発想法: 創造性開発のために (中公新書 136)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121001368

感想・レビュー・書評

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  • 川喜田二郎氏が提唱したKJ法について書かれた本。
    KJ法の生まれた経緯から応用法にいたるまで細かく説明されている。
    KJ法について知りたいのなら、三章までを読んでみると大体わかる。

  •  川喜多二朗著『発想法』。1970年代にブームとなった本。高度成長の踊り場にあって、成長にはずみというか、ドライブをかける局面で、梅棹『知的生産の技術』に川喜多『発想法』が脚光をあびたのかと、思う。

     当時、『知的生産の技術』は読んだが、こちらは手にしたことがなく、しかし、『KJ法』とかいうカード式ブレーンストーミングは、おおハヤリであったと記憶する。

     今、読み返してみると、「書斎科学」「実験科学」「野外科学」(22p)というジャンル形成もユニークだし、思いつくさまざまな提案を否定することなく、出された提案をチャートのなかでまとめるデータの統合法(53p)という概念も新鮮であった。

     「高度経済成長期あたりを境にして、まったく史上未曽有といってよい、驚くべき組織化が進展」(204p)とも書く。その結果、「組織の創造性をむしばむ管理化社会も一段と強化」(同)と指摘し、組織維持のための防御姿勢がいっそう組織の硬直化をうながしていると、言いたげである。

     そうしたなかでの柔軟な『発想法』の重要性。本書が、意図している点なのかもしれない。

  • 創造能力を向上させる方法と、創造を成し得る手法について、著者の大発明であるKJ法を軸に述べられている。ただ方法が羅列されているだけではなく、創造に必要な精神についても深く学ぶことができると思う。知的創造の道を志す人の必読書。

    『思考の整理学/外山 滋比古』に続いてこの本を読んだのは、大した時間・大した労力をかけずに、なんとなく勉強を続けていくだけなら、特に方法論等は必要ないのだけれども、懸命に何かに取り組むのに基礎になるものが無いのは、すこぶる勿体ないなと思ったからで、期待以上のものを得られて満足。

    KJ法といえば「既に煮つまった案をバラバラにして再考するんだろう」という適当かつ″間違った認識″を持っていて、それでも一部では、自分なりの解釈を以て、活用できたのだけれども、これはその根底にある精神を理解しないと活用し得ない手法であるということが、この本を読んでわかった。

    文章は流れる思考のようでとても読み易くて、一章の流れの美しさには驚愕した。ただ、どうしても量は多くなるし、脳が文字を滑るときがたまにあったのと(トレーニングになった)、哲学書と比べると(比べてはいけないのだけど)驚きに欠けた。それは一方では前提知識なしで読める工夫なのですけど。

    まずは実践をしてみないことには何とも言えないけども、BADを構成してそこから思索することは、BADの全構成要素間の関係性を考えることをしないので、そこで選択がなされる訳だから、ここをトチると重要な要素を見落して上手くいかない、なんてことになりかねない。
    もちろん、それを防止するために著者はこの本でも再構成をするよう勧めているのだけども、慣れないうちは苦労しそうだ…と言って挑戦しないのではダメだ、とも著者は言っております。

    ひとつ内容で気になったのは、″時間的もしくは鎖状発展の関係認知能力は、人類が言語を創り出した時期以来確立したものではないだろうか″(P125)の一文。鎖状発展の関係認知能力は、僕が思うに経験から論理を導出する能力だから、発生の直接の関係に言語があるとは考えにくい。
    著者も後で述べているけども、「KJ法=経験論哲学の実技化」の考えの上では「干渉作用による累積効果(P107)=帰納法の働き=経験を論理に昇華させる働き」と捉えられるんじゃなかろうか、と考えた。
    「著者も後で〜」の下りは、″この検知からいうと、KJ法的な発想法は、まさに英国人のこの経験論哲学を実技に移したもののようである。″(P146)のこと。
    それから、KJ法はネットとの相性が悪そうだということと、参加者が精神を心得ていないと上手く行きそうにない、ということを考えた。ついったーなら相性は悪くはなさそうだけど、根が人にはっているので、それもひとつの弱点と言えそう。

