新しい民族問題 (中公新書)

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著者 : 梶田孝道
  • 中央公論社 (1993年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121011169

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新しい民族問題 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 大学院に上がったころ、雑誌『世界』に掲載された梶田さんの文章を読んで、当時新刊で出ていた本書を購入した。雑誌記事の短さに比べて、新書とはいえ300ページほどある本書は、読み始めたものの、途中で投げ出してしまった記憶がある。
    今年度からエスニシティに関する講義を担当し、真っ先に再読を思い立ったのが本書。読み始めたものの、秋学期の講義だったこともあり、またやめてしまった。なぜかすーっと頭に入ってこない、私にとっては読みにくい文章。しかし、講義も始まり、後半にはヨーロッパとEUの話もする予定なので、再度読むことにした。今回は民族問題や、近年話題の難民問題へと少し頭がシフトしていたせいか、何とか読み終えることができた。

    序章 外国人たちのヨーロッパ
    第一章 EC統合と「人の自由移動」
    第二章 不透明な非EC諸国民の将来
    第三章 「移植されたイスラム」のゆくえ
    第四章 「東」から「西」への人の流れ
    第五章 南欧をめぐる人の移動の変化
    第六章 難民制限へと向かうEC諸国
    第七章 ナショナリズムをめぐる問題
    終章 EC統合と民族問題の変容

    読み終えてみると、20年前の本であり、すでに「新しい」民族問題ではなくなってはいるが、とても有用な情報と見識が詰まった本であった。EC時代には目標でしかすぎなかったことが既にEUとして実現してはいるが、本書はあとがきに「1993年1月1日 EC単一市場発足の日に」と記されているように、ある意味で非常に重要な転換期に書かれた本でもある。
    そして、拙い私の知識ではあるが、移住や難民の問題について、かなり広い見地から事例が集められている。目次からも分かるが、ヨーロッパ内移民の供給先の変化、イスラムの問題。東西対立から南北問題へ。
    梶田さん自身はフランスの研究を中心としており、取り上げられる「スカーフ問題」などは古い気もするが、問題としてそうした問題はすでに過去のものかというとそうではない。タイトルの問題か、現在は増刷されていないようだが、今日でも価値を失っていない新書だと思う。ただ,副題に「エスニシティ」とある割には概念そのものに対する批判的検討はなく,本書における民族とは素朴な理解であるのは書かれた時代的な問題か。

  • 1993年に刊行された本で、EUの前身であるEC(ヨーロッパ共同体)の統合が推し進められ、ヨーロッパ内部でのナショナリティが乗り越えられつつある中、外国人移民にまつわるエスニシティの問題が新たに浮上していることを紹介しています。

    本書では、ヨーロッパにおける移民を、いくつかのサブグループに分けて、それぞれの現状についてレポートしています。とくに、イスラム系移民、ソ連の崩壊に伴ってヨーロッパへの流入が増加している「東」からの移民、そして「南」からやってくる経済難民の3つのグループに関して、詳しい紹介がなされ、ヨーロッパが直面しつつある問題を指摘しています。

  • [ 内容 ]
    EC統合はたんなる政治経済問題だけでなく、人の移動によって生じる社会の多民族化、多元的アイデンティティの発生という新しい民族問題を示しつつある。
    一方、東欧・旧ソ連の変動は、むしろ国民国家モデル強調による国境紛争という旧い民族問題を多発させている。
    この二つのモデルが重なり合って複雑な様相を呈しているのが今日の民族問題の特色である。
    問われているのは「ヨーロッパ」であり、「市民権」であり、「国家」である。

    [ 目次 ]
    序章 外国人たちのヨーロッパ
    第1章 EC統合と「人の自由移動」
    第2章 不透明な非EC諸国民の将来
    第3章 「移植されたイスラム」のゆくえ
    第4章 「東」から「西」への人の流れ
    第5章 南欧をめぐる人の移動の変化
    第6章 難民制限へ向かうEC諸国
    第7章 ナショナリズムをめぐる問題
    終章 EC統合と民族問題の変容

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    [ 参考となる書評 ]

  • EC統合とエスニシティ
    93年出版なので新しくはないですが

  •  EU統合への進む最中、92年当時のECの移民、難民問題に関する小論集。かなり読みやすかったが、文化面や政治面のみならず、法制度面ももっと取り上げるべきだと思う。シュンゲン条約、ダブリン条約(協定)については冒頭と6章で軽く触れただけでこれがECの難民・移民レジームに齎した影響、あるいは各国に齎した影響等があまりよく読取れない。
     またフランスをケーススタディとして取り上げているが、著者がフランス研究者だという理由、またスカーフ問題がかつてあった(現在でも再燃)という理由以外は不透明。相対化、一般化、特定化という比較行為はある程度必要だったのは?無論、これを目的とすると言語的制約から国際機関の資料といずれかに国の言語(自分が研究する)しか不可能でこれが問題であるという見方もある。その意味では、著者の判断は一般的かもしれない。また制度面や社会政治面に関しては概略的でしかないが、各国の事情に着いても触れている。学部生が読むには有益だろう。
     やっぱり難民問題から、特に欧州レジームとの関係からチェチェン難民を論じる意味を感じたし、自分自身が難民問題に引き続き関心を抱いているということも確認で来た。

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新しい民族問題 (中公新書)の作品紹介

EC統合はたんなる政治経済問題だけでなく、人の移動によって生じる社会の多民族化、多元的アイデンティティの発生という新しい民族問題を示しつつある。一方、東欧・旧ソ連の変動は、むしろ国民国家モデル強調による国境紛争という旧い民族問題を多発させている。この二つのモデルが重なり合って複雑な様相を呈しているのが今日の民族問題の特色である。問われているのは「ヨーロッパ」であり、「市民権」であり、「国家」である。

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