ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書)

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著者 : 中島義道
  • 中央公論社 (1990年1月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121009562

ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 中島義道の著作なので哲学書なのかと思ったら違った。著者がウィーンで体験したヨーロッパ人のエゴイズムと日本人の卑屈さを記したエッセーという感じ。著者の日本人離れしたエゴイズムとヨーロッパのエゴイズムとの対決が面白いが、わざわざ読むほどの価値はないと思った。しかし、著者はここまで社会に対して敵対意識を持って、生きずらくないのかとつくづく思う。

  • [「楽都」で火花、散らしてきました]世界に冠たる音楽の都であり、優雅で気高い雰囲気に満ちた都市というイメージがあるウィーン。その地に降り立った著者は、とびきりに「高慢」な人々の態度や振る舞いにカルチャーショックを覚える。そんな彼がショックを克服しようと思い立った方法、それは、ウィーン人に背を向けることではなく、徹底的に立ち向かうことであった......。自身のウィーン経験の酸いも甘いも語り尽くした留学記です。著者は、哲学やコミュニケーション論を専門とされる中島義道。


    苛立ちをテーマにして一冊書こうと思わせるほどにその記憶が鮮烈だったというのがまず面白い。そして書かれているエピソードが、自分に降り掛かってきたら最悪だとは思いつつも、(中島氏には申し訳ないが)他人事なのでこれまた面白い。初版は1990年なので今はだいぶ変わっているのかもしれませんが、隣人と、家主と、そしてその先に控える文化との徹底的な攻防に、外国で暮らすということの奥深さを垣間見たような気がします。


    そんな中で特にキラリと光るのが、中島氏が指摘するヨーロッパ的高所に立ったところから日本を批判する日本人の不自然さ。「今でもそういう人いるなぁ」と感じたのですが、筋が通っているようで実は二枚舌になっている態度をグサりと問題提起しており、異文化と自らの文化をなんとなく比較するということに潜んでいる危うさを見事に浮き上がらせているように思いました。

    〜「真理よりも権利」という私の実感したヨーロッパ人の態度を、ここで私は最も鮮明に見たように思った。〜

    続編も出てるとのこと☆5つ

  • 自称「戦う哲学者」中島義道氏の原点がここにあるのかもしれない。
    他の著作より毒は少なく、中島氏のウィーン生活の回顧録として書かれているような気もする。
    日本人である中島氏とウィーン人達との権利の主張の仕合いと自己の正当化との戦い、大学での苦難を書いたものだが、最後に爽やかさを残しているところが中島義道氏らしくない。

  • 外国に住むということは、どこの国に住もうと、(恐らく)毎日格闘なのだ。

  • (2003.04.16読了)(2002.03.23購入)
    (「BOOK」データベースより)
    東大で二つの学部を卒業したものの、社会不適応を繰り返す中島青年。明日死ぬなら何をしたいか?せめて重度の「哲学病」を全うしたい、との願いのみ。三十三歳、逃げ場無し。ウィーンで自分を変えられるかもしれない…。だが、待ち受けていたのは頑固・高慢・偏見に凝り固まったヨーロッパだった。家を借りる、試験を受ける、映画を観る、とにかくすんなり事が運ぶためしはない。泣き寝入りもままならず、青年は決意する。ヨーロッパ人と顔突き合わせ喧嘩することを。戦うことと、哲学することはどこか似てる。自分自身になるための、怒りと涙と笑い溢れる奮闘を綴る、ウィーン喧嘩留学記。

    ☆中島義道さんの本(既読)
    「〈対話〉のない社会」中島義道著、PHP新書、1997.11.04
    「私の嫌いな10の言葉」中島義道著、新潮社、2000.08.30
    「働くことがイヤな人のための本」中島義道著、日本経済新聞社、2001.02.19
    「生きにくい……」中島義道著、角川書店、2001.07.30
    「ぼくは偏食人間」中島義道著、新潮社、2001.08.10
    「不幸論」中島義道著、PHP新書、2002.10.29

