物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム (中公新書)

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著者 : 小倉貞男
  • 中央公論社 (1997年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121013729

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物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • フランスの植民地になった頃からヴェトナム戦争までの時代は知って
    いた。なかでもインドシナ戦争からヴェトナム戦争にかけては少なく
    ない量の書籍を読んで来た。

    だが、それだけではヴェトナムの歴史を知ったことにはならない。なので、
    古代からホー・チ・ミンの死去までを扱った本書は良い教科書になった。

    抵抗に次ぐ、抵抗の歴史だ。その昔、ヴェトナムは1000年に渡り中国に
    支配されていた。だが、ただ属国に甘んじていたのではない。

    「世に皇帝を名乗るのは中国の皇帝のみ」なんだけれど、表向きは
    恭順を示しながらも国内では「皇帝」を名乗っている。しかも、定期的
    に抵抗運動が頻発する。

    当然のように中国に潰されてしまうのだけれど、それでも抵抗は止まない。
    しかも、中国国内から移住して来た人が抵抗運動の先頭に立ったことも
    ある。

    阿片戦争で中国の力が弱まったと思ったら、今度はフランスがやって来る。
    それは阿片戦争で中国から莫大な賠償金をせしめたイギリスを見て、「俺
    たちもアジアで一儲けしよう」とインドシナへの侵攻を始めたからだ。

    フランスによるヴェトナムの植民地化は中国による支配よりも過酷だった。
    植民地からは搾り取れるだけ搾り取る。「自由・平等・博愛」を唱えてフラン
    ス革命を起こした国とは思えないほどだ。

    そうして先の大戦の際は日本軍が南進し、フランス・日本の二重支配と
    なり、ヴェトナムは更なる過酷な時代を送る。

    終戦によって日本軍は撤退したが、フランスは再度インドシナを支配しよう
    と舞い戻って来る。そして、ヴェトナムの堪忍袋の緒が切れた。

    インドシナ戦争からヴェトナム戦争へ。国内に多大な犠牲を出しながらも、
    民族の独立を求める長い戦いを続けることになる。

    インドシナ戦争からヴェトナム戦争の期間については本書は割愛されている。
    この期間だけでいくつもの作品が書けちゃうくらいだもの。

    近代まで本当に抵抗に抵抗を重ねた歴史なんだな。だから、近代兵器を
    無尽蔵に使えたフランスもアメリカも、ヴェトナムから撤退せざるを得なく
    なったんだろう。

    確か以前にヴェトナム戦争についての作品を読んだ時にも書いたと思うの
    だが、インドシナ戦争もヴェトナム戦争もイデオロギーの戦いではなく、民族
    としての独立を確実にする為の戦いであり、ヴェトナムの人々の執念なの
    だろう。

    それがよく表れているのが1945年9月2日に行われたホー・チ・ミンによる
    ヴェトナム独立宣言だろう。その一部を引く。

    「われわれヴェトナム民主共和国臨時政府の閣僚は世界に向かっておご
    そかに宣言する。ヴェトナムは自由な独立国になる権利があり、事実、
    すでにそうなっている。全ヴェトナム人民はその自由と独立を守るために、
    すべての物質的、精神的力を動員し、生命と財産を捧げる決意である。」

    気の遠くなるような時間を他国の支配下にありながら、あきらめることを
    せずに、したたかに抵抗を続けた国はヴェトナム戦争後の経済制裁を
    も乗り越えたんだ。

    フランスもアメリカも、ヴェトナムの歴史をもう少し知っていたら引き際を
    見極められたかもしれないね。

  • 複数の人物史をベースにしてベトナム史を描いている。ベトナムを物語の国と捉え生活感たっぷりに描く手法はベトナムのイメージを掻き立てるが,章タイトルの人物のエピソードから離れるとわかりにくくなる難点があってなんともいえない。積まれた新書を消化するキャンペーン⑥。

