戊辰戦争―敗者の明治維新 (中公新書 (455))

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著者 : 佐々木克
  • 中央公論新社 (1977年1月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121004550

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戊辰戦争―敗者の明治維新 (中公新書 (455))の感想・レビュー・書評

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  • 戊辰戦争を敗者側の東北諸藩の動向を中心にまとめた本。
    戊辰戦争とは単純に幕府体制の存続をかけて新政府に対抗した東北諸藩の戦いかと思っていたが、この本を読んでその認識を改めさせられた。
    朝敵された会津藩・米沢藩以外の東北諸藩は「薩長が牛耳る新政府か」、それとも「各藩が同列に参画する新政府か」という対抗軸-原敬が言う「政見の異同(政治的見解を異とする)」-だったということだ。
    また世良修蔵の横暴な振る舞いや岩村精一郎の浅慮が戦争を拡大させたことについての著者の見解は非常に得心するものである。
    この戦争によって「後進地」と蔑視され、マイナスの遺産を背負いながら生き続けなければならなかった人々の苦労が偲ばれる。
    この本を読んで、東京に送る電気の為の原発が福島と新潟にあるのもこれが遠因なのでは?と考えさせられた。

  • (2013.05.30読了)(2005.04.10購入)
    【新島八重とその周辺・その⑨】
    『三省堂 大辞林』で「戊辰戦争」は以下のように説明されています。
    【戊辰戦争】
    1868年(慶応4)戊辰の年に始まり、維新政府軍と旧幕府側との間に一六か月余にわたって戦われた内戦。正月の鳥羽・伏見の戦いに勝利した政府軍は、四月江戸城を接収、上野にこもる彰義隊はじめ関東各地で旧幕府主戦派を討滅、奥羽越列藩同盟を結んで対抗する諸藩をも会津戦争を頂点に一〇月には帰順させた。翌年5月、最後の拠点箱館五稜郭を陥落させ、内戦は終結、明治絶対主義国家確立への途が開かれた。

    『大辞林』の説明通り、この本では、鳥羽伏見の戦いから、箱館戦争までを説明しています。鳥羽伏見の戦いから、江戸開城あたりまでは、興味深い記述がいくつかあったので、面白かったのですが、それ以後は、詳細に記述してあるためか、全体としての流れがよく分かりませんでした。
    会津の戦いについては、「八重の桜」への興味もあるので、期待して読んだのですが、あまり詳しくはありませんでした。したがって、会津の戦いについては、「小説・新島八重 会津おんな戦記」福本武久著、の方がいいようです。
    孝明天皇については、8頁で、毒殺説を支持していたのですが、1990年の「あとがき」への追記で、疱瘡での死亡、という病死説に変更しています。
    孝明天皇が生きていれば、戊辰戦争はなかったのでしょうか?明治維新はなかったのでしょうか?歴史の流れは、一人の人物の生死で、変わってしまうのでしょうか?
    何とも言い難いところです。
    明治維新の推進は、岩倉具視、西郷吉之助、大久保利通と、薩摩・長州の軍事力によって行われたと考えていいのでしょうか。江戸城の無血開城は、勝海舟の知恵によって可能だったのでしょうか。徳川最後の将軍は、口の達者な慶喜であったことが、官軍に幸いしたといえるのかも。そのことを見越して、薩摩は、早くから徳川慶喜を将軍に据えたがっていたのでしょうか。
    この本を読むと、幕府の巻き返しの機会は、何度もあったようで、そのたびに、徳川慶喜の選択は、裏目裏目に出ているようです。
    東北戦争は、長州による会津への報復戦と見るべきなのでしょうか。それとも、幕府の力を徹底的に弱体化するためにやむを得ない戦いだったのでしょうか。
    箱館戦争についても、幕府の再興をめざす勢力は、一掃しておこうということでしょうか。
    戊辰戦争は、日本の行く先を決定づけるための戦争だったのかもしれません。
    会津藩の斗南藩への領地替えは、行きすぎだったのではないでしょうか。このために、会津と長州の不和がいまでも続いているとか。

    【目次】
    Ⅰ 幕府の倒壊
     勝利か敗北か/鳥羽・伏見戦争/〈朝敵〉処分/恭順派と抗戦派/江戸開城と上野戦争
    Ⅱ 東北戦争
     一 和平工作
      〈会津処分〉への疑問/説得工作/会津・庄内両藩の抵抗/弱小藩の苦悩
     二 奥羽越列藩同盟の結成
      白石列藩会議/世良修蔵暗殺/同盟成立
     三 〈奥羽政権〉の崩壊
      奥羽政権の性格/戦局の展開/会津落城
    Ⅲ 北越戦争をめぐる諸藩
     二つの桑名藩/長岡藩の中立論/水戸藩脱走兵
    Ⅳ 箱館戦争
     新天地をめざして/榎本政権
    むすび―戦争の遺産
    あとがき
    参考文献
    戊辰戦争年表