  • ただ昔行ったことのあるウィーンが題名に付いていたというだけで、期待していなかった。

    本人はあとがきで、文明批評のつもりで書いたのではないと断っているが、立派な文明批評になっている。

    専門家が書くよりも、ずっと理解しやすい。

    本人は相当偏屈な人間である。

    東大の法学科に入学し、途中から哲学に興味を持ち、どちらか迷ううちに学士号二つ、修士号一つを取得してしまい、生活の糧は予備校の英語の教師という経歴である。

    結局、哲学を修めにウィーン大学に入学し、ここで博士号を取得してしまうという我々には想像もつかないくらい、勉強の出来る人間である。

    もちろん英語はペラペラ、ドイツ語もネイティブ相手に訛りを訂正するくらい上手く、ついでにラテン語も主席の点数を取ってしまう。

    そういう人間が、真っ向からウィーン人の不条理な頑固さと戦った記録である。

    戦いも実にレベルの低い戦いである。
    要するに日常生活における日本式の常識対ヨーロッパ式の常識である。

    彼我の間には、いかに乗り越えがたい壁が存在するのか、イヤというほど思い知らされることになる。

    もう30年近い昔のウィーン紀行だが、根底にある問題は今でも変わらないだろう。

    思いがけず拾い物の本であった。

  • 自分の過去を語ることは難しいけど、そうすることで誠実さがあらわれることもあるのだな。

  • 20120517読み終わった

  • 勝田先生から借りた。著者が要領が悪くて頑固に思えた。自分とは違うと。
    ヨーロッパでの日本人の差別は経験していたし、人間関係の衝突の部分も分かる部分もあった。
    でも、この人は「自分対世界」で、私は「人それぞれ」だ。
    途中までしか読めなかったので、勝田先生には、同じ著者のもっと読みやすい本を借りた。

  • 学生としての海外ウィーン生活での異文化との奮闘、海外での日本人社会における階級社会など、30年前の体験談。今なら違うだろうな、という点(情報収集の容易さ)や今も一緒かな(日本人社会の階級)他の都市(自分の住んできた都市)ならどうか、など、比較して考えて読めた。

  • 読んでいて、少し辛い。
    自分の間違いを認めているところからすると、著者は傲慢な人ではない。
    しかし、何をしたくてウィーンに行ったのかが明確でない。

    ウィーンに行った目的が明確でないので、細かな事件が重大に書かれている。
    固有名詞を出してまで書くようなことではないと思う。

    私費留学生で、同じ思いをしないようにという老婆心だろうが、
    それなら私費留学生用のパンフレットでよいかもしれない。

    お話は、ありがちな話だし、契約がからむことは、言葉の障壁は大きい。
    日本語では、いいかげんな口約束が、実現される確率は高い。

    欧米でそれを期待することが問題なのではないだろうか。
    相手の国の文化を理解せずに、そこで暮らそうという点は、著者が傲慢なのかもしれない。

    それでも、参考にはなる。

  •  33歳でウィーン大学哲学科に留学した著者。異境の地で待っていたのは、音楽の都、ハプスブルグの栄光の街という印象のあるウィーン。観光で1〜2日訪れるだけだとほとんど目に入らないかもしれないが、実は偏見に満ち満ちた街、頑固で声高に権利を主張する人が多い街でもある。4年半、ウィーンで過ごした著者の孤独な戦い。しかし理不尽には屈せず、闘う姿勢を魅せる著者に、心の中でエールを送りたくなる、そんな本。ヨーロッパ圏の人々の思想・考え方が強烈に伝わってきて逃げ出したくなるが、理解するためには、まずそれを知ることから始めねばならない。そしてその立場を知ることが、憎だけでなく、愛も生み出す原動力になるのである。

  • 読み物として頗る興味深く読んだ。「森鴎外はわれわれの国民的作家なのだ。そんなふうに扱わないでくれ!」という部分は、本当に共感できた。
    他にも異文化世界で暮らすには、格闘が必要なのだということを痛感させられた。

    他の著書を見たら家族に対する恨みが書かれてあったが、本書では、そういった身内に対する毒というものは感じられない。

  • [ 内容 ]
    学士号2つに修士号を1つ得ながら学問への心残り絶ち難く、33歳にしてウィーンに赴いた青年を待っていたのは、“高慢”にして“偏見”に満ちたヨーロッパであった。
    他人の不正に敏感で、自己の権利を頑迷に主張する高飛車な人々の中で、諦めてひそやかに暮すか、姿勢を硬くして耐えるか。
    青年は決意する、後悔や不安を残さぬため、理不尽な言動に対しては断固戦うと。
    潔癖な憤りと涙と笑い溢れる、4年半のウィーン喧嘩留学記。

    [ 目次 ]
    1 黄昏のウィーン
    2 日本人学校教師として
    3 ウィーンの日本人社会
    4 ウィーン人とは
    5 永遠の学生
    6 家主との闘い
    7 ウィーンでの結婚

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 本書は著者である中島義道氏が、30歳にしてドイツのウィーンに留学した経験が叙述された内容となっている。特にウィーン人のウィーン的人間性のようなものを中心に書かれているのだが、、、こんなにすごいものなのかと正直驚いた。詳細な内容は本書を読んでもらえば分かることだが、公然と明確に自身に非があったとしても、私は間違っていなかったと頑なに主張する。「私は完璧であり、あなたが間違っている」と。そんなことを毅然と言える日本の一般人などまずほとんどいないだろう。たまに見かけることはあるが、ウィーンでは日常的にそのような場面に遭遇するらしい。しかし、そのようないわゆる「頑固さ」というものは日本人にも少しはあってもいいのではないかなと思ったりする。そういう意味では、ウィーン人というのは人間的なものを包み隠さず表出しているという点において、個人的に少し羨ましく感じた。このような自己中心的な人が日本社会にいたとしたら、間違いなく社会不適合者、或いは情緒不安定とか、ひねくれ者とか言われるのだろう。だが、自分の信じる価値観に対して確固とした自信がある、たとえそれが間違っていたとしても。このような”思い込み”により、人は自分以外の価値観を度外視した考えで生きることになる。そっちの方が幸せなんだろうか、自分がいかにおかしな人間かということを自覚せずに生きているほうが幸せなのだろうか。このような”いい”意味で頑固な人間になれれば、周りを気にせず生きられる。こんなウィーン的価値観も一概に悪いとは言えないのではないかなと、そう個人的に感じた。

