ストレンジャー・イン・パラダイス

著者 :
  • 中央公論新社
3.34
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本棚登録 : 412
感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120048609

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5

    何もない、ただ美しい自然が残るだけの限界集落〝晴太多〟
    地域活性化させたいと移住者を募集する。
    しかし、やってきたのはなんだかワケありな人々ーー。

    観光地も名物産業も娯楽も学校も何もない山奥のほぼ限界集落〝晴太多〟
    そんな故郷を再生する為、町役場で働くあゆみは移住者を募集する。
    そんなあゆみと、離婚して帰ってきた綾那や町興しの企画に乗って、
    東京から移って来たITベンチャー企業のメンバー3人橋本・佐紀・友星。
    彼らが暮らすシェアハウス晴太多宿の食事の切り盛りをするヒサばぁちゃん。
    自称ニート・旅人の春本。
    家出してきた革職人のカップル。
    何だかワケありなストはぐれ者(ストレンジャー)達…。

    あゆみを始め、皆心に傷を抱えてたり闇を抱えてたり傷付いてたりする。
    でも、それを美しい自然が癒してくれたり自分でも変わろうと頑張ってる。
    あゆみがとっても良い人で、晴太多の為に頑張ろうと思ってるのが凄く伝わって来る。
    そして、そんなあゆみを支えたいと周りの人が自然と応援してるのも良かった♪
    地元のヒサばぁちゃんと、新しくやって来たメンバーとの緩やかな交流も
    とっても微笑ましかった。
    小路さんらしさ満載で、優しい人達。
    温かい雰囲気に包まれてほっこりほんわかしました。
    ウルトラセブンライダーの海棠社長恰好良くって面白かった~(笑)

  • 晴太多と言う限界集落を何とか立ち直らせようとする人々の物語。悪意のある登場人物はなく、全体的に温かい雰囲気に包まれている。主人公あゆみのトラウマの部分は、説明がちょっと分かりにくい気もするが、気軽に読めて、ほっとする1冊。

  • 限界集落再生の物語。
    今の日本の山村部がかかえるさまざまな問題とその解決への一つの提案と再生を、爽やかに描く。
    「こんな風に上手くいかないよ」という感想もあるかもしれないけど、そういう意見には「うまくいかないかもしれないけどうまくいくかもしれない」と答えよう。
    やってみなきゃわかんないのだ。そして「うまくいなかいかもしれない」チャレンジを見守る度量があるかどうか、で限界集落問題の一つの可能性を生かすかつぶすかが決まるのかもしれない。
    登場人物たちがみんないいひとで読んでる私の心の中も爽やかさでいっぱいになる。

  • 自分の力や得意なことを発揮できる場所があるって素敵。

  • 小路幸也の、こういう空気が大好き。
    リアルかファンタジーか、といったらきっとリアルなのに、登場人物たちは100%小説のなかの住人だ。

  • 町おこしをする人々の物語。こまごまとした問題が起こったり、それぞれに人たちにも傷があったりするのだけれど。ほっこりほんわかムード前回の一冊です。
    登場するキャラクターがみんなカッコよくって。たしかに田舎の町は不便ではあるのだろうけれど。こんな環境ならちょっといいかも。

  • 心がポキリ、と折れるような出来事や体験から地元へ戻ってきた人も生まれてからずっとこの土地を離れたことがない人も、この街を住み良い街にしたい、過疎化を止めたいと思う気持ちは同じようはず。またその活動を快く思わない人だっているけれども。
    都会では縮こまっていた心と身体が少しずつほぐれてきた人がいて、放浪し過ぎて自分の居場所がわからなくなってしまった人がいて。

    「ただいま」と言える場所は何も産まれた街だけじゃなくてもいい。「おかえり」って迎えてくれる笑顔がその人の故郷だよ。

    謎の特撮ライダー(バイクまでかよっ!)に超絶会いたいーーーっ*\(^o^)/*

    恋の行方も気になります。

  • 2023.0206

  • ★問題として存在する以上は、それを解く方法は、解決策は必ずあるもんなんだ。(p.200)

    ・ほぼ限界集落「晴太田(はれただ)」を盛り上げよう!! アニメ「サクラクエスト」などの町おこしお仕事系に見えますが、そこらへんはサラッとしているので、どちらかといえばそれぞれの人にとって心地よい人間関係と居場所を見つけるという小説でしょう。
    ・小路幸也さんらしく「すべてが(とりあえずは)うまくいく」というある意味ファンタジー小説でもあります。正月など心地よくなりたいときなんかに向いています。
    ・語り手が順繰りに変わっていくのも小路幸也さん流ですね。

