科学革命の政治学: 科学からみた現代史 (中公新書 856)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121008565

作品紹介・あらすじ

20世紀は「科学革命の世紀」と呼ぶにふさわしく自然科学が急速に発展した。とりわけ「顕微鏡」による物理学の発見、「望遠鏡」による宇宙への進出は目ざましい。本書は物理学と天文学を主な素材に、ノーベル賞など豊富なエピソードを交えながら、巨大科学の発展のダイナミックス、社会制度としての性格を追求し、現代科学の成果と欠陥を明らかにする試みである。

感想・レビュー・書評

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  • 20世紀の物理学史・科学技術史を紹介しながら、「科学」を一つの社会制度とみなす観点からの考察を展開している本です。

    著者は、現代の巨大科学での画期的な成果が天才のひらめきによってもたらされる「頭脳依存型」の段階を終えて、加速器などの装置がなければ画期的な成果を上げることのできない「装置依存型」に移行していると論じています。こうしたビッグ・サイエンスへの移行によって、科学はもはや個人の自由な創造に基づく創造的な営みであるというよりも、むしろ集団的・計画的な企業活動に近いものになっています。そして、このような現代の科学のありようを解明するためには、従来のような科学理論を対象とする科学論ではなく、科学を一つの社会的な営みとして捉え、その振る舞いを解明する科学社会学的なアプローチが必要になると著者は主張します。

    こうした観点に立って、本書では「専門分野」を、モノと情報のインプット・アウトプットがたえまなくおこなわれているシステムとみなし、そこでの「科学活動」を記述・分析するという方法で、科学という制度の研究をおこなっています。また著者は、クーンの「科学革命」ということばを、理論的側面において進展をもたらす「概念革命」(conceptual revolution)と、制度上の変革としての「制度革命」(institutional revolution)の二つの側面に分けて、科学というシステムの分析では「制度革命」の側面に注目する必要があると論じています。

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