…更年期世代の感慨を上質のユーモアに包んで描く。

ツイートする