    ■語り手(語り順に)■
    【土方あゆみ】晴太田いきいき課に所属しているが公務員ではない。癒やし系お姉さんという雰囲気。晴太田で生まれ育ったが東京のIT企業で広報をしていた。社長夫人になる予定もあったがいろいろあって辞めて戻ってきた三十歳。
    【野宮綾那】あゆみの幼馴染。目の覚めるような美女。東京で起業した男の妻となってセレブな生活をしていたがいろいろあって離婚して戻ってきた三十歳。料理は苦手だがパン作りだけは得意。
    【山下友星/やました・ゆうせい】スリーフィンガー社員。プログラマー。いろいろあって晴太田サテライト所員として派遣された。ヒサおばあちゃんの朝食にひかれて朝ごはんを食べるようになった二十一歳。自分の過去を思い出してしまうと眼が死んでしまうと気づいているのでそうなりそうだったらつい頭を振って振り払おうとする。コーヒーは砂糖を入れて混ぜないで飲む。そうすると最後に甘いところが来て血糖値が上がり元気になれるから。
    【春本紀博/はるもと・のりひろ】いろいろあって少し疲れて捻くれた善人(自称)。三十歳。アウトドアでの自給生活には慣れている。
    【三島佐紀】スリーフィンガー晴太田サテライト所員。二十五歳。男っぽい口調。クールなタイプかと思ったらそうでもない。いろいろあって晴太田に受け入れられたと感じているようだ。

    ■晴太田についての簡単なメモ■

    【一行目】「はい、じゃあ行ってみようか! あゆみさん」

    【今田聡】あゆみや綾那のかつてのクラスメート。あだ名はキュウリ。今は日田町役場係長で晴太田を盛り上げようとする事業を取り仕切っている。
    【ウルトラセブン】「ポインター」のようなカラーリングのハーレーに乗ってやってきてどこかの家に宿泊して帰っていった謎の人物。
    【海棠弾】スリーフィンガーの社長。「人間同士は話し合わなきゃダメだ」(p.112)というのが社訓みたいなもの。知っている者は「仕事ではすごく優秀」しかし「すごくヘンな人で個人的にはあまりつきあいたくない」と口を揃える。「問題として存在する以上は、それを解く方法は、解決策は必ずあるもんなんだ。」(p.200)
    【散歩マップ】スリーフィンガーの三人、橋本、三島、山下が仕事ではなく作っている晴太田の地域限定地図アプリ。地域限定だけに細かい。将来的に各地のものを作れるかもしれないと考えている。
    【スリーフィンガー】IT企業。社員は二十三人。社長は海棠。
    【田端】夫婦での若い移住希望者。夫は彰人(あきと)で革職人、妻は夕見(ゆみ)。二人とも二十一歳。ちょっとワケありに見えた。
    【電動アシスト自転車】土方あゆみのアシ。晴太田では便利。
    【野宮欽一/のみや・きんいち】綾那や道重の父。明るく元気なタイプ。どうやらウルトラセブンがどきどき泊まっているようだ。
    【野宮道重/のみや・みちしげ】綾那の兄。ちょっと軋轢もある。あまり笑わないタイプのようだ。妻は綾那の小学校での後輩でもある悦美、子どもは八歳の來見、五歳の淳一。
    【橋本哲也】通称ハシさん。スリーフィンガー晴太田サテライト所長。二十八歳。くるくる巻毛で人懐っこいタイプ。
    【晴太田いきいき課】土方あゆみが所属する。
    【晴太田宿】宿というよりシェアハウスの感じ。村への移住を考えている人のためにお試し用につくられた宿泊施設。ヒサおばあちゃんの朝食は絶品。
    【ヒサおばあちゃん】岡嶋ヒサ。キャタピラがついているみたいに上下動なしに歩ける。ものすごく料理が上手い。「熊殺しのヒサ」という異名を持つ。
    【丸子義秋】あゆみや綾那の先輩。三十五歳。太っていて信じられないくらいの鈍足だった。今は一級建築士で晴太田の家屋のリノベーションに協力してくれている。
    【森岡】春本が借りている家の本来の持ち主。

  • 小路さんらしいほっこりするお話。
    ヒサおばあちゃんのご飯がおいしそう。
    相変わらずみんないい人で、めでたしめでたしだな。

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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