宦官―側近政治の構造 (中公新書 (7))

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著者 : 三田村泰助
  • 中央公論新社 (1963年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121000071

宦官―側近政治の構造 (中公新書 (7))の感想・レビュー・書評

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  • 宦官、この不可解なるもの。去勢し宮廷に奉仕する存在。

    この宦官は中国の特産ではなく、エジプト、ギリシア、ローマ、トルコ、朝鮮まで存在しており、世界の文明国で存在しなかったのは日本だけであった。

    「清朝の歴史家は、各王朝ともその衰亡の原因が宦官にあったことを指摘する。とくに、漢・唐・明といった大帝国にいたっては、直線、宦官に滅ぼされたと説いている」(本文P3引用)

    宦官の存在意義は?諸悪の根源の宦官がなぜ清朝末期まで存在したのか?

    読んだ後でも答えははっきり分からなかったが、気になることを書きとめる。

    古代では、去勢をした宦官は、普通の人間よりはるかに信頼に値すると考えられた。

    実際に去勢すると性格の変化がおこる
    ・残忍でなくなる
    ・害意のない宥和的なものごしである
    ・自ら強いものに尾をふる
    ・弱さや劣等感を告げて迎合する
    ・女や子供に愛情をもちペットして小さな犬をかわいがる

    本書を読むと宦官の権力嗜好を垣間見るが、だいたいの宦官は上記のような特徴をもっているのだろう

    嫉妬心の強い中国では、「男女の嫌疑をさけ、嫉妬心を慰安あうる方便として、中世の宦官を使うようになったのは当然の成りゆきかもしれぬ」(本文P19引用)

    また、後宮の純潔を守るため、宦官の存在理由は確かに存在した。

    しかし、秦、前漢、後漢、三国、西晋、隋、唐、宗、元、明、清での各王朝で宦官が関わりは大きい。 

    そもそも、宦官になる目的は、貧しいものが富を得る手段であったからで、実際に汚職によって財をなした宦官は多数いた。 宦官をけん制する天子は多くいたが、結局は失敗に終わっている。 何か、宦官という存在が大きな生き物となって王朝転覆をはかっていると錯覚するが、結局は個々の利権・賄賂欲しさに行動しただけなのだろう。 まぁ結局よく分からないまま読み終わった感じはするが、去勢したと正確が温和になったところで、人間の物欲までもは取り去ることは不可能なんだと実感。

    曹操について
    後漢の時代、宦官が順帝を担ぎ出し、宦官が養子を迎えて襲爵することを許可させた。この結果、宦官が漢代の封建的身分制度を破る結果となった。三国時代の主人公の一人である、曹操の祖父曹騰は子時代の宦官で、宦官大臣として帝につかえていた。

    科挙の進士と宦官との抗争が少なくて残念。

    王朝が変わるときの祖は、宦官制度の縮小を試みて成功したこともあったが、二世、三世になるにしたがって、宦官の勢力が増大し、その結果王朝を混乱させることとなる。

    結局、中国を舞台とした近い民族の争いで覇権をとっただけでは変わらなかった宦官制度も、清の末期で専制君主制が終わりを迎えたと同時に宦官制度も終わりを迎えた。

    中国の歴史と宦官  宦官というテーマで歴史を見ていくのも悪くない。

  •  中国、朝鮮半島でのかつての政権で、中枢部に存在し、ともすば政治を動かしたり皇帝を暗殺したりするようになった宦官という生き物がどういう存在であるのか、つぶさに研究されている。

     我が日本人からみると、何とも理解しがたい制度なのであるが、かの国では長い間存在してきた。日本は中国から朝鮮半島を経由してあらゆる文化・制度などを輸入し、消化・発展させてきた。その中で、この「宦官」という制度だけは輸入されなかったのはなぜか。

     もともと宦官という制度は、異民族の征服という現象を伴って、初めて宦官が発生する。我が国の古代社会において、異民族との幅広い接触、あるいは征服という事実がなかった。結局、日本の自然環境である島国であったところが宦官をつくらなかった決定的条件であったということだ。

     このとき輸入されたのは唐の文化であるが、そのうち刑法をみれば「五刑」といわれる「笞、杖、徒、流、死」は確かに取り入れられたが、宦官の供給源である宮刑は入っていない。

     のちに仏教文化の伝来などにより、このような残酷な刑は行われるようにはならなかったものらしい。

     イスラムの世界にも宦官がいたということ今回を初めて知った。また、ヨーロッパでも古代から宦官が存在したというから驚きだ。やはり征服した異民族が対象にされたと考えると、なるほどと思う。

