- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120049675
感想・レビュー・書評
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先日、村上春樹さんが翻訳したマイケル・ギルモア『心臓を貫かれて』をはじめて読んで、まさにハートを貫かれてしまい、これに気をよくして彼の翻訳したティム・オブライエンの作品を久しぶりに読み直してみると、これまた素晴らしい……。そんなこんなで彼が翻訳した本はいったいどのくらいあるのかしらん?
なんと70冊! 翻訳本の集大成。一冊一冊丁寧に撮影された翻訳本とオリジナル本の写真が美しい、翻訳にあたっての思い出やコメントはとても興味深く、未読本にもがぜん親近感が沸きます♪ なんといっても翻訳家の柴田元幸さんとの対談がよかったな~。
奇しくもこの本と同じころに発刊されたポール・オースター。柴田元幸訳の『冬の日誌』&『内面からの報告書』は、64歳のオースターが半生を回想した面白い作品。村上さんもそうですが、もしかすると人は還暦を迎えると自分の活動をひととおり振り返り、もじどおり心機一転、またあらたな人生を歩み始めるのかも。いいですね~。
忍耐を要する翻訳を趣味のように楽しみ、優れた作家から貪欲に学んでいこうとする村上春樹の自然体はとても印象的です。そんな彼の生き方にも元気をもらいました。
ということで、私も面白そうな未読の翻訳本に挑戦してみようかね~♫詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・村上春樹の翻訳書がまとまっている、ブックガイド的な本。自分は海外文学について全然詳しくないのだが、この本のおかげで、海外文学の世界を垣間見ることができた。おもしろそうな本がたくさんあるではないか…!日本だけにとどまるのはもったいないので、これからどんどん海外文学に挑戦したいなと思う。
・村上春樹×柴田元幸の翻訳談義も収録されており、お二方の翻訳に対する姿勢や心持ちを知ることができる。
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グレートギャッツビーの村上訳を隣におきながら、原文をペーパーバックで読みたくなった。
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1980年代初め頃から、ほぼ同時代的に彼の翻訳したものを読み続けて来たけれど、先に息切れしたのは私だった(笑)
読むの追いつけないほど訳すって凄すぎる。
後半の柴田先生との対談を読むと、翻訳が楽しくてしょうがない様子がよくわかる。
翻訳作業は「究極の熟読」。写経と同じで、いちいちぜんぶ引き写している、本当にいい勉強になる、と。
また、アンソロジーや短編集が好きな村上さん、最近の電子書籍の短編ばら売りに、「あれはどうかな」と言っていた。確かに一冊の書籍にする際にどんな作品をどんな順番で入れようか、すごく悩んで時間をかけているはず。「総合的な成り立ちを大事にしていかなくちゃならない」って、同感。
カタログとしてもわくわくが止まらない、素敵な本です。 -
良書。盟友柴田元幸との対談もよいが、村上春樹の翻訳家としての全仕事について、なぜこの本をその時期に自分が翻訳しなければならなかったのか、という村上自身の現時点での見解が紹介されている点に何よりも価値がある。原書の写真も全てカラーで紹介されており豪華。ああ、これ読んだなとか、これ読んでみようとか、次に繋がる本であり、最良のブックガイドである。印象的だったのは、村上春樹の中で、(知ってたけど)、フィッツジェラルドとカーヴァーは特殊な位置づけであること(改めてカーヴァーを読み直してみようと思った)、カーヴァーの全翻訳は愚作も含めて翻訳しなければならないので辛かったとの点である。4月27日発売のインタビュー集「みみずくは黄昏に飛び立つ」もとても楽しみ。MONKEYで川上未映子のインタビュワーぶりが素晴らしかったからである。
以下備忘録
【小話】
・「空飛び猫」シリーズは、村上春樹の読者に勧められて翻訳したが、その読者とは、ポスドク時代の福岡伸一であった(!)
・中央公論の山荘で缶詰になっていたとき、朝から仕事をする村上春樹と、朝まで仕事をしていた橋本治が、朝のひとときを源氏物語(!)の話をして過ごしていた(源氏物語の何を話していたのだろう?)
・早川書房は翻訳部門が充実しきちんと校閲をしてくれるため、柴田元幸がアドバイスしていない。
【読んで面白かった村上春樹の翻訳小説】
・Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選
・誕生日の子どもたち
【今後読もうと思う村上春樹の翻訳小説】
・ワールズ・エンド(世界の果て)ポールセロー
・極北 マーセル・セロー -
【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
https://opc.kinjo-u.ac.jp/ -
朝、4時に、起きてみる? -
翻訳って思いのほか奥が深い。確かに同じ本の翻訳でも全く別の本に思えるような時もあるし、特に古典とかは読みやすい翻訳、入り込んだ翻訳ではっきり分かれる印象がある。本当は原文を読み切れるのがベストだが、翻訳者を介して海外の文学や新書に触れるのも、彼・彼女の伝えたいニュアンスが浮かび上がって、これはこれで1つの醍醐味なのかもしれない。