野外科学の方法: 思考と探検 (中公新書 332)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121003324

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  • [鹿大図書館・冊子体所蔵はコチラ]
    https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN00908698

  • #KJ法 と向きあううえでの心得のようなところを補ってくれる本。

    安易に仮説検証に飛びついちゃいけない、まずは「おのれを空しくして」仮説発見・発想しなきゃならない。「何でも見てやろう」という探検の姿勢が大事だ。
    探検に相当する取材は、多角・多様にだ。ありのままを、ハッとを大切に、その場で記録し、「データを語らしめ」、異質データから新しい意味を発見するんだ。

  • 1973年刊行。著者は東京工業大学教授。

     フィールドワーク(野外観察科学)が研究方法として価値あるものだと日本に根付かせることに成功した一人。今西錦司らとともにネパール探検した経歴ももっている。

     その意味で実践家であるが、その彼がフィールドワークにおける観察対象の記録法、分析法を開陳。
     また種々の体験談も興味深い。
     なお、著者の言う理念のうち、現場主義、そして事実をもって語らしめよが印象に残る。

  • 著者川喜田は、科学(研究)における手法について、「書斎科学」「実験科学」「野外科学」という3分類を示した。シミュレーション、実験、観測、といったところか。
    「野外科学」として、"おのれを空しくして実態を調査し、そこから有望な仮説を発見し、その後にようやく、仮説検証型の方法に転じていく"という方法を重視。
    この方法は自然科学に限らないと思う。問題が本来的に「個別性(地域性等)」を有するような状況には、同様に求められるだろう。マックス・ヴェーバーが客観性論文で説いたような、社会科学が備えるべき姿勢にも近いだろう。

    中盤には一部、記録の取り方・まとめ方のような、少々「実務的」なところもあるが、それ以上にやはり「野外科学」という考え方の提唱が印象的だし、感銘に値する。

    終盤、著者が「問題解決」に必要不可欠な作業として「綜合(化)」を挙げた。
    勉強すべきことはまだまだある、ということを、ある種理論的に教えてくれたという意味でも、出会えてよかった、すばらしい一冊。

  • 「KJ法」で知られる、先日亡くなった川喜田 二郎氏の著作集。
    最初の「野外科学の提唱」が特に頭に残った。
    政治家・官僚・知識人等からの独断的(意図的な)仮説による質問の提示に対して受身の反応をするのは情けない民主主義であるとし、衆知を創造的に組み立てる「創造的民主主義」を掲げている。
    これがKJ法の思想のバックグラウンドにあることがよく分かる。

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著者プロフィール

1920年(大正9年),三重県生まれ.1943年,京都大学文学部地理学科卒業.大阪市立大学助教授,中部大学教授などを経て,KJ法本部川喜田研究所理事長,元社団法人日本ネパール協会会長,ヒマラヤ保全協会会長.理学博士.昭和53年度秩父宮記念学術賞,マグサイサイ賞,経営技術開発賞,福岡アジア文化賞受賞.著書に『続・発想法』『野外科学の方法』『KJ法』ほか

「2019年 『まんがでわかる 発想法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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