- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121010339
作品紹介・あらすじ
徳川幕府の政権奉還ののちも、岩倉具視や西郷隆盛らによる真の朝廷政権樹立の画策が進められた。慶応3年12月8日、薩摩・土佐藩など5藩士は岩倉邸に集合、翌日のクーデター断行が告げられた。その後、席を朝議の場に移して、激論は9日朝におよぶ。この朝議がはねて間もなく、王政復古の大号令が渙発された。これより戊辰戦争の戦火が立ち昇る。それぞれの思惑を秘めて時代の大転換期に臨んだ人々の動きと、歴史的意義を検証。
感想・レビュー・書評
-
王政復古、すなわち慶応3年12月9日の政変に至るまでのプロセスを、ペリー来航から丁寧に説きおこし、王政復古の意義を論じている。
ところどころに日記等の1次史料を引用しつつ、人物の動向を中心に緻密に経緯をたどるオーソドックスな政治史の叙述でありながら、歴史小説とも見まがうような格調高い、読ませる文章となっており、出色の歴史系新書といえよう。
ただ、王政復古に至るまでの経緯がかなり丁寧に描かれていたのに対し、出来事としての王政復古の政変自体の記述が、ちょっとあっさりし過ぎているようには感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
序章 王政復古・前史
第1章 慶応3年の政治社会
第2章 慶応3年の春、そして夏へ
第3章 慶応3年の夏
第4章 慶応3年の秋
第5章 慶応3年の冬
第6章 王政復古の日
結語 王政復古の宣言、あるいは近代日本の出生証
著者:井上勲(1940-2016、山口県、日本史) -
慶応三年のみに絞って、王政復古までの政治過程を詳細に叙述。わずか1年の叙述で新書が1冊書けるのだから、幕末史とは恐ろしいジャンルである。
ただし、1年間の動きをただひたすら書いているわけではなく、途中途中で政治過程の各アクターの解説や、「公議」という理念の説明、慶応3年以前の政治史の解説やらが挟まってくる。この縦横無尽な叙述の仕方が僕にはどうも合わず、スムーズに読み進められなかった。読んでいるうちに本筋がなんだかわからなくなってくるのだ。また新書という性格を考慮してだろうが、史料の典拠も十分でない。でも論文のような引用注でなくとも、どの史料集に載っているかはやはり書くべきだと思う。 -
慶応3年12月9日の政治クーデタと言われる事件に至る史実をペリー来航から詳しく記述した一冊。
今まで大政奉還は土佐藩山内豊信から慶喜への奏上で突然行われたのかと思っていたけど、慶応3年後半にはすでに色いろと語られていたようですね。 今までの私の固定観念を覆すような内容が多かった。
幕末って日々変わる状況に幕府、慶喜、薩長土芸越尾の藩主/臣下が何を考えて何を決めたのか、或は決めなかったのか、めまぐるしい状況だったんですね。面白い。 -
中世史の教授に薦められて。
討幕の密勅についてが特におもしろかった。
客観的でわかりやすかった。 -
明治維新前後の流れを体系的に把握することができる良書です。江戸から明治への流れを理解すること、己の知識体系を確認すること、双方に使えます。
http://ameblo.jp/youji-kyouiku/entry-10469566969.html