センスある日本語表現のために: 語感とは何か (中公新書 1199)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121011992

作品紹介・あらすじ

「語感」ほど、誰もが確信を持ちながら、逆に普偏的な説明の困難な言葉も珍しい。感覚的な言語論を超えた語感の整理・分析は、いかに行なわれ得るのか。本書は、言語行動の三つの要素、つまり、表現主体である人間、評現対象である物事、そして表現手段であることばから語感を分類し、さらに、語彙体系の影響、言語的環境のバランス、語の用法や使用頻度などにも言及しながら、豊かな言語生活を楽しむヒントを提供するものである。

感想・レビュー・書評

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  • 2015.03.26 北澤さんのレビューより

  • 日本語の語感について、さまざまな例を取り上げて考察した本です。

    ややとりとめのないエッセイのような書き方で、気軽に読むことができる本です。著者も「あとがき」に代わる最終章の中で、「漫筆 語感のはなし」といった調子で書かれた本だと述べています。内容はたいへんおもしろく読めましたが、やはり語感というものを、法則や理論の形にするのは、たいへんだなあと感じさせられました。

  • 2010年に発行された『語感の辞典』の著書中村明氏が書かれた本ということで興味があり購入。本書はこの辞典が発刊される16年も前に書かれたもので、辞典とは違い、覚え書き風に記されている。『語感の辞典』は私も(愛用とまではいかないが)時々利用している。辞典と併用して読むのも面白い。「一生懸命」と「一所懸命」、「ふるさと」と「故郷」など、知りたかった語感の違いに触れることができる。
    それにしても、「ごはんにしますか、ライスにしますか」という店員のエピソードは、私も(著者同様)”きょとん”としてしまった。これは語感というより、その社会での”位相語”として理解されるべきだと思うが…。
    普段何気なく使っている言葉を見直すのによい本だと思う。

  • (図書館)

  • 「語感」て大事だよね。

  • 共約不可能性、翻訳の不確定性、指示の不可測性という概念があります。ものすごく噛み砕いて説明すると、翻訳や指示は必ずしも一対一にはならない、というものです。例えば、「リンゴ」と言っても、人によっては真っ赤なリンゴを想像したり、ウサギ型の可愛いリンゴを想像したり、樹になっているリンゴを想像したり……と、送信者(話し手)と受信者(聞き手)との間には完全には一致しない「ズレ」がある、ということです。

    爆笑問題カーボーイのリスナー投稿で、便意を催すことを「お知らせが来る」「天使を下界に放つ」等と表現した投稿者がいましたが、これも間接表現の一つと見ることができます。

    この「ズレ」、著者は言葉にまとわりつく体臭のようなもの、と表現しています。本来的な意味を超えて付着しているイメージ。また、著者は、その「ズレ」=「語感」に着目して、様々な単語の使い分けについて解説しています。

    がしかし、「語感」の違いを羅列しているだけで、その単語が使われるようになった歴史的背景や起源や解説が浅く、学問と呼べる領域にまでは達していないように感じます。ただ、「○○ということばは××というイメージをもっている」とだけに留まり、消化不良感が残ります。
    タイトルの「センスある日本語表現のために」なんて、では実際どんな日本語表現がセンスの良いものなのか、どうしたらそんな表現ができるようになるのか等の方法論的展開が稚拙で、この程度の内容なら僕でも書けるのではないか?と思ってしまうこともしばしば(実際は無理だろうけど……)。

    「ズレ」をうまく利用した日本語表現の活用法が書いてある本だと思っていましたが、そうではありませんでした。「ズレ」を研究するに留まり、発展型としての活用法は書いてありませんでした。

    評価は甘めのAにします。

  • 日本語の語彙、特に類義語の事例を「漫筆 語感のひろがりを語学的自叙伝風」に綴った本。言葉の辞書的な意味だけではなく、語感が持つニュアンス〜「匂い」や「陰影」や「環境」などに依る使い分けの事例が具体的に解説されている。体系だった話の流れにはなってはいないが、どの事例も納得するものばかりで、最新の日本語事情の変化を除けば、普段の読み書きに役立つトピックが満載だ。

  • [ 内容 ]
    「語感」ほど、誰もが確信を持ちながら、逆に普偏的な説明の困難な言葉も珍しい。
    感覚的な言語論を超えた語感の整理・分析は、いかに行なわれ得るのか。
    本書は、言語行動の三つの要素、つまり、表現主体である人間、評現対象である物事、そして表現手段であることばから語感を分類し、さらに、語彙体系の影響、言語的環境のバランス、語の用法や使用頻度などにも言及しながら、豊かな言語生活を楽しむヒントを提供するものである。

    [ 目次 ]
    1 ことばのひろがり
    2 語感とは何か
    3 類義語の意味関係
    4 表現者の影
    5 対象の照り返し
    6 ことばの体臭
    7 語感の環境

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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 図書館1階の学士力支援図書コーナーでは、大学の建学の精神に基づいた図書を3つのテーマに分けて配架しています。
    ・アイデンティティを求めて
    ・いかに生きるか
    ・視野を広げる、世界を知る力

    この本は→「いかに生きるか」

    配架場所はこちら→http://libopac.josai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=2000043041&key=B129974015018995&start=1&srmode=0

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著者プロフィール

1935年、山形県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。国立国語研究所室長、成蹊大学教授を経て、早稲田大学教授(日本語研究教育センター所長)、現在は名誉教授。日本語文体論学会代表理事、現在は名誉顧問。主著に『日本語レトリックの体系』『日本語文体論』『日本語 語感の辞典』『日本語 名表現辞典』『日本語 笑いの技法辞典』『新明解 類語辞典』『類語ニュアンス辞典』『美しい日本語』『日本語の勘』『日本語名言紀行』など。

「2023年 『文章作法事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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