    ●毒殺?(8頁)
    (孝明)天皇の死因については、表面上疱瘡で病死ということになっているが、毒殺の疑いもあり、長い間維新史上の謎とされてきた。しかし近年、当時天皇の主治医であった伊良子光順の残した日記が一部公にされ、光順の子孫である医師伊良子光孝氏によって、孝明天皇の死は、光順日記で見るかぎり明らかに「急性毒物中毒の症状である」と断定された。
    ●長岡藩(173頁)
    通説によれば、河井は中立の立場を守り、会津や桑名藩と政府軍のあいだにたって、会津等を説得し戦争中止の方向に導き、長岡藩は戦争に巻き込まれるのを回避しようとしたのだといわれている。
    ●水戸藩の私闘(187頁)
    日本国家のあり方と将来をめぐって、日本を二分して激しい内戦が展開しているなかで、その大きな歴史の転換と渦まいている波とは無関係のように、水戸藩はただ私闘に明け暮れていたのである。幕末以来続いた泥沼のような水戸藩内の闘争が、維新内戦の場で清算されたというだけでは、あまりにも水戸藩の消耗ははなはだしくその代償は高価であったといえよう。

    ☆関連図書(既読)
    「保科正之-徳川将軍家を支えた会津藩主-」中村彰彦著、中公新書、1995.01.25
    「奥羽越列藩同盟」星亮一著、中公新書、1995.03.25
    「北の士魂」郡順史著、青樹社、1989.05.30
    「松平容保-武士の義に生きた幕末の名君-」葉治英哉著、PHP文庫、1997.01.20
    「新島八重の維新」安藤優一郎著、青春新書、2012.06.15
    「小説・新島八重 会津おんな戦記」福本武久著、新潮文庫、2012.09.01
    「八重の桜(一)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2012.11.30
    「八重の桜(二)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2013.03.30
    「吉田松陰の東北紀行」滝沢洋之著、歴史春秋出版、1992.12.25
    (2013年6月1日・記)

  • 「賊軍」の視点から、戊辰戦争の流れを掴むのにとても良い本。特に東北・北越戦争については丁寧に追いかけてくれている。戦局よりも政治的な動きに焦点が置かれていて、成程、と納得する部分も多くあった。賊軍の側に立った表現ながらも、概ね客観的に書かれているので、安心して読める。
    個人的に印象に残った点は、世良修蔵に対して同情的に書かれていた事と、榎本さんは東北諸藩に味方する気は無かったと書いている事。その他、戊辰戦争の流れとは無関係に内部抗争に明け暮れていた水戸藩や、輪王寺宮の動きなども気になるので、この本からもっと知識を広げていきたい。

  • 本書は鳥羽・伏見の戦いから始まっていますので幕末史に初めて触れる人ならばある程度の予備知識が必要となりますが、それ以外は戊辰戦争の入門書・解説書としての役目を見事に果たしています。箱館戦争までの経緯だけではなく水面下での動向にも焦点が当てられていて、他にも大局の前では見落とされがちな、戦争に巻き込まれた町人や村人たちからの視点もあり見所の多い内容でした。が、宮古湾海戦以降の戦いにはほとんど触れられていないのが非常に残念でなりません。とはいえ、もっと早くに読んでおくべきだったと軽く悔やんだ1冊でした。

  • NHK「さかのぼり日本史 第1部」の近代史編でお見かけした人も多いはず。

    幕府側、奥羽越列藩同盟側から見た、幕末の混乱、戊辰戦争、明治への内部の動向、外部との衝突を
    細やかに、そして分かりやすく描いた作品。
    特に同盟に関しては、成立から崩壊までのプロセスを比較的偏りなく描いている。
    仙台の野心と久保田(秋田)のそれに対する疑問、そして他藩の大小の思惑。


    他著者の作品に「物足りなさ」を感じたら、ぜひあたってほしい。

  • ゼミの発表に使いました。凄く参考になったし、奥羽越列藩同盟にも興味が沸いた。

  • 作者が東北の方のようで、敗者の視点というのがリアルにあらわされていた。だからといって勝者を不当に貶める文章でもなく、とても好感が持てた。フィクションではなくノンフィクションで幕末を読むというのは大切だと感じた。

  • 授業で使った(笑)。なかなか興味深い。

  • 良い本。

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