  • 世界史の教科書にさらりと出てきてなんとなくそのまま詳しいことは知らないままであったので、読んでみたら、結構政治に根深く関係していたのだなと云うことがわかった。だけれども、新書と云ふものは、教科書と違い、著者の思ったことがバンバン書かれるから、実際はどうだったかわわからない。でもまあ、歴史のこんな見方もあるんだなと思った。

  • 宦官(側近政治の構造) 読んだ。
    ぼんやりとは知ってたけど、宦官と官吏と官僚がごっちゃになっていたので、あれ?宦官って後宮のお世話オンリーだっけ?官僚じゃなかったっけ?なんて基礎的なところからお勉強しました。でも夕飯食べながら読むもんではありません。

    司馬遷も宦官になっていたようで、なかなか奥が深い。

    「距離の専制」にも触れられていて、まぁなんというか、官僚組織的にはとてもお勉強になる本でした。

  •  宦官という一般的にはタブー視されがちなテーマについて論じた古典的名著。冒頭にある1949年に北京で撮影された清朝の宦官の写真からして異様さを感じる。その宦官はたぶん老人なのだろうがおそろしいほどに童顔である。本文の最初で宮刑に処せられた男性の身体的変化について詳しい説明がなされているが、ホラー小説のようである。筆者のいう通り宦官の形成というのは自然に反した「人間の悪魔的行為」である。
     しかし著者は宦官の異常性とともに現代社会にもつながるものがあるとも指摘している。権力者と強いつながりをもつ者たちが暴走し、権力者も孤独感から側近と密接になる関係が現代社会にも起こりうることであり、宦官的人物はいまなお残り続けていると。
     本書では漢代から清に至るまでの宦官のエピソードが豊富におさめられている。そのなかにはいかにも宦官らしいと思わせるものもあるが、宦官にも女性に恋慕して結婚したものが少なからずいたという意外な事実も含まれている。やはり中国史は一筋縄ではいかない。
     ところでいま朝日新聞で筒井康隆の「聖痕」が連載されている。犯罪により宦官的存在となってしまった少年は今後どうなるのか。「宦官」をよみながらふと思った。
     

  • 日本やヨーロッパにはない宦官制度。中国やトルコ、アラビヤには存在した宦官制度は、征服した異民族を去勢することから始まったらしいが、明の時代には皇帝の身の回りの世話をすることにより富と権力を手に入れることが出来ると水から志願するものが絶えなかったという。清朝の滅亡によって消滅した宦官制度だが、本には宦官の写真が載せてあり、これが何ともいえない雰囲気を出していて印象深い。

  • 父の実家でみつけて、大阪の下宿まで持って来ていたけど、読みたくなる強い動機を与えてくれたのは「合ケン」というイベント。http://scienthrough.qee.jp/2009/2011/06/gouken5th/
    このイベントには何度か参加しているけど、この回は特に面白かった。
    それから8ヶ月以上経ってるけど、やっと読み終えた。

    読んでた期間は長いのだけど、読みだすと面白いので、実際に読んだ回数は10回かそこらだと思う。何が面白かっただろう。まず、中国史で必ず出てくる宦官について詳しく知れたのが良かった。で、宦官に注目して中国の歴史を見ていくと、なんども同じようなことを繰り返してるなあ、と。宦官以外にも中国の不可思議なところが浮き彫りになって面白かった。日本は中国から色々と輸入してきたけど、それゆえに中国の日本とは異なる部分が見えて、中国についての本を読んだりするときはいつもそんな感じの、同じような面白さがある。

    登録するときに気づいたけど、中公新書の7番だ、最初期の本なんだね。中公新書といえば、宮崎市定の『科挙』も積読してるんだよね。読もうかな。

    ところで明の武宗(http://booklog.jp/quote/152200)の宦官として、研究室で隣に座ってる留学生と同姓同名の人がでてきた。

  • [ 内容 ]
    中国の歴史において宦官のはたした役割は実に大きい。
    清朝の歴史家は、各王朝ともその衰亡の原因が宦官にあったことを指摘する。
    過去四千年にわたる専制君主と表裏一体をなして生きながらえた宦官の研究は、単なる好奇心を越えて、中国史の重要な課題の一つである。
    宦官とはなにかから説きおこして、宦官のもっとも活躍した漢・唐・明代を中心に、それぞれの、時代を背景にした特色を指摘する。
    毎日出版文化賞受賞。

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 学生時代、ゼミの課題で読んだ。これを読んだことで卒論のテーマにした。卒論作成までに何度も読み返し世話になった。

  • これは、すごい。
    しかし、2章以降が読みにくい。
    単純に1章読むだけで、かなり宦官のことは分かるような…。

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