ケルト神話と中世騎士物語―「他界」への旅と冒険 (中公新書)

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著者 : 田中仁彦
  • 中央公論社 (1995年7月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121012548

ケルト神話と中世騎士物語―「他界」への旅と冒険 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • ケルト人における「他界」について主に書かれた本。
    どこにあると考えられていたか、またそこはどんな場所だったかのか。
    他界を旅する物語について、「メルドゥーンの航海」「聖ブランダンの航海」「聖パトリックの煉獄」「アーサー王伝説」等に触れられています。
    ケルト人の宗教思想や巨石文化、キリスト教との融合についても書かれていますが、巨石文化についてはやや少なめ。
    入門書としてはちょうどよいと思うけれど、他界を旅する物語についての話題で、ちょいちょいユングを引き合いに出すのが個人的には疑問に思わざるを得ない。
    他人の解釈を引き合いに出すようなところだろうか。
    物語から読み取れるだろうに、と思うんだけども。

    最後の方に、「ケルト世界が他には見られないほど多くの他界への旅の物語を生み出した理由はいったい何だったのだろうか」という記述で、では日本の民話との比較がふと頭に浮かんでそちらが気になってきた。
    日本にも他界に入り込んで帰ってくる話はある。では、妖怪といわれるいわば他界に属すると思われるものとの話は他界を「旅」している話になるのだろうか。
    たしかに世界を別にしているとわかる話も多いが……。

    これから日本の民話を読んだり思い出したときが、面白くなりそうな視点をもらった。

  • マビノギや様々な異界譚が紹介されている。考察は微妙な点が幾つか。

  • ●構成
    序章 地の果てにて
    第一部 ケルト人と他界
    第二部 ケルト・キリスト教と他界
    第三部 中世騎士物語と他界
    終章 「夜の航海」
    --
     ケルト人は古代ヨーロッパの大部分を支配したが、ローマ人やギリシア人、ゲルマン民族の隆盛に伴い征服され、その結果彼ら独自の宗教もキリスト教に包摂される形、すなわちケルト的キリスト教へと変容することとなる。
     ケルト人は文字を持たなかったが、口伝により彼らの古伝承が代々伝えられた。またキリスト教化する際にも、ケルト人の神話などが記録されていった。これらの神話、伝承などを精読することによって、著者はケルト人が征服される以前の彼らの宗教の他界観、さらにキリスト教によって変容を遂げたケルト的キリスト教の他界観についてを論じる。
     古来からのケルト人の他界観は、地底あるいは海の彼方の陸地にある不老不死の世界に到達するというものである。それが、キリスト教の流入により、罪の概念や天国・地獄などの要素が中心となる。しかしケルト人の独自の要素として、旅によって他界へ到達する物語、というストーリーも加味され、やがては中世の騎士物語へと洗練されてゆく。本書ではこうしたケルト人の宗教史というべき変容の過程を、古伝承や神話、英雄譚などを通じて解読する。いわゆるファンタジー世界が好きな人や神話の好きな方は、興味を持てる内容だろう。

  • ケルト神話とキリスト教がいかに融合したか、そしてアーサー王の伝説はいかにケルト神話から発展したか。はっきりと分かっていないケルト神話を分析しつつ書かれていて、独自の世界観を築いているケルト神話の魅力が深まった。

  • 騎士道の華・中世騎士物語とケルトにどんな関わりがあるのか、どっちの世界にも等しく興味と愛を抱いているので非常に興味を持って読んだ。
    冒頭はブルターニュ半島に今も残る「イスの街」の幻想に始まる。キリスト教以前のケルト文化が徐々に浸透しつつあるキリスト教によって駆逐される過程が口承伝承の中に幾つも残っているという。
    第一部はケルト口承文学の中から「異界」「あの世」がどこにあると規定されているのかを探り出し、第二部はキリスト教化された中で口承にどんな脚色が加えられていったのか、変えられた部分、変わらない部分を読み解き、そして第三部に至って、ようやく中世騎士物語の元となったアーサー王伝説へと分け入っていく。
    新書のコンパクトさで、ケルト神話やその基本モチーフをざっくりと把握するにも、中世騎士物語成立までの流れを把握するにも非常にわかりやすい。巨石文明やケルト文化そのものについては若干記述が弱いけれど、これは著者が考古学者や歴史学者でなく文学者だというところに起因するのだろう。入門として、また何冊か専門書を片付けた後の頭の整理にはもってこいの一冊だと思うので、私もその意味で時々読み返す。

  • 1996年6月7日初読

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  • ケルト神話がのってます。入門編かな。これを読んだだけでも、ファンタジー小説にケルトの影響が濃いのが分かると思います。

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