問題解決の心理学: 人間の時代への発想 (中公新書 757)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121007575

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  • 問題解決の心理学とあるが、
    こういう心持ちや気構えなら問題解決が進んで仕事の成果が上がる! といったようないわゆるハウツー本ではない。

    30年以上も残っている名著と読んでよい著作であり、
    その内容の主眼は「人はどのように問題を解決していくのか」という精神構造上のプロセスを研究し、まとめていったものである。

    面白いのはこの範囲にはいわゆる問題を解決する事だけでなく、問題を発見し表現する事も含まれる。
    つまり目的を持つという事を考えている。

    その議論のモデルとして3つの小説を引用している。
    お話として読んでしまえばそれまでだが、登場人物が状況の変化の中でどのように判断・決断し、もしくは適応していったかという視点で見ると大変興味深い。

    また著者は工学系の大学院まで進んだのちに、心理・人文系の道に進んだので文理両面で話が展開されていくのも非常に面白い

    詳細は割愛するが、問題解決を考える上で重要な機能は以下である。

    ・生きて働く記憶
    ・原因-結果、手段-目的による物事の理解
    ・問題の適切な表現
    ・知識のダイナミクス
    ・自分を見る機能
    ・感情のコントロール機能
    ・意味敏感性
    ・知識の構造化可能性

    そして
    ・自由に目標を作り出す能力である

    かなり前に書かれた本でありながら、人工知能とその可能性についても言及されている。
    曰く、確かに人工知能は的確に表現された問題に対して解決するのは出来るようになるだろう。
    しかし目的・目標を設定し、問題を適切に表現するのはかなり難しいだろうし、出来ても相当先になるのではないか。

    私もそれには同意だし、人工知能に仕事を取られると恐怖するなら、そこに一つのヒントがあるのではないだろうか。

  • 問題解決するということへの心の動きを分析した本
    既存の「問題解決」の本と違う視点から、「問題解決」を見ているので非常に面白い
    「目標を自由に作ることができる」ことが「希望」であるという最後の一文に筆者の想いが込められている気がする

  • 例が多く引いてあって理解しやすかった。
    お夏のような考え方・生き方を問題解決者として位置付けるという見方は持っていなかった。

    経験から考えるのではなくて、論理的に考えた上で経験で間違いではないかを吟味する、順序が違っている点も参考になった。知識だけあってもダメという風潮がある(ように思う)けれども、知識をどう位置付けてどう使うかが大切なのだということがわかった。

  • 私たちが日々自分の中で立てている「目標」=問題
    それに向かう行動にはどういった心理作用が働いているのか。
    優しくいうと思考のクセを理解することができた。
    やや難読ですが深い考察だと思います。

  •  遠回しな説明、と思いきや、数個の切り口で人間ならではの問題解決プロセスについて、丁寧に説明していた。たとえや文例が古いのは致し方なしだが、容易に理解できる。最後の「統合」能力、ここに各人で大幅な差があるんだな、としみじみ実感。ここを鍛えたい。

  • セミナーに共感して購入。

  • (1989.01.17読了)(1988.11.02購入)
    人間の時代への発想

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 自分自身の経験に置き換えれば問題は解きやすくなる→当事者意識??
    人間には問題を解くための不思議な力が備わっているんだなぁと実感しました。

著者プロフィール

安西祐一郎
元慶應義塾長、東京財団政策研究所所長、慶應義塾学事顧問。1946年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院工学研究科博士課程修了。工学博士。博士(哲学)。専攻は認知科学、情報科学。慶應義塾大学理工学部教授、慶應義塾長、日本学術振興会理事長。中央教育審議会会長などを歴任。慶應義塾大学名誉教授。紫綬褒章受章、文化功労者。著書に『問題解決の心理学』(中公新書、1985)、『認識と学習』(岩波書店、1989)、『「デジタル脳」が日本を救う』(講談社、2010)、『心と脳』(岩波新書、2011)ほか多数。

「2022年 『教育の未来 変革の世紀を生き抜くために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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