太平洋戦争 (下) (中公新書 (90))

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著者 : 児島襄
  • 中央公論新社 (1966年1月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121000903

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太平洋戦争 (下) (中公新書 (90))の感想・レビュー・書評

  • 下巻はアメリカ軍が本格的な攻勢に出る1943(昭和18)年からはじまります。緒戦における日本軍の勢いは一転、劣勢へ。島嶼部などでは『玉砕』が相次ぐようになり、また数度の作戦・決戦においても戦局を好転させうるような成果をあげられませんでした。
    一般市民をも最前線に巻き込んだサイパン戦や沖縄戦。神風特別攻撃隊の登場。無差別爆撃による犠牲。絶望的な道を一気に転げ落ちながらも、一方でその道をひたすら突っ走っていた感さえ覚えます。
    本書の筆致は比較的淡々としたものです。しかし、そのような中にもひとりひとりの人間がどう戦争と向きあったか、そうしたことも伝わってくる著作でした。本書を通して読んでみるとひととおりの戦史が理解できると思います。でも、このような悲惨な出来事がわずか60数年前、この日本で、アジアで、太平洋の島々で起こっていたんだと本当に理解するのは難しいことなのかもしれません・・・。
    (読了:2007年4月23日)

  • 太平洋戦争後半のひどさが泣けてくる。
    いったいどうしてこーなった?!

  • ・文書をベースに客観的に書かれた本ですが、ところどころ熱くなるところがある本でした。臨場感があり戦争の推移がイメージできて手に汗を握りました。

    ・太平洋戦争について「失敗の本質」などである程度知っていましたが、太平洋戦争に突入するところから終戦まで(中国に関するところ以外)網羅している本は初めて読みました。後半の日本軍が負けるところはよくクローズアップされますが、前半で勝利していることがその敗北の要因でもあることがよく分かりました。

    ・太平洋戦争の前半は連合国側が日本をなめてかかって負け、後半は日本が連合国側をなめてかかって負けるという、成功体験が失敗を呼ぶ典型的な例だなと思いました。

    ・「失敗の本質」に書いてあった内容とかなり違っているところが見受けられました。「失敗の本質」の批判として内容の正確性がいまいちというのがありましたが、「失敗の本質」より前に書かれた「太平洋戦争」の方が正しいのかなと思いました。

    ・「失敗の本質」でよく登場する辻政信がいろんなところで顔を出しているなと思いました。日本軍の作戦本部は現場を知らないトップの弊害が大きく出ていますが、辻政信は現場の一部しか知らない参謀の弊害がよく出ているなと思いました。

    ・日本でも欧米でも、艦長が艦船の沈没の時に退出しないというケースがよく見られました。現行の船員法でも船長は最後まで退出してはいけないというニュアンスに近い条文が定められていましたが、この時代の名残なのかなと思いました。

    ・日本が短期間で物資が尽きると分かっていながら戦争に踏み切ったことがよくわかりました。(上P.3)

    ・日本軍は、前半数ヶ月はかなり綿密に計画を立て、事前訓練も積んで連戦連勝で、その計画以降は割と行き当たりばったりでした。このあたりは、個別戦略はそれなりにうまくやれども全体戦略は立てることすらできない今のほとんどの日本企業にもそのまま当てはまる気がします。

    ・「自ら人間アンテナ」「工兵隊の奮闘」など、今でも「日本人らしい」とか「大和魂」とか言われる型の日本人像が出ているなと思いました。

    ・「シンガポールを知るための62章」を読んだ時に出てきた日本軍の華人虐殺の話の経緯を詳しく知ることができました。イギリス人やマレー人に比べて徹底的に抗戦したことが日本人に恐怖を与えたというのは、太平洋戦争後半の日本人の奮闘がアメリカ人に恐怖を与えたことと似ているなと思いました。(香港、シンガポール攻略)

    ・マッカーサーの「I shall return」は自分のなかでは日本での発言というイメージだったのですが、フィリピンだったということを初めて知りました。マッカーサーがフィリピンで出世し、日本軍に落とされる前に脱出しているところなど、かなり幸運な人だと思いました。(香港、シンガポール攻略)

    ・真珠湾攻撃の復讐戦として最初の東京空襲があり、それが本土防衛を意識させることになってミッドウェー海戦に繋がり、そこが日本が負けていく起点になるというプロセスは、戦争は何がきっかけになって別の要因を引き起こすのか、事象も関係性も複雑すぎて当事者は読めないのだろうなと思いました。(東京空襲とミッドウェー海戦)

    ・「AF」がミッドウェーを指すという予測を確定させるために、「ミッドウェーは水が不足している」という情報をわざと流して確認するアメリカ情報部の手腕はすごいなと思いました。(東京空襲とミッドウェー海戦)

    ・「失敗の本質」ではガダルカナル島について、米軍占領後から書かれていましたが、その前の経緯を初めて知りました。ガダルカナル島にフェルディナンド(オーストラリア人スパイ)がいて、常に情報を流していたために米軍が優位に立てたというのは日本軍が軽視した情報の重要性を... 続きを読む

