アメリゴ・ヴェスプッチ: 謎の航海者の軌跡 (中公新書 1126)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121011268

作品紹介・あらすじ

アメリゴ・ヴェスプッチは、謎の航海者である。かれの評価は500年の歴史を通じて二転三転した。かれはコロンブスとそれに続く航海者達がアジアの一部と思いこんでいた未知の陸地が「新大陸」であるという事実に、合理的な推論で初めて気がついた人物である。本書は広くヴェスプッチ一族にも光を当て、かれの人物像を解明する。また古地図を時系列により分析し、かれの生きた時代を巨視的に検討し、アメリゴの生涯と全業績を追う。

感想・レビュー・書評

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  • コロンブスは嘘つき。アメリゴ=ヴェスプッチが真実を語る者。そんな簡単なもんじゃないってことを教えるよ。時代背景から幅広く学ぶことができる、大学の授業に最適の歴史本だと思いました。


     ただ、読み物としての面白さは初心者には厳しい。歴史好きには程よい。でもテンション上がらなくて残念だった。勉強不足に辟易。

     アメリゴは新大陸の発見者だけど、「アメリカ」の定義者じゃないってことを言っている。アメリカってのは、本当に欲望の捌け口の土地、アメリカン・ドリームなんだなぁと思った。

     マジ、ファッキン!




    _____
    p183 誰がアメリカ新発見と言ったのか
     アメリゴ=ヴェスプッチは新大陸の発見を主張していない。それなのに、他人の発見を搾取したという汚名を着せられることがある。かわいそう。
     コロンブスもアメリゴも謎の土地を発見したということなんだろう。アメリカの発見者が誰かというのが問題になったのは第二次大戦後という。

    p189 もう一つのヨーロッパ
     アメリゴ=ヴェスプッチはアメリカ大陸を新しい世界を見つけたと考えた。しかし、ヨーロッパ世界はそうは考えていなかったようだ。新世界と言いつつ、「もう一つのヨーロッパ」として仕立て上げた。それゆえにその後の悲惨な征服活動が行われる。
     ヨーロッパがアジアを「別の世界」と考えていたのに対して、「アジアじゃなかったから別に何も神話的じゃないものとして扱っていい土地」として新大陸を考えたのは面白い。いや、当時のヨーロッパ人の身勝手さが、生々しくて、人間らしくて、リアルである。
     そういう点でアメリゴ=ヴェスプッチは今ある「もう一つのヨーロッパ」として蹂躙されたアメリカの理念の提唱者ではない。

     ナイーヴな問題なんだなー。これは簡単に説明できないや。

  • (1995.05.27読了)(1994.01.12購入)
    謎の航海者の軌跡
    (「BOOK」データベースより)amazon
    アメリゴ・ヴェスプッチは、謎の航海者である。かれの評価は500年の歴史を通じて二転三転した。かれはコロンブスとそれに続く航海者達がアジアの一部と思いこんでいた未知の陸地が「新大陸」であるという事実に、合理的な推論で初めて気がついた人物である。本書は広くヴェスプッチ一族にも光を当て、かれの人物像を解明する。また古地図を時系列により分析し、かれの生きた時代を巨視的に検討し、アメリゴの生涯と全業績を追う。

    ☆関連図書(既読)
    「女族大陸」山田智彦著、集英社、1981.06.25
    「フジモリ大統領とペルー」芝生瑞和著、河出書房新社、1991.11.30
    「十二の遍歴の物語」G・ガルシア=マルケス著・旦敬介訳、新潮社、1994.12.10

  • コロンブスと同時代の航海者であり、アメリカ大陸の命名者とも言われるアメリゴ・ヴェスプッチの紹介本。そもそもアメリゴは新大陸の命名者でもなければそうした功績を主張もしていない。後の人々により新大陸にアメリゴの名が冠されたが、当人はそのことすら気づいていなかった可能性がある。一次史料が極端に少ないため不明な点が今なお多いアメリゴは、コロンブスの功績を横取りした等と不当に評価が貶められているが、実際はそのようなことは無かったことを論証する。日本語での分かりやすい研究書として稀有の本である。
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    【図書館】

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著者プロフィール

元外交官、評論家。1928年(昭和3年)横浜市に生まれる。
仙台陸軍幼年学校卒業後、陸軍予科士官学校入学。この年に終戦を迎える。
54年東京大学文学部仏文科を卒業後、外務省入省。
スペイン、ベトナム、OECD、ペルー、イタリアに在勤。
国連局社会課長、中南米第一課長、中南米参事官、
内閣官房インドシナ難民対策連絡調整会議事務局長、
在サン・パウロ総領事、駐ホンジュラス大使、駐コロンビア大使、駐チリ大使を歴任し、
92年に退官。
その後、浜松大学国際経済学部教授、2003年退職。国家基本問題研究所客員研究員。
主な著者に、『オルテガ』『アメリゴ・ヴェスプッチ』(以上、中公新書)、
『国家権力の解剖』(総合法令)、『黄昏のスペイン帝国』(中央公論新社)、
『国民のための戦争と平和の法』(小室直樹氏との共著、総合法令出版)、
『国際連合という神話』(PHP新書)などがある。

「2021年 『国防と国際法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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