昔話の考古学: 山姥と縄文の女神 (中公新書 1068)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121010681

作品紹介・あらすじ

昔話の山姥は人をとって食う妖怪として恐れられてきたが、『古事記』や『日本書紀』に登場するイザナミやコノハナノサクヤビメのように豊穣をもたらす女神、ひいては縄文時代から崇められてきた母神を思わせる一面をも持っている。神話や、縄文時代の遺物などと照らし合わせながら、山姥の登場する昔話の意味を考え、それら昔話や神話の比較により、土偶や土器、石棒などに対して古代の人が抱いたと思われる宗教的意義を考察する。

感想・レビュー・書評

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  • NDC(8版) 388.1

  • 山姥伝説から日本書紀、古事記のオホゲツヒメ、ウケモチ、またイザナミとの類似性、さらに縄文土器に表された原始宗教の地母神信仰とメラネシアやニューギニアなどの古栽培民の芋やバナナの起源神話、さらに男根信仰までまとめて加えて、それでもわりと破綻してない感じですーぱーおもしろかった……。

  • 前半〜中盤にかけては山姥に関係する民話採集、日本神話の女神達との比較…なんだが7章あたりからが怒涛の流れですごく面白かった…まるでミステリの伏線回収のようで、読ませる構成だった。

  • 昔話で誰もが聞いたことのある山姥に関する話を「古事記」「日本書紀」等の神話の世界から読み解き、そしてそれらの比較から土偶等をはじめとする古代人の宗教観までを説明してくれています。

    誰もが聞いたことのある山姥に関する話が、日本各地の離れた所で同じ様な話が残っていたり、その話も様々なバリエーションがあることに驚きました。

    今ほど人の交流がない時代になんで日本の北と南で同じ様な話が伝承されているんでしょうね?
    これもやはり古代から連綿と同じ様な信仰が続いてくる中での偶然の産物なんでしょうね。

    それに人の多産にしろ食物の豊作にしろ豊饒へのあこがれとそれを生み出す女性への畏敬の念が古代人の心の奥底にあることがよくわかりました。
    やはり「女性は太陽」の言葉に間違いはないんですね。

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著者プロフィール

1960年、大阪府生まれ。
1988年、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。
2006年、京都大学「博士(教育学)」(論文博士)。
現在、大阪府立大学大学院教授(2022年4月より、大阪公立大学大学院現代システム科学研究科/現代システム科学域教育福祉学類所属)。

日本ホリスティック教育/ケア学会前会長。日本ユネスコ協会連盟理事。日本シュタイナー学校協会専門会員。京田辺シュタイナー学校顧問。

主な著作(単著)
『ホリスティック教育論:日本の動向と思想の地平』日本評論社。『ブーバー対話論とホリスティック教育:他者・呼びかけ・応答』勁草書房。『世界のホリスティック教育:もうひとつの持続可能な未来へ』日本評論社。『世界が変わる学び:ホリスティック/シュタイナー/オルタナティブ』ミネルヴァ書房。
(共編著)
『いのちに根ざす日本のシュタイナー教育』、『ホリスティックな気づきと学び』、『ホリスティック教育入門』、『持続可能な教育と文化:深化する環太平洋のESD』、『ホリスティック・ケア:新たなつながりの中の看護・福祉・教育』―以上、せせらぎ出版、ほか。(共著)『変容する世界と日本のオルタナティブ教育』(永田佳之編)世織書房、『ケアと人間:心理・教育・宗教』(西平直編)ミネルヴァ書房、ほか多数。

「2022年 『教育のオルタナティブ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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