    あと、ちょっと関係のないところで、「論理とは何か」と「問題とは何か」というこのふたつは、併せて考えると面白いんじゃないかと思った。なんで思い付いたのかは謎。

  • KJ教と、宗教として揶揄されるほどの強い影響力と信者をもつ発想法についての本。知っているのと知らないのでは、大きな違いがある。一度は読んでみることをおすすめする。
    内容は、ちょっと頭のいい人なら当然のこととしてこなしていることであるため、おもしろみがないかも知れないが、はっきり書いてあると自分の方法に自信が持てるので、良いと思う。
    しかも、KJ法を使ってみると、すごく便利で、考えをまとめるのも議論をまとめるのもうまくいく。とても参考になる本である。

  • 梅棹忠夫『知的生産の技術』で触れられている、KJ法発案者の川喜田二郎による著作。近年、高校の主権者教育の副教材でも、議論や意見出しの手法の一つとして取り上げられているため、読んでみようと思って数年前に購入し…、積んでいました。
    本書は発案者の川喜田がその思想哲学を書き綴ったものです。残念ながら、読み進めているうちにだんだんと興味が持てなくなってしまいました。ただ、川喜田によると、頭で分かった気にならず実践していくことが大切だということなので、実践の中から理解を深めていきたいと思います。

  • 梅棹忠夫著『知的生産の技術』に登場した本。カードシステム(KJ法)をマスター出来るわけでは決してないが、基本的な実用方法や応用の一部を理解するには十分でした。
    『知的生産の技術』同様、50年以上前に書かれたのに現代でも通用する内容なのに驚く。やや読み難いのは否めないが読んで損はないなと思った。

  • 川喜田二郎氏による、有名なKJ法の本。とはいえ、入門書や解説書ではない。「この本には野外科学とKJ法の育った初心が盛り込まれて」いる。(まえがきより)
    KJ法をきちんと学んだことのない自分が1冊めに読む本ではなかった。文体が古いので、読み進めるのにどうしても時間がかかってしまった。

  • 自己啓発
    思索

  • <span style="color:#0033ff;">P29
     問題というものは(略)「何か問題を感ずる」という段階が先行しているが普通であろう。(略)では、問題が明確に理性的にとらえられない場合にどうすればよいか。(略)まず、自分が問題だと「感じて」いることに、「関係」のありそうな事柄を全部列挙してみるのがよい。そして、このように具体的に外に投影した諸要素を組み立てるのである。それらの諸要素はたがいにどういう関係にあるかを表現してみる。問題に関係のある事柄を書きとめ、それを組み立ててみたときに、初めて問題の構造がわかるのである。
     (略)それをさらに圧縮的に、短い一行の文句もしくは一言で表現することである。
     こうした時初めて、どういう問題が追求すべきものかということが(略)はっきり浮かび上がってくる。

    P62
     まず、ブレーンストーミング式の情報やアイディアの集積をやり、第二にその結果をKJ法(P74 親近感を覚える紙きれどうしを集める)で構造計画に作り上げ、さらにパート法によってその計画の手順を計画に展開する。

    P154
     (一連の手順は3,4種類の試作能力が必要とされる。まずは、探究心)次に圧縮化の能力がある。言い換えれば「コンセプトフォーメーション(概念づくり)」の能力である。(略)
     次に文章、数式など、鎖状に発展する論理で、情報を前から後ろへ連結する能力である。(略)
     さらに進んで(略)叙述と解釈を厳密に区別する精神である。</span>

  • 2010/01/08

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著者プロフィール

1920年(大正9年),三重県生まれ.1943年,京都大学文学部地理学科卒業.大阪市立大学助教授,中部大学教授などを経て,KJ法本部川喜田研究所理事長,元社団法人日本ネパール協会会長,ヒマラヤ保全協会会長.理学博士.昭和53年度秩父宮記念学術賞,マグサイサイ賞,経営技術開発賞,福岡アジア文化賞受賞.著書に『続・発想法』『野外科学の方法』『KJ法』ほか

「2019年 『まんがでわかる 発想法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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