  • ヴェトナムの歴史を古代から現代まで網羅した通史書。広く浅く。とはいえ見慣れない東南アジアの知識は難しい。旅行前の勉強に役立った。

  • 公園で朝から体操をするおばさん,おじさんを見て感じた,ベトナムの人々は,強靭で打たれ強くエネルギッシュだと。それもそのはず,その歴史を知れば,納得できる。陸続きの中国の支配が1000年も続いた,その後は,フランス帝国主義による略奪,日本軍の侵略,そして1970年代まで続いた大国アメリカとの戦争。過酷な歴史を生き抜いてきた人々の祖先が,今のベトナム人だ。

    この本で,その歴史を時間を追ってかいま見ることができた。

    なお,ベトナム人の平均年齢は,20代らしい。老人社会の日本とは大違い。

  • ヴェトナム旅行の計画があり、その前の事前教養として本書を拝読。ヴェトナムという国の成り立ちがどのように作れれてきたかという大枠に骨格は理解できました。が、他の人が指摘しているように物語という割にはそれほど物語性もなく繰り返される権力者の隆盛、腐敗、革命といった流れや覚えにくい登場人物の名前なども相まって到底記憶できませんでした。また、ヴェトナム戦争に以降の近現代についての内容はほぼ省略されておりその点についても期待していただけに肩透かしにあった印象でした。近現代に限って言えば、池上彰氏の「そうだったのか!現代史」を読んだほうがよほど役立ちます。

  • ヴェトナムの歴史を概観した本。範囲は中石器時代末期(紀元前2万年から2万5千年前)のソンビ文化、その後のホアビン文化の洞窟文化から始まる。終わりはホ・チ・ミンらによるヴェトナムの独立宣言(1945年9月2日)あたりまでで、ヴェトナム戦争は範囲に含めていない。特徴としては題名の「物語」にもあるように、その時代の特徴をなす人物を取り上げ、その人物の軌跡を中心に描くことにより各時代を解説している。また、ヴェトナムの歴史を北方面、中国との関わりであるA軸と、南方面、東南アジアの各国(現在のタイ、カンボジア、ラオス)との関わりであるB軸という二つの軸から見ようとしている(p.6ff)。本書は4章に分かれているが、おむね第1章・第2章がA軸、第3章・第4章がB軸にあたっている。

    考古学的資料の後、本書は伝説上のヴェトナム建国者であるフン・ヴォン(雄王)の話(紀元前2880年頃)から始まる。ヴェトナムは北部、現在のハノイを中心とする紅河デルタ地域に発展し、その後、南へ勢力を拡大していく歴史だ。その位置からして、常に中国と抗争を繰り広げている。対中国の歴史で書かれているものは、ヴェトナムの独立以降、中国王朝が侵略しヴェトナムを支配して圧政を敷き、それに対するヴェトナムの反抗を行い、中国王朝の力が弱まったあたりでヴェトナムが再度独立を取り戻し、次の中国王朝が成立すると再び侵略・支配される。実にずっとこの繰り返しだ。漢と戦ったチュン姉妹、宋と戦ったリ・トン・キエト、元と戦ったチャン・フン・ダオ、明と戦ったレ・ロイ(p.192)。こうした中でヴェトナムに身についたのが、中国王朝に対する面従腹背だ。中国王朝による支配を退けたとしても、ヴェトナムには中国王朝そのものを打破して中国を支配するだけの力はない。対等な国力どうしの争いではない。そこでヴェトナムは、力を示し自治や独立を認めさせる形で中国王朝の支配に封ぜられる道を選ぶ。相手が攻撃してくれば粘り強く反抗するが、そうでなければ自ら行動を起こすことは少ない。こうして抗争の後に恭しく使節を送るような、巧みな外交を繰り広げてきた(p.70, 88f, 121f, 129f)。

