大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)

  • 468人登録
  • 3.67評価
    • (31)
    • (44)
    • (56)
    • (6)
    • (3)
  • 45レビュー
著者 : 苅谷剛彦
  • 中央公論社 (1995年6月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121012494

大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • データが多くかっちり。「神話」がまかり通りふわふわしがちな教育論そのものを諌めている。確かに自分も「能力主義と平等主義の奇妙な結合」はやっている(現場の人間だからある程度仕方ないけど)。内容そのものはよいと思うが,より徹底し普遍性のあるイヴァン・イリッチ『脱学校の社会』を先に読んでいたので,そこに行くまでの助走みたいな内容だなと思ってしまった。積まれた新書を消化するキャンペーン⑤。

    (要約)
    戦後日本は極めて学校化した社会である。学校は実際には不平等を再生産する機関であるが,日本ではその再生産過程は見事に隠蔽されており,学校教育に関する意識の断層も目立たない(誰もが学校教育を必要なものとしてとらえている)。これを筆者は「能力主義と平等主義の奇妙な結合」と表現している。たとえば,現実として家庭の所得や親の職業によって学力は階層化されるにも関わらず,このような見方は「差別的だ」として日本では研究の対象にならない。「誰でも頑張れば100点が取れる」という信仰の下に機会平等化された教育が施される一方で,学力は「誰でも頑張れば上昇する〝程度のものでしかない”(学力は『真の学力』ではない)」として扱われ,学力エリートは独自のエリート文化を持たず,大衆の延長上にあるものとして捉えられている。日本の学歴主義批判は他の先進国とは異なり学歴取得〝後”の不平等のみを問題にしており,結果として学歴主義的な見方を助長している。

  • お世話になっている方にオススメされ、読了。教育に関わりたい人は面白く読めると思う!

  • 2016/2/25

  • 古い本だけれど、感情論になりやすい教育論が丁寧に考察されていてとても良い本だった。古いからこそ、流行とは無関係に読める点も良い。
    教育には何ができないのか、を考えるべきだという提言に納得。

  • 家庭環境と教育の関係、親の学歴・収入と子どもの成績など、最近ますますその関係が顕著になる。日本も格差社会となっている事実を認識すべきだろう。

  • アメリカやイギリスとの比較を通して、日本の大衆教育社会の形成とその問題を考察した本です。

    イギリスでは階級が、アメリカでは人種が、学歴の再生産と密接に結びついていることがはっきりと見えるのに対して、日本では高度成長によって目に見えやすい貧困がなくなった結果、学歴の再生産が論じられることは少なくなっていきましたが、その背後で不平等の再生産がますます強化されつつあると著者は論じています。

    さらに、能力主義教育への批判が浸透し、誰でも同じ教育を受けられる制度が行き渡ったことで、メリトクラシーが大衆的規模に拡大し、階層的なアイデンティティを持たずノブリス・オブリージュを備えていない学歴エリートが増加したことにまで説き及んでいます。

    教育を社会学的な視点から見てみると、このような問題が明らかになるということが、興味深く感じました。

  • タイトルを見るだけでどんな本かイメージし易いと思います。戦後の教育史を社会学的に分析し、日本が平等社会であることを教育・努力さえすれば誰にでもチャンスがあるというメリトクラシーを実現してきた社会。しかし、厳然とした階層別の学歴への影響は残っていたにも拘らず、それが問題とされなくなった謎は?大変興味深く最後まで緊張感を持って読むことが出来ました。10年ほど前に「東大合格者に占める6年制の中高一貫校出身者の増大は親の収入による階層の固定化を進めている」という議論に対しては、経済状況ではなく、家庭における文化において既に戦後ずっとそうであったという分析は全く同感でした。実際に永年採用をしていた際に、いろんな学生の履歴書を見て私自身が痛感してきていたことでもあります。

  • ●教育の量的拡大
    ●メリトクラシーの大衆化
     高校進学率の爆発的拡大と合わせて、経済的理由によって進学を断念しなけらばならないという貧困問題が希薄化。だれでも努力次第で進学できるように見える社会が到来した。
    ●学歴エリートの非選良性
     量的に拡大した新制大卒層がエリートとしての自覚や世代間再生産の後ろめたさを持たないまま、漫然と中間層上層を構成している現代日本の実態

  • 自分が受けた中学での補習授業はこうした状況の中で行われていた。友人はだから大学へは進まなかった。自分はなぜ大学へ進みたかったのか。

    戦後と言う社会状況の中で、教育がどのような歴史的意味をもっていたのか、教育社会学の視点でたくさんのことを知ることができる良書である。国際的な比較を通した、「平等」の考え方は多くの教育実践者にも知ってほしいと思った。

    サブタイトルの「学歴社会と平等神話の戦後史」のほうが、本書の内容をよく表している。

全45件中 1 - 10件を表示

苅谷剛彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
マックス ヴェー...
マックス ウェー...
有効な右矢印 無効な右矢印

大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)を本棚に「積読」で登録しているひと

大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)の作品紹介

本書は、欧米との比較もまじえ、教育が社会の形成にどのような影響を与えたかを分析する。

大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)はこんな本です

大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)のKindle版

ツイートする