航空機産業と日本 - 再成長の切り札

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120049811

感想・レビュー・書評

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  • よくメディアに取り沙汰されるような、「日本の旅客機は作れない?」や「戦後7年間が日本の航空機産業に影を落としている」といった話題について、データを用いた分析のもと正面から取り合っている。
    筆者は元航空機産業界の人間であり、分析にも説得力が感じられた。ロジックがしっかりしているので、大学の学部生などでも理解できる内容であると思う。

  • あまり、気にもしていなかった日本の航空機産業。
    日本はなぜ旅客機がつくれないのか?
    という疑問もなく、ボーイングやエアバスを購入すれば
    ちゃんと どんなところにでもいけるのではないか?
    という 日本でつくることの意味を考えたこともなかった。

    航空機は誰がつくっているのか?
    という章では、わかりやすく、その仕組みを説明する。
    エンジン、機体、装備品が主要なメーカーによってつくられる。
    日本では、機体の一部と装備品の一部がつくられている。
    国産飛行機と言われるMRJも国産率30%にすぎない。

    どうして、日本では 旅客機をつくろうと言う風にならないのか?
    旅客機をつくるには リスクがある。
    1 開発に長期間を要する(7−8年)
    2 巨額の開発費がいる(3000−5000億円)
    3 累積投資額が巨大になる(6000−8000億円)
    4 投資回収に長時間を要する(12−20年)
    5 投資を回収しないままに生産中止に追い込まれるリスクがある。

    そのためには
    国家方針を明確にする。
    1 成長戦略に明示する。
    2 航空基本法を制定する。
    3 関係機関を強化する。

    つまり、旅客機をつくるには 国が率先しなければならない。
    1 完成機プログラム支援スキームの策定
    2 助成メニューの充実と研究開発投資の増大
    3 WTO紛争対策の検討

    日本と言う国の国家的な課題であると言うことを
    大胆に提案していて、清々しい気分となる。

    ビジネスジェットに対する考え方。
    オスプレイに対する考え方。
    中国の航空事業に対する状況 
    など、中心的な問題を わかりやすく説明して、
    これでも、日本国家は取り組まないのか
    という まっすぐな 意見は すばらしい。

    MRO の整備事業に対する お粗末さにも
    るると 説明があり、日本は 何をしているのだ
    ということを よく理解した。

  • 航空機を製造する技術を持ちながら踏み出せない日本。航空機産業への誤解を解き、この有望事業に官民共に取り組むべきことを説く。

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著者プロフィール

博士(工学) 大阪府立大学客員教授 技術経営研究家
元英国法人SSSL(Silicon Sensing Systems Ltd.)取締役会長 元住友精密工業専務取締役
1967年、大阪府立大学大学院工学研究科航空工学専攻修了。住友精密工業入社。航空機用装備品の設計・開発業務に主として従事。世界の航空宇宙防衛大手BAEシステムズ社と折半出資の合弁会社SSSLを責任者として立ち上げ、自動車市場を対象に事業展開。拓殖大学、立命館大学、大阪府立大学の客員教授などを歴任。航空機産業参入を目指す企業などの指導・支援で活躍中。

「2021年 『新・航空機産業のすべて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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