- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121002488
感想・レビュー・書評
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国家の行為に関して、国家の機関であったがゆえに個人が個人責任をおうという法理は、古今東西に例をみないという弁護団の主張。
検事側が侵略思想とみなす「八紘一宇」は、太平洋戦争前の日米諒解案で「ユニバーサル・ブラザーフッド」(世界同胞主義)と訳され、同じく「皇道」は「治者と被治者が一心になること」、つまりは「皇道とデモクラシーと、二つの思想の間に本質的な差」はない。
清瀬弁護人の論が真っ当に思えるが。
東京裁判は結局は政治的戦争責任の追及を目的とする。そして、政治的責任は共同謀議、戦争の遂行、戦争法規違反の三つを犯罪カテゴリーにすれば、十分であり、他の細かい訴因も包含され得る、と判決はいう。
起訴状伝達が天皇誕生日の天長節、判決朗読開始が日本の建国を祝う紀元節、A級戦犯処刑が皇太子誕生日。何かの意図があったのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ルポなのか概説書七日の位置づけに問題はあろうが、名著に間違いない。
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東京裁判に関する書籍の中では、当時の関係者へのインタビューなども充実してる作品だと思う。
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人種闘争の終焉がこのような形とは、、なんとも言えない虚脱感。有色人種の歴史の針を戻してしまったのが、、残念。日本の大東亜共栄圏、八紘一宇は、白人にとっては脅威そのものだったんだなぁ。綿密な計算の元破れた大東亜戦争。7人の御霊で人種差別を撤廃したと
考えると凄いことだと改めて感じる。日本は世界の指針を指し示すポテンシャルがある。蘇らせたい。改憲が1つの手段だな。。しかし、最後のdeath by hanging。悔しいなぁ。 -
(2013.09.13読了)(2008.01.25購入)
【9月のテーマ(東京裁判を読む)・その②】
裁判は、満州建国、日中戦争、ノモンハン事件、大東亜戦争、とかなり長い期間が対象になっています。起訴状の朗読のあと、証拠調べや証人喚問などがあり、弁護団による反撃などが行われます。紙が不足しているため資料の印刷ができず裁判が滞ってしまう場面もあったようです。
病気のため裁判に出席できなかった人もいるし、途中でなくなった方もいたようです。
判決で絞首刑を言い渡されたのは、7名でした。
・裁判の主な日程
一九四五年八月三十日、マッカーサー元帥、厚木到着
九月二日、降伏調印式
九月十一日、東条大将逮捕
十二月十二日、広田元首相出頭命令(心臓疾患のため一月十五日巣鴨収監)
十二月十五日、近衛公爵自決
1946年1月19日、極東国際軍事裁判所条例制定
1946年4月29日、起訴
一九四六年五月三日、裁判開始
一九四八年十一月四日、判決の宣告開始
十一月十二日、閉廷
十二月二十三日、処刑
【目次】
第八章 弁護団の反撃
第九章 南京虐殺事件
第十章 天皇の戦争責任
第十一章 判決
第十二章 DEATH BY HANGING
付記
あとがき
主要参考文献
●南京事件(71頁)
中国側は第六師団による市民殺害二十三万人、第十六師団によるもの十四万人、その他六万人、計四十三万人と発表し、この数字は東京裁判でも主張された。
●南京法廷(73頁)
中国は南京事件を最重大戦争犯罪とみなし、すでに第六師団長谷寿夫中将を南京法廷で裁き、しかも、四月二十六日午後零時四十五分、第六師団が攻略した南京城外の雨花台で処刑した。
●国家行為(151頁)
個人弁論では、東条大将のごとく「指導者」を自称して個人責任を自負した例はわずかで、軍人被告の多くは、国家行為は犯罪ではなく、国家そのものが裁かれぬ以上は、国家に対する忠誠義務を持つ軍人に罪はないはずだ、という論調を採用した。
●法廷の体裁を(159頁)
判決は、判事団はあたかも、弁護側証言を最初から無価値と定めて、ただ聞いていただけだと告白しているように聞こえる。それでは、弁護団はただ法廷の体裁をととのえるために、出席させられたにひとしいではないか。
●東条大将七つの喜び(166頁)
①裁判が順調にうまくいって、皇室にご迷惑をかけずにすんだことがうれしい。
②東条邸の問題で誤解がとけたことがうれしい。
③自分は長兄、次兄が早死したので、東条家の後継ぎになったが、六十四歳まで長生きできてうれしい。
④これまで健康ですごしてきたことがうれしい。
⑤巣鴨にはいってから宗教を真剣に味得したことがうれしい。
⑥日本で処刑されることは日本の土になるのだからうれしい。
⑦とくに敵であるアメリカ人の手で処刑されるのがうれしい、自分も戦死者の列に加わることができるであろう。
●愛国心は有罪(180頁)
愛国心と国際公法とは矛盾するものではないのに、法廷は愛国心を有罪とみなした。愛国者を処罰する国際法があっては、たまらないではないか
☆東京裁判(既読)
「秘録 東京裁判」清瀬一郎著、読売新聞社、1967..
「東京裁判(上)」児島襄著、中公新書、1971.03.25
「パール判事の日本無罪論」田中正明著、小学館文庫、2001.11.01
「日本無罪論 真理の裁き」パール著・田中正明訳、太平洋出版社、1952.05.03
「落日燃ゆ」城山三郎著、新潮文庫、1986.11.25
「<戦争責任>とは何か」木佐芳男著、中公新書、2001.07.25
(2013年9月16日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
昭和二十一年五月三日に開廷した極東国際軍事裁判は毎回波瀾をきわめた。苛烈な立証合戦の末、昭和二十三年十一月十二日、七人の絞首刑を含む被告二十五人全員有罪という苛酷な判決で、歴史的な大裁判の幕は閉じた。「文明」の名によって戦争を裁いた東京裁判とは何であったのか。 -
歴史とは勝者が作るものだというが・・・恐ろしいものだ。
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同名書の下巻になります。