    中国との関係で見れば、紅河デルタ地域は実に守りにくい土地だ。国境線からハノイまでは約130kmほどしかない。しかもヴェトナム王朝を担い、現在も支配民族であるキン族はハノイを中心とする40~50km周囲に住んでいる。国境近辺には高地、山岳民族が居住している。こうした山岳民族が中国側につけば、あっという間にハノイまで攻め込まれる図式である(p.168f)。こうしたハノイの守りにくさが、南進への動機を生んでいた。だが南方は南方でチャンパ(占城)という有力勢力がおり、抗争を繰り広げていた。南方へは1471年、レ・タイン・トン(この治世はヴェトナムの黄金期と呼ばれる)によるチャンパ征服によって進出する。南進は15世紀に始まり、本格的な支配は17世紀となる(p.163)。

    しかしこのレ王朝が終わって1572年、マック(莫)氏が実権を奪うと、ヴェトナムは南北に分かれた内乱の時代になってしまう。この過程で南部に拠点をおいたグェン・フック・アインが、シャムとフランスという外国勢力を頼みにしたことが、その後の植民化の伏線になる(p.187f, 201f)。いわば、内乱に乗じて他国勢力につけ入れられた形だ。こうしてフランスによる植民地化がなされることになる。フランスによる支配には各地で植民地抵抗運動が起こった。特にインドシナ総督ポウル・ドゥメの圧政(p.284-295)に対するものなどが大きいが、これらの運動は各地域に分断されていたため、成功しなかった(p.281f)。こうして、ホ・チ・ミンを中心とするヴェトナム独立運動が国全体で組織されていくことになる... 続きを読む

  • ふとベトナムに興味を持ち、例によってその国の歴史を全然知らないことに思い当たって選んでみた通史の本だが、厳しかった。
    2000年に渡る一国の歴史を一冊に詰め込んでいるのだから無理もないが、話の盛り上がりもなにもなく、中国との曲折と王朝の交代と反乱が延々と続くばかり。馴染みのない国の、馴染みのない似たような名前が全然頭に入らない。若干既視感のある、フランスがやってきてからの話はあっという間に終わってしまい、ベトナム戦争もほとんど語られず。ベトナムの歴史の中でいくつか馴染みのポイントを見つけた上で、全体を俯瞰するにはいいかもしれないが、最初に読む本としては選択ミスだった。別の本探そ。

  • 11月にハノイ(Hanoi)に行く予定なので、歴史を勉強してみる。1000年間の中国支配。ベトナム人によくあるNgyuen(グエン=漢字では「阮」)。中国支配から独立した後のグエン王朝は繁栄しましたが、18世紀から100年間のフランス植民地時代、そしてベトナム戦争。その間もずっと独立戦争しています。ようやく平和に生活できるようになったのは、ここ40年ぐらいのことなんですよね。アメリカの審査官や科学者にベトナム人が多いぐらいですから、ベトナム人(9割がキン族)は、本来優秀な人たちなのでしょう。 ベトナム訪問が楽しみになりました。

  • 中国が侵略を行うたびに、民族の英雄が颯爽と現れ、多くの犠牲を伴いつつも撃退する。物語のタイトル通り、ヴェトナムの歴史が時の指導者と共にダイナミックに語られていて非常に読み応えがありました。この国の歴史を見ていると、ホー・チ・ミンが共産主義社会の達成よりも、独立の方に力を入れていたのも大いに納得です。国自体は決して大きくはないベトナムですが、侵攻を受けた時には力強く奮闘するギャップが、この上なく魅力的ですね。

  • ベトナム戦争以前の歴史を概観できたのは良かった。数千年に渡る中国との関わりは、一筋縄では行かない。

  • ベトナムの歴史について最も読みやすくかつ観光にとても役立つ本である。観光名所を意識して書いているのかもしれない。ホーチミンがバック・ホという名前で呼ばれ、死んだときに北中南に3つに灰を分けて丘陵に埋めて、植林をせよと遺言したにも関わらず、死体を保存されて、スターリンや毛沢東と同様にさらされるという悲しい現状の矛盾が理解されるであろう。ベトナム戦争というとアメリカとの戦争の本が多いが、この本では中国との戦争が多く描かれた後でフランスとの戦争が多くえがかれているので貴重な本として考えられる。

