取材学: 探求の技法 (中公新書 410)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121004109

感想・レビュー・書評

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  • ほぼ半世紀前の本である。インターネット検索を本による検索と置き換えてみれば現在にもよく応用できる本である。ということはフィールドワークはそれほど発展していないということなのであろうか。

  • 取材の基本のきが学べる本。
    ・素材が大事
    ・事前準備、事前の問いを立てる
    ・知ってる人に聞くのが早い
    ・聞くのはインタビューではなく対話であるべき。答える側は問いを受けることでそれまで考えてもみなかったことに気づき、その答えを言った人間は、さらにそれまだ用意していなかった重要な問いを発見して新たな問いを組み立てる
    →対談は異質な人間同士がぶつかりあったときにできる!
    ・観察することは大事
    ・現地に入る。時間をかけて信頼関係をつくる
    ・効率的に仕事をして、空いた時間で無駄なことをする。知的散歩
    ・警戒すべきは独善と尊大。目指すべきは人間的愛情と謙虚さ

  • 取材の基本姿勢が書かれた本。入社したときに読んでおけばよかった。

    まず「取材」を広く、情報を集めて判断することと捉える。スーパーのチラシを見て買い物に行く主婦も、顧客や市場の情報を集めて決定するビジネスマンも広い意味で取材をしていることになる。記者や学者が取材する手法を一般にも役立つ技法として伝える本だ。

    以下各章のまとまらないまとめと感想

    一章
    問題解決よりも問題発見が大切と説く。適切な問いがあれば情報は集まる。
    →最近読んだ『イシューからはじめよ』と似た主張で、仕事復帰後にとりあえず実践していくことにした。

    二章
    「広く調べ、それから細かく調べる」ことが重要。
    →図書館の技法を紹介しているが、現在は検索の技術を知る必要ある

    四章
    新聞に聞くという文字が入っているが、ジャーナリストの能力はききこみ能力に依存している。
    なぜなら「話をきくということは問うということなのである」p101
    →問わないと話が始まらない! 友人、同僚と話すときでも質問を用意していくと実り多い。

    「ひとの話をきくまえに、はっきりさせておかなければならないのは、じぶんにとって(強調)なにが問題であるのか、についての自己確認である」

    作法
    ①取材には相手の都合がある
    ②話をきくまえに準備をしておく。予備知識、基礎知識
    ③よい質問を準備する
    ④教えを乞う、という態度を忘れない

    「相互に利益のある弁証法」が話をきく取材
    答える側は問いでそれまで考えてもみなかったことに気づき、その答えを得た人間はさらに重要な問いを発見して組み立てる

    対談から学べる
    →エッケルマン『ゲーテとの対話』、湯川秀樹『人間にとって科学とらなにか』、司馬遼太郎ドナルドキーン『日本人と日本文化』、『論語』、

    五章
    現地で肌感覚を得る
    現地の郷土史など本を買う

    「現地というのは、けっして客観的な実在ではないのである」p149

    では、よりよき現地取材の条件は? p150〜
    ①時間の条件 長くいれば確かさを増す
    ②現地の取材にかたよりのないように、できるだけたくさんの情報源を探す 役場の資料、貧しい家、裕福な家
    ③現地に浸りながら、溺れない

    第六章
    合理化した取材学→
    空いた時間で無目的な知的散歩をしよう
    取材相手と雑談もいい
    →思ってもみない問題発見につながる
    →さらに取材が進む!

  • 自己啓発
    思索

  • 久しぶりに読み返した、「聞きとりの作法」の中で紹介されていたので、読んでみた。

    1975年の出版。生まれる前だ。
    インターネットが登場したので、いわゆる紙カードの整理法や図書館などの検索は様変わりしているが、情報を使うという立場と使うための技法、つまり知的自律性の確立と情報を使う技術、はいまも有用。

    そして、この本が出てから40年以上経っても、インターネットの登場以外、さして変わらぬ状況と思えてしまう。

    社会というのは、変わっているようで、そう簡単に変わらないことが古い本を読むとよくわかる。

  • 外山滋比古の本を読んでるような気持ちになるね。それは「勉強するなら、こういう態度で臨まなアカン」という基礎的な講義となっているからで、こうしてロングセラーになっている所以でもありそうです。基礎的と書いたけれども、このほか取材に関する本を幾つか読みましたが、それに比べるとまさに土台となる姿勢の面「のみ」を説いてまして、それは取材相手の都合に合わせよう、当たり前だよな?という部分に如実に出ているかな。それができなくなってる、苛烈を極めるメディア競争を揶揄していた40年前。

  • p162
    わたしが名付ける知的散歩というのはそういう無目的な情報行動のことであり、もしもわたしにいわせていただくなら、こうした知的散歩こそ、じつは人生における最大の快楽なのだ。

  • 1975年刊行。

     「学芸は長く、人生は短し、という格言は正しい」「我々は未完成品をたくさん残しながら死んでいく」「古本の市場は、いわば書物たちの実力競争の場なのである。よい本は生き残って高い価格で取引」など名言が多数含まれる。良書。

  • 書物を相手にした「取材」というべき、図書館や事典の利用法から始まって、フィールドワークの仕方まで、研究や取材の技法について述べた本です。

    タイトルは、取材「学」となっていますが、体系的な本ではなく、どちらかというと著者自身の経験則に基づいて書かれている印象です。読者の一人ひとりが、本書のうちから研究や取材についてのヒントを自由に引き出すという読み方をすればいいのではないかと思います。

  • レポートを書く際の参考にします

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著者プロフィール

加藤秀俊(かとう・ひでとし) 1930年東京生まれ。社会学博士。一橋大学(旧制)卒業。京都大学人文科学研究所助手、同教育学部助教授、学習院大学教授、放送大学教授、国立メディア開発センター所長、日本育英会会長などを歴任。現在、中部大学学術顧問、世界科学芸術アカデミー会員。 著書に、『加藤秀俊著作集』全12巻、『メディアの発生』『メディアの展開』(中央公論新社)など多数。

「2016年 『加藤秀俊社会学選集 下巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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