  • 中島先生自身がウィーンに私費留学していた時の話です。相変わらず中島節炸裂。これを読むと、なんだかヨーロッパに行く気がそがれてしまうかもしれないので旅行前に読むのはやめておこうと思う。きっと生きるのがとっても窮屈なんだろうな。おもしろいけど。

  • 中島義道はもういいかなと言っていたけれど、読んじゃった。これまで2冊の本を読んでいて、文章は好きだったのです。面白かったです。漱石先生の頃からあるどうしようもないヨーロッパコンプレックスが作品全体に流れてて、それを自覚しつつヴィーンで悪戦苦闘する中島さんのエッセイです。全然、哲学が出てこない。主人公は、30を過ぎて親から仕送りしてもらって留学するという、社会的にちょっと・・・な人でしかない。『若き数学者のアメリカ』を思い出しましたが、藤原さんの場合はアメリカ人に反撥しつつもけっこう上手くやっていたような気がします。中島さんのを読むと、ヨーロッパ人とは永遠に分かりあえないのではないかと思えてくる(笑) まあその辺は、自分で確かめてみなきゃ分かりませんが。藤原さんはその後のイギリス生活の方が嫌だったんだっけか。朝永振一郎の『滞独日記』の場合は内面の苦悩や焦り、物理のことが多いですね。でもあるインド人の孤独な死は悲しい。あと、『のだめ』の中の黒木くんという登場人物のパリでの生活が『青緑日記』と題されています(マニアックか?)。これは朝永さんのをモデルにしたんじゃないかと勝手に思っています。そんなヨーロッパに、行ってみたいです。あとこの本は、新書として出すものではないような気がする。そうでなくても、新書御三家というらしい、岩波新書、中公新書、講談社現代新書には微妙な本が増えていると思う。もっと自重してほしいですね。たなぞう利用者諸賢と比べては全然まだまだですが、それなりに感想が増えてきてしまったので、読んでくれている方(ともちろん自分)の便を考えて、これからは感想間のリンクを充実させようと思います。願わくば自動的に飛べるような機能をたなぞうに望みたいところです。関連リンク・中島義道の本 『哲学の教科書』http://review.webdoku.jp/note/4390/12835/1?id=179406 『哲学の道場』http://review.webdoku.jp/note/4390/14870/1?id=194154・藤原正彦『若き数学者のアメリカ』http://review.webdoku.jp/note/4390/13216/1?id=172404・朝永振一郎『量子力学と私』(「滞独日記(抄)」収録)http://review.webdoku.jp/note/4390/13216/1?id=128469昔書いた感想を読むのは、ちょっと照れくさい。

  • ギドー先生の処女作。
    遠慮がちな筆致が初々しさを物語る。
    あいさつを巡ってのドイツ人教師とのバトルは、
    彼の言語観を示すエピソードとしてのちのちまで語られる。

  • 2008/10/2〜3.6.9.10

    中島さんの著書。これは薦められて読んだもの。

    中島さんは12年の大学生活のち、ウィーンに飛んでウィーンの学生となったときの戦闘記とも言うべき一冊でしょうか。
    ウィーンでの生活が事細かに書かれていました。
    とてもおもしろいです。
    執筆の仕方も面白いのですが、なにより、中島さんの経験した話が突拍子もないことばかりで
    日本にしか居住経験の私からすると、大変興味の出る面白い一冊でした。
    ここから今の中島さんがうまれたんだなーと思いました。


  • 彼のウィーンでの怒涛の生活を描いた一冊。いいですよね。こんな苦労も若いときならって感じです。でも大変だったろうな。重みを感じながら読めました。

  • やっぱり外国に住むのは難しいと思いました。

  • 最初に読んだときはふーん、こんなものかと思ったけれどドイツに来て再読したらうなずけることばかり。
    私も格闘します!

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学士号2つに修士号を1つ得ながら学問への心残り絶ち難く、33歳にしてウィーンに赴いた青年を待っていたのは、"高慢"にして"偏見"に満ちたヨーロッパであった。他人の不正に敏感で、自己の権利を頑迷に主張する高飛車な人々の中で、諦めてひそやかに暮すか、姿勢を硬くして耐えるか。青年は決意する、後悔や不安を残さぬため、理不尽な言動に対しては断固戦うと。潔癖な憤りと涙と笑い溢れる、4年半のウィーン喧嘩留学記。

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