reinouさんの感想
2017年1月23日
1989年刊行。著者は和歌山大学経済学部教授。明治政府が確立したとされる円という通貨単位、さらには金本位制。しかし、円の採用決定がいつ、誰がなしたのかということは不明・不詳のままらしい。本書は、円の採用前史、すなわち幕末から説き起こし、円に関するトリビアも交えつつ、貨幣から浮かび上がる近代経済史(主として日本の)を描き出す。殊に、①松方デフレ政策と②昭和恐慌期における金解禁断行からその頓挫への過程、③終戦直後のインフレに関して貨幣論から光を当てており、なかなか読ませる一書である。