物語アイルランドの歴史: 欧州連合に賭ける妖精の国 (中公新書 1215)
- 中央公論新社 (1994年11月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121012159
作品紹介・あらすじ
アイルランドは人口僅か350万余の小国ながら現在、世界各地に住むアイルランド系の人々は七千万を超すといわれる。現大統領メアリー・ロビンソン女史は就任演説で「七千万同胞の代表として」と抱負を語った。紀元前数世紀いらいの古いケルト文化と伝統を継承するこの国は、いま統合ヨーロッパの息吹の中で、新たな飛翔を試みている。本書は五千年に及ぶ民族の哀歓の歴史を跡づけ、北アイルランド問題の本質にも迫ろうとする。
感想・レビュー・書評
-
233
隣り合う国どうしは文化的・民族的に近い位置にあるにもかかわらず(だからこそ?)仲が悪いことが多い。イギリスとアイルランドの関係もそうである。両国の間は民族が違う、宗教が違う、両国の間には征服者と被征服者という不幸な歴史が存在している。
(『世界史読書案内』津野田興一著 の紹介より)
「アイルランドは人口僅か350万余の小国ながら現在、世界各地に住むアイルランド系の人々は七千万を超すといわれる。現大統領メアリー・ロビンソン女史は就任演説で「七千万同胞の代表として」と抱負を語った。紀元前数世紀いらいの古いケルト文化と伝統を継承するこの国は、いま統合ヨーロッパの息吹の中で、新たな飛翔を試みている。本書は五千年に及ぶ民族の哀歓の歴史を跡づけ、北アイルランド問題の本質にも迫ろうとする。」
目次
序章 古代アイルランド
第1章 中世アイルランド
第2章 イギリスによる植民地化
第3章 近世初期のアイルランド
第4章 カトリック教国アイルランド
第5章 アイリッシュ・ナショナリズム
第6章 独立運動の高揚
第7章 アイルランド自由国から共和国へ
終章 戦後のアイルランド詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
元大使でその前は記者だった著者だからこそ書けたのでは。記述は詳細を極めており、よくここまで調べて、この分量に収めたものだ。
なんと難しい状況を背負った国だろうか。
個人的にはイギリスの首相がグラッドストンになったあたりから、俄然面白く読めた。 -
駐アイルランド大使を務めた経験もある著者によるアイルランド通史。
アイルランドの起源から1990年代まで、一冊によくまとまっている。
島国として、グレートブリテン島とヨーロッパ大陸(北はスカンディナヴィア、南はスペイン、フランス等)の影響を不断に受け続けてきた歴史であった。
また、ヘンリー8世によるアイルランド支配や清教徒革命の頃から特に、カトリック対プロテスタント、英国との連合派(ユニオニスト)対独立派(ナショナリスト)といった対立軸が常につきまとうようになり、複雑な歴史を形作っている。
記述が相前後しやや分かりにくい箇所があるものの、アイルランド理解にはうってつけの一冊といえる。 -
ちょっとした読みものとして十分合格点に達してます。
ケルトは謎めいた魅力的ですなぁ、アイルランドでビール飲みたくなってきた。夢のまた夢ですが。 -
w
-
ミュージカル『ビューティフル・ゲーム』を観た時に、アイルランドの社会的事情をまったく知らなくて、同じ国の中で宗教対立がある意味がぜーんぜんわからなくて、気になってたので簡単に説明してくれそうな本を…ということで読んでみた。
アイルランドに北と南があるのも意味不明だったんですよね。
世界史自体に疎い私にはこれでも読むのが大変で、なんとなくざっと読んだ感じで、まだまだよくわかりませんが、今後理解していく下地くらいにはなったと思う。 -
以前からイギリスの正式名称「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」の歪さが気になってしょうがない、アイルランド文学を読む上でも歴史をきちんと知りたい。そんな思いから教科書として手にとった一冊。とてもわかりやすくかつ丁寧に網羅されている。迫害されたカトリック、奪われたゲール語、根深い北アイルランド問題の本質、イングランドとの従属関係等が俄に理解できる良書。計らずもイギリスという国の狡猾さも見えてしまうという側面もあり。まだまだ浅はかな知識だが、踏まえてアイルランド文学を読んでいきたい。
-
久しぶりに読了。
1000年近くも圧倒的支配を受けながら、それでも文化と民族性を維持するってのは凄いというか、エスニシティって簡単に無くならないんだなと改めて。
逆に何を持ってエスニシティって誕生するんだろう?と不思議になる。 -
アイルランドの歴史が新書サイズで読めるありがたい書籍。ケルト住民が移住してきた古代から現代に至るまでの歴史が書かれている。しかし、本土以外の従事した戦闘に関してはスルーされているので他国での戦闘はその地域の国の歴史書で補完したほうがいいだろう。英国側として参加したはずのアメリカ革命は単語が出てきただけで終わった。