父性の復権 (中公新書 1300)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121013002

感想・レビュー・書評

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  • 非常に納得できる点もあるが、これが本当に正しいことなのかは疑問である。

    事実として観測されていることは、多くは真実だと思う。しかし、それを一般化して、「父性の強かった時代に戻ろう」というのは、あまりにも単純な思考であると思う。

    ただ、本書で記載されていること、例えば父性が弱まった結果、不登校が多くなる等、それらの因果関係は確かにある程度の真実は含まれていると思う。

    これらのことを直視する必要がある。
    一方、今の時代の子育ての考え、特にアドラー心理学をもとにした子育てでは、親と子が上下関係ではなく、横の関係を持つべき、との主張は、本書と真っ向から対立するのである。

    これらを、どのように消化、統合すべきか、難しい問題だ。

    他の識者は、齋藤孝、茂木健一郎、河合隼雄は、父性についてどう考えているのか、知りたくなった。

  • 規則規律について説教を受けているようなところもあって、気が引き締まる思い。昔はこのようなことを言われるような機会があったんだろうな。「子供は親の背中をみて育つ」と言われるがそれは逃げ。子供の方と向き合う。また、まず妻として夫を尊敬しなければいけない。

  • ー父親は、父性の体現者として家族を統合し、理念を掲げ、文化を伝え、社会のルールを伝えねばならないー

    権威と権力。日本の社会においては、権威は天皇、権力は政治家・官僚が担ってきた。ただ戦後、GHQのWGIPにより、天皇の人間宣言、11宮家の取り潰しにより、天皇の権威は大きく毀損した。国家父性の体現者である天皇の権威が大きく失墜し、それに呼応して、父親の権威も大きく喪われたと考えられる。
    私は団塊ジュニアの世代であるが、子供の頃には既に、ガキ大将という者がいなかった。子供ながらに理念を掲げ、弱きを助け、強きを挫くその存在は、不完全ながらも純粋な父性の体現者であったのかもしれない。
    父として、自分自身の存在意義を考えさせられる一冊である。

  • 今に忘れられた男と女の違いをはっきりと説く反動性は潔いものだ。男の「構成力」についての言及や、権威主義的パーソナリティーの考察は十分に読みどころがある。戦中派云々については少々雑な記述が目立った。

  • (1997.11.14読了)(1997.09.19購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    父の役割は家族を統合し、理念を掲げ、文化を伝え、社会のルールを教えることにある。この役割が失われると子どもは判断の基準、行動の原理を身につける機会を逸してしまう。いじめや不登校が起こり、利己的な人間、無気力な人間が増えるのもこの延長線上にある。独善的な権威を持って君臨する家父長ではなく、健全な権威を備えた父が必要だ。父性の誕生とその役割を家族の発生と社会の形成との関連から検証し、父性の条件を探る。

    ☆関連図書(既読)
    「子どものエコロジー」安達倭雅子著、民衆社、1993.08.20

  • 父の役割。それは家族の司令塔になること。

    父の役割って何?家族の司令塔になること。文化を伝え、世の中のルールを教えること。今、友達のような父親がほとんどであるが、自由放任主義の子供はワガママでイジメに走ったりする。弱過ぎる父親の子供は自身喪失、利己的、無気力になる恐れがある。。。

  • [ 内容 ]
    父の役割は家族を統合し、理念を掲げ、文化を伝え、社会のルールを教えることにある。この役割が失われると子どもは判断の基準、行動の原理を身につける機会を逸してしまう。
    いじめや不登校が起こり、利己的な人間、無気力な人間が増えるのもこの延長線上にある。
    独善的な権威を持って君臨する家父長ではなく、健全な権威を備えた父が必要だ。
    父性の誕生とその役割を家族の発生と社会の形成との関連から検証し、父性の条件を探る。

    [ 目次 ]
    序 父性なき社会
    1 父性はどのようにして生まれたか
    2 子どもの心理的発達と父性
    3 父性の条件
    4 父性の権威
    5 現代社会と父性
    6 父性復権への道

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 三葛館新書 367.3||HA

    子どもとの関係が友だちのような父親が増えている現代社会。このような状況が子どもの成長にどんな問題を引き起こすのか。父性とはどのように生まれたのかという根本的な疑問からその役割や必要性を説き、現代社会において父性を復権させるためにはどうしたらよいのかが論じられている。

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=56858

  • 2009.11.18 購入

著者プロフィール

1937年長野県に生れる。1962年東京大学法学部卒業。1968年同大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。元東京女子大学教授。著書『ユング』(清水書院、1980)『ユング心理学の応用』(みすず書房、1988)『ユングの心理学と日本神話』(名著刊行会、1995)『父性の復権』(中公新書、1996)『主婦の復権』(講談社、1998)『図説ユング』(河出書房新社、1998)『ユング思想の真髄』(朝日新聞社、1998)『フェミニズムの害毒』(草思社、1999)『母性の復権』(中公新書、1999)『母性崩壊』(PHP研究所、1999)『ユング心理学入門 I-III』(PHP研究所、2000)『家族破壊』(徳間書店、2000)ほか。訳書 ウェーバー『政治論集』1(共訳、1982)ユング『タイプ論』(1987)『ヨブへの答え』(1988)『心理療法論』(1989)『個性化とマンダラ』(1991)『連想実験』(1993)『転移の心理学』(共訳、1994、以上みすず書房)『元型論』増補・改訂版(1999)ノイマン『意識の起源史』(全2巻、1984-85、以上紀伊國屋書店)。

「2016年 『転移の心理学【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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