大学入試改革 - 海外と日本の現場から

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  • 中央公論新社 (2016年7月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120048685

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大学入試改革 - 海外と日本の現場からの感想・レビュー・書評

  • 「一発勝負・一点刻み」からの脱却をめざし、2020年度から大学入試制度が変わる日本。どのような方向に教育改革を進めていくべきかを示唆する一冊である。
    本書の前半は、アメリカをはじめ韓国や台湾などの入試制度を紹介する。そして、後半ではわが国の入試制度を取り巻く現状について言及している。
    この一冊を読めば、いかに日本が知識偏重型、詰め込み型教育を重視してきたか解る。古来の中国の科挙制度の名残りかも知れない。一方、アメリカではSATやACTなどのペーパーテストが受験生に課されているものの、大学が重視するのは学生の「貢献度」や「多様性」だという。SATが満点でも合格率が2~3割程度の大学もある。人物重視に重点が置かれていることが解る。
    こうしたアメリカの先進事例を踏まえ、わが国でもAO入試が導入され、今後、国公立大学でもその割合を3割まで引き上げるという。AO入試は「学力不問」のマイナスイメージが世間に浸透しているが、早稲田大学では一般入試の合格者よりもその後の成績が良いなど、驚きの情報も盛り込まれていた。また、お茶の水大学では、受験生が授業を受け、その内容をもとに作成したレポートで選考を行う「新フンボルト入試」を導入したり、ICUでは、15分間の講義内容を選択式で問う「総合教養」という新たな入試科目を新設したりと、各大学とも創意工夫を重ねている。
    しかし、世界や経済界からわが国の学生が「人材」として評価されない理由は何か。私は、その要因の1つに、キャリア教育の不足が挙げられると思う。社会にはどのような仕事があるのか、自分はどの仕事に向いているのか、十分に知ることのないまま、大学受験へと突き進む。そして、大学入学後は欧米と比べ学校側の成績管理が甘いため、何となしに時間だけが流れていく。つまり、これは大学のみならず、義務教育段階からの問題とも言えるだろう。鶏が先か卵が先かの議論ではないが、大学入試が現行のままでは、高校までの授業内容が大きく変わることがない。また、逆もまた然りである。キャリア教育、それに連なる様々なディベートやディスカッションなどがなされていなければ、大学側も学生を篩にかける指標は「学力」に頼らざるを得ない。
    こう考えると、この問題は相当に根深い。ステークホルダーが多いため、わが国の教育改革が前に進まないのも理解できる。

  • 読売新聞教育部が近年の大学入試改革に関する本紙記事を加筆修正して出版した一冊。

    業界人の書く教育に関するハウツー本は眉唾であまり好きではないのだが、本書は取材を通して社会としての入試改革を扱った良書である。本書に通底していることは海外の入試現場と比較して、我が国の「一点刻み入試システム」の限界である。一見公平に見えるこのシステムがこれからの日本を作る若者の能力向上と成長を阻害している節まである。

    アメリカは日本でいうAO入試的、入学試験に多くの人手と時間を割いている。各大学は偏差値ではなく、人物の学力、モチベーション、嗜好を”総合的に”判断して入学者を決める。ペーパーテストが良くても大学の求める人材でないなら入学を許可しない。

    また科挙以来、伝統的に学力を重視する中国や台湾、韓国等隣国でも、現在人間の総合力を問う入試への移行が進んでいるという。

    本書の主張には概ね賛同である。考えてみれば、日本も就活からは”総合的”人物選抜システムである。履歴書、学力、面接等で判断する。これは一見基準が曖昧だが、本来一個人を判断するのに一基準だけというほうが不気味だ。様々な眼で判断するからこそ、個人の武器となるポイントをを見てもらえるのではないか。

    これからの社会に求められる向上心があり、判断力に富む人材を多く生み出すシステムを日本にも是非導入してほしい。結果が出るまでに時間はかかるだろうが、大学生の向上心、向学心が上がればそれはいつか日本を変える力になるだろう。

  • 英米の各選挙結果を経てもその高等教育にこれまで通りの価値を見出だせるのかはともかく、日本や世界のトップ大学の入試から、定員割れ大学の現状(ペーパー試験での入学が1割)まで広くカバー。

  • よく調べられている。
    大学入試において、学力を担保しつつ学生の多様性を確保するための各国の取り組みがよく分かる。
    対して日本はというと。
    なぜ上手くいっていないのか。2020年も間違いなく失敗すると思うもんね。
    というより600ある大学を同じように考えることが無理な話で、2020年の改革も上位校はともかく、それ以外はおよそ期待できない。
    本書に欠けている点は、経営のために学生の学力を担保できない学校に対する施策だろう。

  • 本屋で見つけて衝動買い。

    一章では、米国の潮流についてリポートされている。アメリカでは共通テストはあるが、それは最低限の学力を見るためであるという。最低限の学力がある前提でボランティアやスポーツに注力した人を取るらしい。
    また、米国でも、学生に勉強させるような授業を考えたり努力しているらしい。

    二章ではアジアの大学入試についてリポートされている。韓国は日本よりも学歴社会であり、受験戦争も過熱している。大学個別の試験では筆記試験を禁止するなど、塾等への支出を抑えさせている。

    三章ではセンター試験に代わる新学力テストについて説明される。(大学入学希望者学力評価テスト)これはこれまでの試験一発で1点を競って合否を決めるのではなく、高校時代に複数回行うテストで記述などで採点するもの。また英語については「話す」「書く」「聞く」「読む」の4つの力を重視。実際の実現には時間がかかり、実現性も難しい面がある。これらは、受験対策ができる(塾に通える)所得が一定以上ある家庭の子ばかりが、有力大学に入れるというような状況を打開するためのものだ。


    四章では、推薦入試やAO入試について書かれている。日本を代表する東大京大でも推薦やAOの入試が広がってきたことを取り上げている。学力を重視するあまり、出願要件の例が厳しいということ、採点/選考の負担が重いという問題がある。また英語を外部試験で済ませる案もある。
    ただ、昨今の少子化で、定員充足できていな大学では、AO入試は定員を確保するための「学力不問入試」という様相を示している状況もあり、なかなか難しい状況である。


    全体的に、前半は海外との比較、後半は日本で出てきてるペーパーテスト以外の入試方法について書いてあった。韓国が日本より後にAO入試を導入したのに、今となっては日本の方が遅れているのは皮肉だなぁと実感。
    面接や論文で選考するのは手間がかかり、公平性に疑問を抱かれてしまうが、大学にマッチする人材の獲得、多様性という点では、良いと思った。
    結局、塾/予備校の発展とともに、教育にお金を使える人がペーパーテストを通過でき、教育研究のレベルが高い大学に通えるという傾向はあるなぁと思う。

  • 日本の入試改革に合わせてアメリカ、韓国、台湾の入試改革について詳細にレポートしている。入試の現状について参考となる書籍であった。

  • 2014, 15の取材に基づき、大学入試の改革状況がよくまとめられている。時間が経てば状況も変わるので2016年の今読むべき本といえる。

    アメリカの状況、台湾韓国の状況、我が国の入試政策の状況、東大京大阪大の状況、その他国内大学の取り組みへと話は進む。

  • 2020年、日本の大学入試が変わる! アメリカ、韓国、台湾の大学など入試関係者を読売新聞の専門記者が現地取材。世界の大学と比較し、日本の大学入試改革を徹底検証する。

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