地獄の思想: 日本精神の一系譜 (中公新書 134)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121001344

感想・レビュー・書評

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  • 2016年8月30日読了。日本の仏教や、源氏物語から太宰治までの主要な日本文学に読み取れる「地獄の思想」について語る本。インド・中国より伝わった仏教が日本のスーパースター・法然や親鸞などの個性でより奥行きのあるものに変化し、その深さが文学にも表れている、とする議論はなかなか面白い。ただ、前半の仏教の変遷に関する分析はすんなり読めるが、後半の能や文学への言及は著者の思い入れ過剰に感じられ、やや眉唾な印象を受ける…。「天国の思想」では本が作れる気がしないけど、「地獄・死」に関してはこれだけ語る内容があるというのは面白い。

  • 授業テキスト。

  • 源氏物語、平家物語、世阿弥、近松門左衛門、宮沢賢治の作品から地獄の思想を読み説くのが本書の内容なのですが、僕はそういうのを求めていたわけじゃないので、ちょっとがっかりでした。
    『地獄の思想』というタイトルから、地獄の体系と歴史が書いてあると思っていたのですが、どうもそれらは末節のようです。

    生の中に地獄あり。愛欲、人情、義理に見る個々人の葛藤こそが地獄であり、死によって罪を贖い、来世に希望を託すのは、まさに仏教思想の真髄ですが、『割りとキリスト教と似てるんじゃね?』と、表面的には現世が辛く、死後報われる世界観という共通点があります(大雑把に言えば)。
    宮沢賢治の修羅の世界(食う・食われるの連鎖関係から離れたいという気持ち)など、んーなるほどなぁと唸る部分もありますが、全体的には何か物足りない感じを受けました。生きながらの地獄を見てきましたが、どこか他人事で、人によって人生が天国だったり地獄だったり、色々あるなぁ~と改めて思いました。
    僕の評価はAにします。

  • 【感想】
    文学や歴史に興味があるならば興味深く読むことができる。
    天台宗の世界観(三千世界)や本居宣長への批判などが面白かった。

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    [ 参考となる書評 ]

  • 芥川作品の影響で地獄というものに少なからず興味を抱き、地獄絵図を集めた画集などいろいろと読み漁っていたのですが中でもこの本は特に優れていました。
    一度読むだけでずっしりと体の奥に響きます。
    日本人として(?)一度は読んでおいてほしい一冊。
    ただ、これを読んでいると頭おかしい人認定をされるとか…

  • 梅原猛さんで初めて読んだ本。
    ここから梅原さんと日本古代への好奇心は始まった。

    ただ日本史、仏教史に詳しくない自分には理解できたとは言えない。

  • 真に強い人は、人生における苦の相、悪の相、否定の相をみる勇気を持っている。釈迦は強いな。

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著者プロフィール

哲学者。『隠された十字架』『水底の歌』で、それぞれ毎日出版文化賞、大佛次郎賞を受賞。縄文時代から近代までを視野に収め、文学・歴史・宗教等を包括して日本文化の深層を解明する〈梅原日本学〉を確立の後、能を研究。

「2016年 『世阿弥を学び、世阿弥に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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