彼女に関する十二章

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120048449

作品紹介・あらすじ

どうしたって違うこれまでとこれから…更年期世代の感慨を上質のユーモアに包んで描く。

感想・レビュー・書評

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  • 1人の女性の何気ない日常ではあるけれども、しみじみと共感を誘う優しい一冊だと思いました。
    「ちええ」には笑っちゃいました。

  • 中年の女性の心理がリアルに表現されている。とても素敵な性格の主人公で、読んでいて楽しかった。ユーモアセンスも抜群に良い。

  • 自分と年齢や悩みが近い主人公に心惹かれた。
    中原中也や、伊藤整も読んでみたくなった

  • 結婚と幸福
    男性の姿形
    哀れなる男性
    妻は世間の代表者
    五十歩と百歩
    愛とは何か
    正義と愛情
    苦悩について
    情緒について
    生命の意識
    家庭とは何か
    この世は生きるに値するか

    六十年前のベストセラー伊藤整著『女性のための十二章』より
    ◦独身を不幸と考え、結婚を幸福と同一だと考える。
    ◦近代の男性と女性は、絶えざる自己犠牲を必要とする結婚生活を円満に営む事は出来ない。
    ◦男の目に留まるために必死で流行の服で身を繕う女、髪をひっつめにして女の権利を訴えて闘う色気のない闘士と絶望的に女性を二分。
    ◦初恋の相手の印象を女性の絶対美として記憶していて、それが再現された時のみに美を感じる。
    ◦「まっ、いっか」は円満。「もう耐えられない」は円満ではない。
    ◦イエス・キリストの「愛」と孔子の「愛」
    ◦情緒に流されたら危険。日本的情緒、我儘は抑える。大義のためには自分を犠牲に。権利より義務を尊ぶ。
    ◦マーガレット・ミッチェル「明日は明日の風が吹く」
    ◦聖書「明日のことを思い煩うな。今日の苦労は、今日一日にて足れり」
    ◦内田百聞「明日できることは、明日やったほうがいい」
    などなど。

    初恋の人の息子にその人の面影を見たり、仕事先で出会った訳ありの年上男性、片瀬との時間や語らいがあったり。思いがけない出会いもそれ以上に発展する事のないほのかな感じがいい。聖子さんには少し惚けているようで、伊藤整の『女性のための十二章』を的確にわかりやすく解説する夫の守さんがよく合っている。

    五十代に差し掛かり、子供は自立し配偶者と二人暮らしになったとしても、まだまだ学びたい、学ばなければはある。男だ女だと振り回されず、時代を受け入れ、要らない事は上手に避けながら自分を磨き、夫婦は互いを尊重し合いながら仲良く。
    仕事もプライベートも充実した聖子さんに「女性」「彼女」の十二章ともに学んだ。

  • R5/01/09

  • 50歳になった聖子が語る日々の出来事。
    伊藤整のエッセイ「女性に関する十二章」を元に繰り広げられる様々な出来事がとても軽やかに語られていました。
    面白い!

  • 主人公と同じ歳のためか、そうそう!と思うことがたくさんありました。体調だけではなく、気持ちの変化も感じるお年頃。更年期にあまりいいイメージはなかったけれど、人生の秋、実りと変化の時期だと気がつきました。今の年齢を楽しもうと思えた一冊でした。

  • 50歳で夫と二人暮らし、フルタイム勤務の聖子。

    関西に暮らす一人息子とその彼女
    フルタイムの勤務先の人たち
    初恋の人が亡くなり、その息子の穰

    あらゆる人との繋がりと『女性に関する十二章』について綴られた一冊。

    人間は正しいことばかりして生きられない。


  • 2022.4.15-512

  • 「他人のエゴを認めて、自分のエゴも肯定する」文化と「他人のために自分のエゴを否定する」文化。西洋と東洋は根本が違っている、と説く。昨今のCOVID-19の対応にもよく表れているような気がした。

    自分がマスクをしたくないから、他人もその”エゴ”を認めようとする西洋社会と、他人が感染することを防ぐために、自分のエゴを抑えて皆でマスクをする日本。必ずしもどちらが良いかという話ではないけど、日本の方が窮屈、圧力がかかりやすいような気がする。
    そして、その延長上に戦争への道(軍事化)があると考えると、恐ろしい。

    伊藤整の「女性に関する12章」は1954年上梓。当時は、東京オリンピックの10年前。ちょうど『ALWAYS 三丁目の夕日』の頃でしょうか。日本中が貧しかったけど、希望にあふれていたのでしょう。それに比べて、本書上梓の2016年は、…。勉の同棲相手の妊娠に際して、「この世って、生まれてくるに値する」と確信を持って言えない主人公に同意する。60年間で、今日なら68年か、私たち日本は、便利さのために希望と自信を失ってしまったのでしょうか。
    そして、女性にとって生きやすい時代は、まだまだまだ、遠い先かも。

    1つだけ変わらない点がある。「全家庭の奥様方の内、その92%は離婚を希望しております」

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著者プロフィール

1964 年東京都杉並生まれ。小説家、エッセイスト。出版社勤務、フリーライターを経て、2003 年『FUTON』でデビュー。2010 年『小さいおうち』で第143 回直木三十五賞受賞。同作品は山田洋次監督により映画化。『かたづの!』で第3 回河合隼雄物語賞・第4 回歴史時代作家クラブ作品賞・第28 回柴田錬三郎賞を、『長いお別れ』で第10 回中央公論文芸賞・第5 回日本医療小説大賞を、『夢見る帝国図書館』で第30 回紫式部文学賞を受賞。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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