死をどう生きたか: 私の心に残る人びと (中公新書 686)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121006868

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  • 医師の筆者が看取りを行った人々の記録。
    石橋湛山やエーザイの会長などあるが、その人の死との向かい合い方にまで迫っているものは少ない。

  • 最近死について考えているときに見つけた本。
    上手い題名である。
    著者は聖路加の内科医長を勤めた偉いお医者さん。

    自他共に認める医学会の重鎮。
    その彼が立ち会った死に行く患者達の記録。
    もちろん彼はクリスチャンである。

    ぼくが期待したのは、死に行く人々がどうやって死を自覚し、それを受け入れたのか。
    医者にしか許されない、そういう生の記録である。

    だが、杞憂があったことも確かである。
    その杞憂とは、立場上有名人の死に数多く立ち会っている。
    目次を見ても、ほとんどが有名人の死で占められている。

    医者の立場で有名人に会うのは、当然のことながらその人が病を得たときであり、それまでその人を知らないはずである。
    なのに、その人の功績を一医師が語るのは、オカシイのではないか?というのがぼくの杞憂の正体である。

    そしてその杞憂は残念ながら当たってしまった。

    有名人だから、アンタは自宅まで何度も往診したのだろう?
    普通の人だったら、そんなサービスはしなかっただろう?・・・って。

    そして、もうひとつの杞憂はキリスト教の宣伝である。

    この先生は何冊も本を書いているようだ。
    この本を書くのにも、本人は誠意をこめて書いたと思っているはずだ。
    だが、死についての本質に全く切り込んでいない。
    宗教人が陥り易い自己陶酔のパターンだ。
    実に不満だ。

    この本で登場する数ある有名人の死よりも、彼が初めて立ち会った16歳の名も知れぬ女工の死が、一番深く心に残ったのは皮肉である。

著者プロフィール

1911年山口県生まれ。1937年京都帝国大学医学部卒業。1941年聖路加国際病院内科医となる。学校法人聖路加国際大学名誉理事長、聖路加国際病院名誉院長、一般財団法人ライフ・プランニング・センター理事長などを歴任。予防医学の重要性を指摘し、医学・看護教育の充実、ターミナル・ケア(終末期医療)の普及に尽力。2000年には「新老人の会」を結成。1999年文化功労者。2005年文化勲章受章。2010年には国際コルチャック協会名誉功労賞受賞。2017年7月18日逝去。

「2022年 『2023年版『生きかた上手手帳』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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