ゾウの時間ネズミの時間: サイズの生物学 (中公新書 1087)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121010872

感想・レビュー・書評

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  • おそらくこの本の初版が出たとき中学生で、長期休みの前に先生の一人が推薦図書にあげていてずっと気になっていた。
    20年立って未だに平積みされている以上、やはり読まねば、と。
    読んで納得、これは読みやすいし、おもしろい。選択授業の関係で生物を取らなかった私でもわかるような言葉で書かれているけれども、内容は濃い。
    そして着眼点が好き。サイズが違えば、時間の流れ方も違う、体のデザインにもきちんとその生物なりの理由があり、人間だけの世界観で測っていてはいけない、ということ。
    これは動物学の本だけれど、いろいろ考えさせてくれる本だ。

  • 生物の身体の構造や生存戦略がサイズによって規定されているということを、さまざまな事例を引きながら解説している本です。

    ゾウやネズミなどの哺乳類だけでなく、昆虫やサンゴ、ウニやヒトデのような生物についても、サイズという観点から一見不思議な生態を解き明かしています。

  • ちょっと前の本ですが、なかなか興味深い。
    やっぱ自然界は最適化する方向に動くんだなというのを実感。

  • この本には生物のサイズや体のつくりが自然界から見るとこんなに合理性があって、うまくつくられているものだと感心させられることしきり。
    代謝量と体重の関係、体重と食べる量の関係、レイノルズ数(慣性力と粘着力の比)と体長の関係など、様々な動物のそれらの関係を並べてみると綺麗に比例関係にあるのは自然界の不思議であり何とも見事だとしか表現できず、人間は普段人間の目線でしか考えない、なんとも視野の狭い動物だという気にさせられてくる。
    自分自身は学生時代生物は苦手科目であったが、そのような人でも問題なく読むことのできる、人間が最も優れた生物だという自惚れを拭い去ってくれる内容であると思う。

  • 本川達雄著「ゾウの時間 ネズミの時間」中公新書(1992)

    (1)体重が増えると時間は長くなる。ただし1/4乗で増えるため、体重が16倍になると時間がようやく2倍になるという計算である。体重の増え方に比べれば時間の長くなり方はずっとゆるやかだ。ではあるが、体重とともに時間は確実に長くなっていく。つまり大きい動物ほど、何をするにも時間がかかるということだ。時間は実は絶対ではない。我々は時間をふつう時計を使ってはかっている。時は万物を平等に駆り立てていくと我々は思っているが実はそうではないらしい。ゾウにはゾウの、犬には犬の、猫には猫の、ネズミにはネズミの時間と、それぞれ身体のサイズに応じて、違う時間の単位があることを生物学は教えている。このような生物における時間を物理的な時間と区別して、生理的時間と呼ぶ。
    (2)大きいということはそれだけ環境に左右されにくく、自立性を保っていられるという利点がある。動物は身体の表面積を通じて環境に接している。サイズが大きい程体積辺りの表面積は小さくなるので、表面を通じての環境の影響を受けにくくなると考えられる。サイズが大きい程上にも強い。飢餓状態では身体に蓄えられた脂肪などを使いならしのいでいく。一般的に体重が半分に減少した時点で多くの動物は耐えきれず死んでいく。サイズが大きいということは一般的にいって余裕があり、ちょっとした環境の変化はものともせず、長生きできる。これは優れた性質だが、一方でデメリットがでてくる。この安定性が、新しいものを生み出しにくくしている。大きいと個体数が少ないし、ひと世代の時間もながいため、ひとたび克服できないような大きな環境の変化に出会うと、新しい変異種を生み出すこともできず絶滅してしまう。一方で小さい物はつぎつぎと変異し、後継者を残すことができる。

    生物学はよく経営学の難問の解決の糸口になりやすい。このような事項を見てみても、大企業と小企業の違いが生物学と全く一緒であるということが良くわかる。なぜなら、大企業であれば分業化が進み、1人のスタッフが1つの職種を受け持っている。一方で小企業は人数が足りないため、様々な業務を1人でこなさなければならない。経験値の向上という観点でいえば、小企業では同じ時間働いていたとしても、大企業にいる数倍以上の経験を有する時間が過ごせるのではないかと個人的には考えている。また、金融破綻、経済危機などの大きな外部環境の変化は大企業にとっては死活問題であるが、ベンチャー企業にとってはまさにチャンスである。2011年という大きな変換がおこっている現在、救世主となるのは、今を生き残ったベンチャー企業であろうというのが、生物学的な見解かと個人的に考える。生物学と経営学を同時に比較したい人間にとって、この本は、経営学に応用できそうな生物学の世界観を教えてくれる個人的には貴重な本である。

  • ネズミとゾウが寿命は違えど同じ時間を生きてることに驚いた。難しいけど面白かった!

  • 体のサイズや形態から、その生き物の時間、あり方を考えると、サイズ対比ではどんな生き物にも概ね同じ法則が当てはまるというのは、とても興味深いこと。進化はやはり奥が深い。この法則に基づいてヒトやその技術を相対化すると、自然の道から外れてるなぁ、と思う。

  • グラフとかが結構あってわかりやすく面白かった気がする。

  • 私には合わなかった。

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著者プロフィール

生物学者、東京工業大学名誉教授。

「2019年 『生きものとは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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