- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121008145
作品紹介・あらすじ
いま諸科学が各々の世界で変貌しようとしている。しかもそれは互いに連動し合っている。ゆらぎをはらんだ現実との対話によって自らもゆらぎを示す科学の実像とは何か。本書は生物学、霊長類学、経済学、数学、哲学の第一線が直面する課題を報告、そのもとに二重らせんとセントラル・ドグマ、部分と全体、ポパーの反証主義、カオスとフラクタル、自己組織性などをめぐって討論し、現代思想の核心に迫ろうとする、知的興奮に満たち試みである。
感想・レビュー・書評
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図書館。題名から「方法」の話かと思いきや、少し思っていた内容と違った。そして基礎知識が私に不足しており精読するのを途中であきらめてしまった。ざっと読み。
p179のもじゃもじゃのラッファー曲線(精緻化されたラッファー曲線)の話が。読書メモに引用分メモ。2023/9/28詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1980年代の新しい学問の台頭への期待感を背景に、哲学・生物学・霊長類学・経済学・数学の論客が科学について語った本。
分析を進めることで解像度が上がり質的に異なる科学への道が開けると、浅田は考えているようだった。全体的に、カオスやフラクタルといった比較的新しい数学分野への過度な期待が見受けられるのも時代の制約なのかと思った。 -
生物学と経済学と数学における科学性の差異と類似について哲学がメタ的に交通整理をしながら議論を重ねていくというスタイル。前半が各学者による論考で、後半が全体討論。科学性の純度から言えば、数学>生物学>経済学という事になるのだろうし、純度とは逆相関で複雑性は増し、そこに社会性が入り込んでいく。
題名とは異なり、方法論的な議論はあまりなされておらず、個々の研究領域の業界事情的な話になってしまっているし、34年前の本なので語られているテーマというかワードがちょっと古い印象もある。しかしながら、科学を巡る専門性の問題は、全体と部分や理論と実践や絶対と相対といった二項対立の中でどうポジショニングしていくべきなのかというある種の普遍性はあるように感じる。
あとはやはり問題になってくるのは科学と社会(政治)の関係性であり、本当は浅田彰にこの辺の所を深堀して欲しかったのだが、簡単な整理で終わってしまった印象。佐和隆光は名前だけは知っていて、これまで読んだ事はなかったのだが、視野の広い経済学者のようなので、今後何冊か読んでみたいと思っている。 -
科学の方法をめぐって、浅田彰と4人の科学者がそれぞれの立場から議論をおこなっている本です。第一部は、5人の執筆者の論考が収められ、そこで提出されたテーマについて第二部では5人の討論が展開されています。
収録されている論文は、浅田彰「変貌する科学」、長野敬「ニュー・サイエンスへのオールド・ストーリー」、黒田末寿「全体から部分へ」、佐和隆光「夢と禁欲」、山口昌哉「数学と科学」です。
本書の議論の背景には、トマス・クーンにはじまるパラダイム論の展開と、いわゆるニュー・エイジなどの潮流も含めた新しい科学の思想について、どのように向きあえばよいのかという問題意識があるように思われます。たとえば生物学者の長野敬は、還元主義の限界を見据えつつも、安易なホーリズムに流れることへの警戒を表明しています。また、『経済学とは何だろうか』(岩波新書、1982年)でパラダイム・シフトの発想をもとに経済思想の移り変わりを読み解いた佐和隆光は、その原型となるような議論を展開しています。また、黒田末寿は今西錦司にはじまる個体識別にもとづくサル学の方法について、山口昌哉はフラクタル図形と非線形科学について、それぞれ専門の立場からごく簡単な報告をおこなっています。
本書のテーマそのものが時代背景を反映していて、いまとなってはやや古びているような印象もないではありません。 -
サイエンス
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90円購入2012-01-09
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「中公新書コンシェルジュ2010」というフェアの時に買った本。三冊買って、やっとその中の一冊を読んだ。積読期間長すぎw
科学哲学、生物学、経済学、数学の先生たちが「科学的方法とは何か」というテーマについて論じる。前半はそれぞれ個人の考えを掲載し、後半では討論した内容を収めている。
大学のときに選択した科学哲学の教科書を思い出した。自然科学と社会科学とか、生化学と分子生物学とか、いろんな話題が出てくる。基礎知識が不足しているもののなんとなく雰囲気を味わえた。
各著者が自分の専門分野の話をしているときにも、浅田彰氏は高いレベルでの質問やコメントをしている(ように見受けられる)。どんだけ賢いんだって感じ。福岡伸一氏の推薦文「今もそうだけれど、浅田彰は当時も驚くほど鋭かった。部分と全体。安易な全体論に陥ることなく、解像度を保ちながら、全体を捉える方法を模索しつづけなければならない。」に納得。
異分野同士のいい対談は相乗的な効果があり、個人の知をはるかに超越するものが生まれる。本書は良い例。最近人気の『知の逆転』もこういう感じなのだろうか。 -
1-1 科学論・科学史
今は 1-2 に入ってる。 -
■読みたいリストに追加!(2010年5月7日)
大学生の時に授業で読んだのは覚えているのだけれど、
あの頃ははっきり言って理解できていなかったと思う。
シゴト中にふと「今なら理解できるのかな?」と思い立ったので、
読みたいリストに追加。
年を重ねるというのはかなしーことばかりではないのでアリマス。