対象喪失―悲しむということ (中公新書 (557))

  • 302人登録
  • 3.67評価
    • (24)
    • (23)
    • (42)
    • (5)
    • (1)
  • 31レビュー
著者 : 小此木啓吾
  • 中央公論新社 (1979年11月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121005571

対象喪失―悲しむということ (中公新書 (557))の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 近親者の死や失業といった、自己のアイデンティティの喪失を引き起こすような出来事を体験した人びとが直面する危機と、そこからの回復の可能性について考察している本です。本書では、そうした体験を「対象喪失」と呼び、その心理的体験をフロイトにしたがって「悲哀の仕事」(mourning work)と呼んでいます。

    著者は、精神分析学の創始者であるフロイトが、その父親や同僚のフリースにまつわる激しい心理的な葛藤を演じていたことについて、比較的ていねいに検討をおこない、フロイトの精神分析学の確立が、まさに「悲哀の仕事」として解釈できることを示しています。

    また、深刻な現代の対象喪失の経験を持たない現代、新たに生じつつある問題についても取り上げています。

  • 失った対象への同一化、排除、理想化……様々な対象喪失反応が事例とともに書かれていて面白かった。後半はフロイトさんの勉強になった。ひとつの決まりきった対象喪失反応の流れが書いてあるのかと思ったら、そんなに単純な話ではないらしい。精神分析的な話(死んだ父への思いを姉の結婚相手に投影うんぬん)は時々屁理屈のように感じてしまうけれど、単純に「こんな風に捉えられるのかあ」と読めば面白い。

  • 「精神分析では、集団もまた個人の心と同じメカニズムで働く」。フロイトのこの力強い信念は、国家そのものもしくは国家的偶像が、しばしば国民の(愛やアイデンティティの)<対象>になってきたことを説明する。<想像界>でひとが<対象>と完全に一致していることは、ひとに安心と思考停止、ひいてはそれを喪失したときに生命の危険さえももたらす。これは、国家観に縛られた現代を生きる私たちに対する、真摯な政治的警告でもあるのだ。

  • とても面白かったです。
    同時に読み進めてたやさしさの精神病理とリンクするものがありました。
    悲しんだり苦しんだりする能力の欠如、その裏に隠れる汚れ、醜さ、不快、悲しみを遠ざけておきたいことが発端で現れる形だけのやさしさだったり。
    自己愛が強くて自己同一視し誰かを愛するポーズをとること、その錯覚から解かれると傷ついて、誰かを1人の自我と見れないこと、、、


    タイトル買いしたけど、とてもあたりでした。

    言いようが難しい感覚をこの本でわかっていく、そんな感じがしました。

  • 自分の今までの感情の原因がわかり、客観的に見れるようになった。経験したことのある人にはスっと理解できる内容ではないでしょうか。

  • 中学生の時に、繰り返し読んだ。その後の自分の人生の動機付けになった一冊です。愛するものを失う悲しみと混乱について、最初に教えてくれた一冊。

  • フロイトの唱えた「喪の仕事」とは失った対象へのアンビバレンツな感情の、そのネガティブな側面への洞察である。防衛機制がそれを妨害するという解釈を改めて確認した。社会へ適応しようとする心の努力が逆効果を招く矛盾。

    しかし、「モラトリアム」が継続し、すべての私は「仮」の私である、という人間にとっては、リアルな不安や悲哀自体がすでに失われている、これはまったく恐ろしい話で、暴力的衝動が野放しというに近いかもしれない。現代の犯罪や社会問題をこういった視点から捉えなおす、これはとても重要に思える。

  • Amazon、¥438。
    フロイトの話が途中からどんどん増えてきて、私が求める[失った存在へ、どのように心を整えて接するのが望ましいのか、または一般的なのか] という疑問に答えてくれる本ではありませんでした。そういう意味での星二つです。本書の内容がひどいという意味ではありません。また時間をおいて読んでみたいと思います。

  • 「悲しみ」とは何なのかをよく理解できる、良書。

  • 感情を否定し続けていてもロクなことがない。認めて、そのあとどうするか、が問題。

全31件中 1 - 10件を表示

小此木啓吾の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
ヴィクトール・E...
東野 圭吾
有効な右矢印 無効な右矢印

対象喪失―悲しむということ (中公新書 (557))に関連する談話室の質問

対象喪失―悲しむということ (中公新書 (557))を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

対象喪失―悲しむということ (中公新書 (557))のKindle版

ツイートする