  •  児島襄『太平洋戦争』(下)

     上巻を読んでから大分経ってしまいましたが、下巻もなんとか読み終わりました。
     こちらになると人がばしばし死んでいきます、それも大概が自決、怖いです。
     これを間近で見ていたアメリカ軍は精神的にそれなりに来るものがあったとは思いますが、場が戦場なのでどうとも言えません。
     それにしても基本戦略(?)が取られたのがたった二戦のみだったなんて…そりゃ硫黄島は目立ちますね………
     細かい軍略とかさっぱりわかりませんでしたが、取り敢えず淡々と書かれた文章が逆に戦争を嫌だと思わせました。
     後、私はこの時代の勉強はできないなとも(^^;)

     アメリカの反応については…今はもう見解が変わっているのかな?

  • 太平洋戦争はかくして三年八ヶ月で250万人の日本人犠牲者を出して, 原爆投下後八月十五日に日本の全面降伏によって幕を閉じた.
    日本が二度と植民地政策などを足がかりに軍事的な脅威とならないことが戦勝国の合意となった.
    全面降伏を避けるため, ロシアを通しての外交を通しての条件降伏が打診されていたものの, 結局, 戦争終結のふんぎりがつかなかった....らしい.
    これは, もちろん, 当時の政治的状況もあるんだろうが( 戦争後半には東条首相から二人も首相が変わっている), 根本的には, 日本の戦争観が" 戦地あるところに一勝
    を求める" ものであるため, 冷静な状況分析が十分にできなかったからである.
    以下, 本文からの抜粋である.
    ..................

    日本を支えてきたのは, 戦争側戦闘, 戦争即兵士の戦い, という戦争観だった. 開戦そのものも, 単純に戦闘の勝利を見込んで決定された. 真珠湾攻撃から, ミッドウェー, 比島沖海戦, そして沖縄特攻攻撃まで, 海軍がつねに輸送船や施設攻撃をにの
    つぎにし, "艦隊決戦" を求めつづけたのも, この"戦術的戦争観" にもとづいている. 陸軍もまた, 戦闘に一勝をあげることをもって戦争をと考えてきた. その結果は, 決戦を呼号しながらも, いつもその後の一勝を期待して後退をつづけ, いまや文字どおり" 絶対" 国防圏たる本土を残すのみとなった.
    .........................
    抜粋終わり

    サイパン島の決戦から沖縄本島決戦まで, 市民を巻き込んでの激しい戦闘になって
    も, 参謀本部が条件降伏の道を早急に求めなかったのはこのような戦争観が支配していたからである.
    個々の戦闘を見ていくと, 中将や少将などの司令官の個性が戦いに表れることもあるが, 勝敗を分けるのは個人の素質ではなくて, 組織的な指導力である.
    日本は組織として, 合理的な判断に基づいて戦争の有意性を測ることができなかった. 精神力だけでは戦争はできないってことである.
    勝ち目がないなら途中でやめればいいものを, それも決戦精神があるから出来なか
    った.....結局は国民にも自決を強いたわけで, その象徴的なものが神風特攻隊である. でも, 全体的にみれば特攻隊も特に目新しいわけではなかったのだ. 各地の戦闘では同じような精神で兵士や一般市民が自決してたわけだから....
    米英の兵士は, 飢えても兵器がなくても立ち向かってくる日本兵士に恐怖したそうだが, 私は日本人の気概を誇る気分にはとてもなれません. むしろ哀れな姿だなと思う. そうやって戦ったのが私の爺ちゃんだったら悲しい.

    本書は冷静な視点から, 抑揚を抑えて書いてはいるものの, サイパン島の決戦などは思わず涙が出た. 兵士数万人, 島民( 日本軍のために働いていた民間人, おそらく日本人以外もたくさんいたはず)一万人が犠牲になったのだが, 普通のお母さんが子供と一緒に崖から身を投げるところなど, とても泣かずにはいられない.

    読みながら思ったのは, 戦争などの国家がかりの大事業は, 財政, 人員,技術が成功の決め手になるものの, 事業の目的達成のための思想も同じくらい重要であると思った.
    太平洋戦争では, 組織として目的(植民地拡大による日本のアジアでの覇権確率)が
    戦争をを続けることで達成困難になったにもかかわらず, 形骸化した目的のために無意味に突っ走ったのではないか. 日本文化には, そういう動きを止める力が弱いのではないか.
    これは, 現在進行している原発産業の先行きなどを考える上でとても重要だと思う. 過去の歴史から学ぶというのは,... 続きを読む

  • 客観的に淡々と書いてあるので、読んでいてもそう悲痛な気持ちにならずにすんだ。
    思っていた以上に日本の軍部がいろいろと戦略を考えていた印象。学校で詳しく学ばなかったから、もっとめちゃくちゃな戦争観で戦っていたものと思っていた。。。

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    [ 参考となる書評 ]

  • 太平洋戦争の戦闘の流れが理解できた。上下読んだけど、偏りがなくおすすめ。

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