彼女に関する十二章

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著者 : 中島京子
  • 中央公論新社 (2016年4月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120048449

彼女に関する十二章の感想・レビュー・書評

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  • 50歳の主婦聖子の独特な脳内独白が面白くグイグイ物語に引き込まれていく。50歳になってもキュンとしたり、悩んだり、驚いたり、色々あって人生は楽しい♪

    そうそうわかるよ〜と肩を叩いて聖子と笑い合いたいところもあれば、えっそれはちょっとと聖子にダメ出ししたくなるところもあった。初恋の人の息子にドキッとしたり、元ホームレスのおじさんに気を持たせたり…。私が社会から離れて20年以上経ち主人以外の男性と関わるといえば、宅配便のお兄さんくらいだからちょっと大袈裟に考えてしまうのかも(笑)

    1番共感できたのが「シャンプーをいくつ変えても髪型が決まらなくなった」という点。これにはものすごく頷いた。45を過ぎた頃から年々ひどくなっていくような気がしてこの先恐ろしい。とにかく潤いがなくなるのだ。

    お気に入りの章は「結婚と幸福」「五十歩と百歩」「愛とは何か」「この世は生きるに値するか」。哲学的なこともあり色々考えさせられました。
    だけど、マモさんの言う通り「明日のことなんて、誰にもわかりゃしない」のだから毎日毎日自分らしく面白おかしく歳をとっていくのもいいなって思える作品でした。

  • 伊藤整の60年前に書かれたエッセイがベースとなっているこの物語。
    すいません、伊藤整って聞いたことも読んだこともないんですけどベストセラーになったエッセイなんですね…

    それはさておき、50歳になった普通の主婦聖子さんが主人公…といろんなレビューでも説明されている。
    確かに50歳で、かつてはバリバリに働いていた女性で今はパート勤務。夫と社会人になった息子と言う設定はどこにでもいそう。

    でも、この聖子さんはファンタジーの世界の住人だなぁと思ってしまう。
    本来この年代の女性は様々な悩みや問題を抱えて辛いことも多かろう。
    それが中島京子の筆にかかればどうだろう。
    あっという間におとぎの国の主婦に変身してしまう。
    だってとぼけている風だけど会話の多い友達のような夫もいるし、仕事をオファーされる能力も持ってるし、自分に想いを寄せる男性もいるじゃないか!
    贅沢だよ、聖子さん!
    この現実からちょっとだけ離れた世界がなんとも心地良い。
    中島さんの独特の間合いとユーモアたっぷりの会話。いやみの全くない登場人物たち。

    「長いお別れ」でも感じたことだけれど、現実世界に限りなく近い世界を描くことによって、深い共感と心地よさを感じられるのだろう。

    ああ、やっぱり中島さんはすごい。
    読んでいて本当に面白かった。

  • 50歳を迎えた聖子さん。
    呑気な夫とののんびりした日常の中、彼女ができないと心配していた息子がちょっと変わった女の子と同棲してることが分かったり、初恋の人の忘れ形見にときめいたり、新しい職場で知り合った男性に苛立ったり、小さな出来事に翻弄される。

    同世代の聖子さんに共感しながら読みました。
    同じテーブルでランチでもしながら、そうそう、分かる~と話しているような気分になり、とても楽しい読書でした。

    聖子さんがとても魅力的。
    笑いのセンスも冴えていて、とても頭のいい人だなと思いました。
    著者ご本人がこういう方なのかもと思わされますが、どうなのでしょうか?

    聖子さんとお友達になりたいです。

  • 女っ気のない大学院生の一人息子のことが心配な50目前の母であり妻である女性聖子(昔のあだ名はブリちゃん)のお話。夫はあまり細かいことにこだわらない感じのライターで、自身は割と長い期間、週の半分くらい同じ事務所に経理系の事務仕事の手伝いに行く生活。あるときその事務所の紹介でNPOの経理仕事を手伝うことになり、なんとも独特で不思議な、初老の男性「調整屋さん」と知り合う。請け負ったコラム的なもののの執筆テーマがワンマン経営者のジイサンの希望でひどく偏ったものになりそうで頭を抱える夫と、予告無く彼女を連れて帰省してきた息子、愛想のないその彼女、と、妻・母として家庭の潤滑油的な脇役的な立場でそれぞれに向き合うのが主人公の日常。そこに時折、聖子が主役となる職場での調整屋さんとのエピソードと、むかしむかしの初恋の人(故人)の息子とのやりとりが挟まって、とてもいいアクセントになっていました。大変面白かったです。今回の元ネタ『女性に関する十二章』について全く知らずに読みましたが、問題なく楽しく読めました。

  • 熟年世代の仄かな淡い恋心がピュアに描かれていて好き。
    恋と呼べるのかどうかもわからないけれど、
    生々しく発展せずに、いい感じのところでぴたりと終わるのもいい。
    いろんな形の人生や恋愛があって、それでいいんだ!
    と素直に前向きな気持ちになった。

  • 伊藤整『女性に関する十二章』がモチーフ。主人公は、一人息子が家を出て、週三のアルバイトをしながら夫婦二人の生活を送っている、そろそろ月のものもあがりそうな気配の聖子。

    体を冷やさないように温かいお茶を飲みながら、夫の仕事に絡む本を読んでみたり、初恋の人の息子にときめいたり、新しい仕事にチャレンジして新しい出会いを体験してみたり、ごく普通の主婦が穏やかに歳を取っていくとこんな風になるのだろうな、という感じの小説です。
    本人にとってはもちろん穏やかなことばかりではないのですが、近頃殺伐とした本ばかり読んでいたせいか、読後はほんわかとなりました。

    作中にある中川中也の詩が、今の自分の状況にぴったりでどきりとしました。

  • 50代の女性のありがちな日々を、伊藤整のエッセイを用いてさらりと綴った作品。

    取り上げているのは、更年期による体調の変化や、自立した子どもの心配、仲は悪くはないけれど時々いらっとする夫との会話、初恋相手の死とその息子とのかかわり、パート先での出来事などなど。どれも50代の女性にふと訪れそうな、身近なことばかりだ。
    それらは、ともすると思い切り深刻な問題になりそうなのだが、主人公の性格もあってふわりとかわしているところがいい。
    一般的にマイナスイメージばかりがクローズアップされて、厄介なお年頃と考えがちだが、こんな風にうまく乗り越えられたら人生楽しめるかも。

  • 更年期世代。
    これからやってくるのね、自分にも。
    息子はいないから、息子のことでヤキモキすることはないけれど、夫や社会との関わりはこんなものなのかもと考えたり……。
    その日がきたら、あたしも豆ごはんを炊こう!

  • 聖子さんがあまりにも「可愛いおばさん」過ぎて、ちょっと乗りづらかったなあ。

    今流行りの言い回しなどもうまく取り入れており、全体に明るくユーモラスで、読んで楽しいとは思うけれど。
    まあ、暗くなっていく中高年が多いから、フィクションならこれくらい明るいほうがいいか。

  • 主婦の聖子が、パート先で知り合った元ホームレスの「調整人」や、息子の彼女、そして夫との関わりの中で様々に感じた事を描いている。伊藤整の「女性に関する十二章」をモチーフにしている。聖子が考える女性像や
    男性像がとても興味深くて面白かった。

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どうしたって違うこれまでとこれから…更年期世代の感慨を上質のユーモアに包んで描く。

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