- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120048685
感想・レビュー・書評
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読売新聞教育部が近年の大学入試改革に関する本紙記事を加筆修正して出版した一冊。
業界人の書く教育に関するハウツー本は眉唾であまり好きではないのだが、本書は取材を通して社会としての入試改革を扱った良書である。本書に通底していることは海外の入試現場と比較して、我が国の「一点刻み入試システム」の限界である。一見公平に見えるこのシステムがこれからの日本を作る若者の能力向上と成長を阻害している節まである。
アメリカは日本でいうAO入試的、入学試験に多くの人手と時間を割いている。各大学は偏差値ではなく、人物の学力、モチベーション、嗜好を”総合的に”判断して入学者を決める。ペーパーテストが良くても大学の求める人材でないなら入学を許可しない。
また科挙以来、伝統的に学力を重視する中国や台湾、韓国等隣国でも、現在人間の総合力を問う入試への移行が進んでいるという。
本書の主張には概ね賛同である。考えてみれば、日本も就活からは”総合的”人物選抜システムである。履歴書、学力、面接等で判断する。これは一見基準が曖昧だが、本来一個人を判断するのに一基準だけというほうが不気味だ。様々な眼で判断するからこそ、個人の武器となるポイントをを見てもらえるのではないか。
これからの社会に求められる向上心があり、判断力に富む人材を多く生み出すシステムを日本にも是非導入してほしい。結果が出るまでに時間はかかるだろうが、大学生の向上心、向学心が上がればそれはいつか日本を変える力になるだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
英米の各選挙結果を経てもその高等教育にこれまで通りの価値を見出だせるのかはともかく、日本や世界のトップ大学の入試から、定員割れ大学の現状(ペーパー試験での入学が1割)まで広くカバー。