- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120049873
感想・レビュー・書評
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マリリン・モンローという女優の名を、
いまだに多くの人が口にします。
彼女が出演した映画を観たことのない人でも、
その名と容姿におぼえはあるでしょう。
半世紀以上も前に他界した人なのにです。
しかも、彼女が女優として活動していた期間は10年ほど、
主演した映画は軽いタッチのものばかり、
アカデミー賞にノミネートすらされませんでした。
そんな彼女が映画史に残る女優として、
いまも語り継がれているのはなぜでしょう?
という興味からこの本を読み始めました。
本書はマリリンの晩年、
彼女の身近にいた家政婦、メイク係、マッサージ師、会計係など、
12人のひとたちそれぞれの目線で語らせることで、
女優の真の姿が浮き彫りになるような仕掛けになっています。
彼女がまだノーマ・ジーンと呼ばれていた頃の写真を見ると、
あどけなさの残る可愛らしい顔立ちの、
どこにでもいそうな女性です。
父親が不在で、母親が精神を患ったために、
幼いころは複数の里親のもとにあずけられ、
孤児院の世話になることもあったようです。
高校を卒業してすぐに16歳で結婚。
それは生きていくための手段でもあったのでしょう。
戦時中は航空機部品工場に勤めていましたが、
たまたま取材に来ていたカメラマンの目に留まり、
モデルとしてスカウト。
栗色だった髪をブロンドに染められ、
プロの手によるメイクを施されたことで、
スターへの階段を一気に駆け上がることになりました。
おそらく彼女には、
自身の生い立ちからくるコンプレックスがあったのでしょう。
映画に出演するようになってからも、
歌やダンスのレッスンを受け、
アクターズ・スタジオで本格的に演技を学んだのも、
コンプレックスを払拭するためだったのかもしれません。
彼女は世間のイメージとは異なり、
とても勤勉な人だったようです。
ほんとうはもっとシリアスな役を演じたかったでしょうし、
その実力も持ち合わせていたのかもしれません。
結婚と離婚を3度経験し、
有名になってからも
彼女は友人・知人の家で寝泊まりしていました。
家庭というものを知らずに育ち、
きっとその作り方がわからなかったのでしょう。
36歳で亡くなるまで、
彼女はずっと孤独だったのだと思います。
彼女のことを〝永遠のみなしご〟と呼ぶ人もいたようですが、
きらびやかなスポットライトを浴びながら、
ちらほらと影の部分が見え隠れするところに、
彼女の魅力があったのかもしれませんね。
べそかきアルルカンの詩的日常
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べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
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べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
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1962年、36歳で謎の死を遂げたマリリン。世界中の映画ファンを魅了した美のイコンは、最晩年どんな人たちに取り巻かれていたのか。大スターとアメリカの栄光と悲哀を新鮮な筆致で描く。