実録アヘン戦争 (中公新書 (255))

  • 40人登録
  • 3.56評価
    • (3)
    • (1)
    • (4)
    • (0)
    • (1)
  • 5レビュー
著者 : 陳舜臣
  • 中央公論新社 (1971年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121002556

実録アヘン戦争 (中公新書 (255))の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 戦争が始まってしまった理由というのには興味がある。

    人を殺す許可を互いに出すのが戦争であり
    それは端的に倫理的ではない。
    それに値する何かがあると考えてするのか、
    倫理などというのは糞の役にも立たないのか。

    さて、本書は言わずと知れたアヘン戦争である。
    世界の帝国の一つであるイギリスが貿易で阿片を持ち込むようになってから
    それに反発をした中国を逆に武力でやり込めて香港を割譲させたのが
    この戦いのあらすじで、これが覆るわけではない。

    ただし、その際に中国側の役人がどのような覚悟で向かったか、
    その際の筋の通し方など、中国人の士大夫の強さが見えるし、
    結局こじれた時に、首をすげ替えたところどんどん後手に回ってしまう
    官僚主義的な問題の延焼の仕方とか、示唆に富む。

    また、イギリスも開戦にあたって戦費の支出を議会にかけた時に
    賛成 271
    反対 262
    であって、「不名誉な戦争である」と言った演説もあったことは
    十分に記憶すべきで、それは
    そこまで言っても別に止められなかったということを記憶したいと思う。

  • 1971年刊行。

     アジアにおける西欧列強の帝国主義が最も明快に現れ、かつ、当時の日本の江戸幕府幕閣にも多大な影響(心理面でも、社会構成面でも)を与えたアヘン戦争。
     そのアヘン戦争の前史から終結まで、中国史関連著作の多い作家が検討していく。
     古典的ロングセラーの一書。

  • 今度受ける近現代史の講義テーマになっているため、ざっと斜め読み。アヘン貿易を認めさせるための戦争であり、漁夫の利を得たのはアメリカだということがポイントなのかと思う。いつの時代も、戦争によって得をするのは戦勝国じゃなくて、第三者なんだよね。

  • 非常にまともで、よくまとまっているアヘン戦争の話。
    ただ、あまりにもまともすぎて、
    ちょっとつまらなかった。

    教科書に載っていた記憶がかろうじてある、
    林則徐について詳しく知れたのが良かった。

  •  アヘン戦争とはどんな戦争だったのか。アヘンを清国に持ち込もうとした英国と、それを拒否しようとした清国が争った戦争ぐらいにしか認識がなかった。それが実はそんな単純なものではなかった。

     それまでの英国と清国の貿易は茶葉の大量輸入で英国の大きな輸入超過であった。その是正策として登場したのがインド(英領)産のアヘンである。清朝の退廃傾向につけこんでアヘンは清国内に急速に拡散していった。そして英・清間の貿易は瞬く間に逆転し英国の輸出超過に転じた。英国は清国の一般庶民の無知に付け込んでさらにアヘンを清国に売り込むのである。たまりかねた清国は欽差大臣に林則徐を任命しアヘンを一掃しようとする。当然アヘンを売り込みたい英国と対立し、とうとう戦火の火蓋が切られるのである。

     この戦争を日本の高校の歴史教科書にはどんなことが書いてあるかというと、
    「清国の変則的貿易形式を打破するために、イギリス商人のアヘンが焼き捨てられたのを口実にイギリスが宣戦布告をした。」
    といった記述がみられるという。しかし真相はその正反対で、アヘン貿易を認めさせるのが戦争の主目的であって、変則的貿易形式打破のほうが口実に過ぎないという。イギリスの「愛国的」歴史家が主目的を捻じ曲げた。日本の教科書編者も知らずにその説を採りあげたのであろうが、これがはっきりさせなければならない重要なポイントだそうだ。

     当時英国はいかに傲慢で非道であったか。①まず貿易赤字解消策として麻薬であるアヘンを売りつけたことだ。東インド会社を通して、自国民にも売れないものを清国へ持ってきた。②屁理屈をつけて戦争を始めた。③(圧倒的武力を背景に)上陸した英国軍の主力は残虐の限りを尽くし、占領期間中、掠奪、淫虐にふけり続けた。英軍が突入した鎮江は淫掠地獄と化したという。

     戦争そのものは最新装備の英軍を前に旧式の清軍は全く歯が立たなかったらしい。あわてた清国側は和議の対面を保つため林則徐を罷免したが、後任の大臣が卑屈なまでに譲歩を重ね、屈辱的な和議に同意せざるを得ず、1842年にあの軟禁条約が調印される。

     英国はよく「紳士の国」といわれるが(大航海の時代を含めアヘン戦争までを俯瞰すると)どこが「紳士の国」かと思ってしまう。いかに傲慢なことか。とくに大航海の時代は掠奪の歴史である。その成果が大英博物館に大量に納められているではないか。

     さて、そのあたりのことを英国の歴史教育ではどのように教えているのであろうか。一度詳しく聞いてみたいものだ。また為政者はどう思っているのだろうか。また、当時の麻薬の持ち込みや英兵による清国婦女子に対する凌辱行為について、英側が中国に対して謝罪したなどということは聞いたことがない。中国側にしても謝罪要求をしたということは聞かない。旧日本軍についてはあれほど熱くなる人たちなのに。いづれにしてもこのアヘン戦争はヨーロッパがアジアを土足で踏みつけた歴史であることを肝に銘じておかなければならない。

     私は著者陳舜臣氏のファンであるが、氏は本書以前に小説「阿片戦争」を著しているということなので、今度はぜひそちらを読んでみたい。

全5件中 1 - 5件を表示

実録アヘン戦争 (中公新書 (255))はこんな本です

ツイートする