  • 第2時世界大戦の日本の降伏時に、ベトナムがなぜああも素早く動けたのだろうかと不思議に思い、通史を読んでみる。というか、20世紀の歴史を知りたかったのだけど、建国神話からフランス植民地時代のホーチミンの行動までを書く本で、むろんこれはこれで興味深かったけど、なんとも疲れた。

    ちゃんと知れば面白いのだと思う。
    だけれども素養がないから、似たような名前の王朝と、似たような名前の将軍や王が、同じような歴史を延々と繰り返す。ちょっとつらかった。
    もっとも、日本史も外国人がいきなり読んだら、同じような長ったらしい名前の天皇だの貴族だの武士だのが、見知らぬ土地で同じようなことをしているのだろうし、それが歴史というものだろうけど。

  • ベトナムの神話時代からベトナム戦争前までの歴史を一気に知ることが出来る。
    登場人物の名前は漢字にルビをふった形の方が読みやすいんじゃないかと思った。

  • [ 内容 ]
    ヴェトナムは一億人の国になろうとしている。
    ヴェトナム戦争では大きな犠性を払いながら独立を堅持、経済成長のダイナミズムは二十一世紀のヴェトナムの発展を約束している。
    このエネルギーはどこから生まれるのだろうか。
    ヴェトナム人のこころ、民族の象徴として親しまれている建国の王フンヴォン(雄王)から、独立の指導者ホ・チ・ミンに至る歴史群像を語り、あくなき抵抗と独立の戦いに勝ち抜いてきた逞しい国民性の根源を探る。

    [ 目次 ]
    序章 ヴェトナムとインドシナ
    第1章 中国支配の時代
    第2章 独立そして国のかたち
    第3章 南進の時代・国際社会との出会い
    第4章 フランス植民地時代

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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 中国、フランス、日本に翻弄されながらも、たくましく生きる人々に感動を覚えた。日本を含むアジアの国の一つとして、政治的、思想的に中国の影響が大きく、日本との共通点と相違点を同時に感じる。
    近代についてはフランス軍から受けた仕打ちを考えると、そのようなことが日本でもおこっても不思議ではなかったのではないかと思える。
     アジアの中で近代化に成功した日本ではあるが、他のアジアを助ける余裕が無かったのか、覇者となろうとしていたのかはこの本では言及していないが、ヴェトナムについては若干の影響はあったが
    あまりよいものでは無いようである。
    ヴェトナムは幾多の戦火をくぐり抜け、明るくたくましく、したたかに生きている。

  • 「物語 ○○の歴史」というシリーズテーマを意識しすぎて失敗している。
    誰が何をしたというおはなしを並べていくのだけれど、なぜそうなったのかがよくわからない。全体像も見えない。
    エピソードを積み重ねて歴史を浮かび上がらせるつもりが霧散してしまったといったところか。

    文章がすごく読みにくい。否定じゃないところまで「だが」「しかし」で繋ぐわ主語が飛ぶわ、わけわからんことになっちゃってる。

  • ベトナムの歴史をたっくさん読むのもいいけど、ベトナムに住んでいる人に飲み屋で聞く方がよっぽど勉強になるし記憶に残る。昨夜もハノイの日本料理店でビールの見ながらベトナム戦争のレクチャー受けた。

  • 東南アジア史に関しては岩波書店の岩波講座東南アジア史シリーズなどその関係書物は確実に増えてますが、当該地域にある一国の通史はほとんどありません。そもそもこの地域は河川やジャングル、島嶼などで地域が分断され、少数民族がまとまらず各地で独自の文化を形成しているため(といっても広い地域でインドの影響が強く見られるが)特定の地域を切り取ってその通史を書くのは困難です。そもそも、“東南アジア”という地域概念すら第2次大戦で連合国軍が戦略上必要に迫られて作ったものですから・・・。そうした中で北部は中国の影響を強く受け、南部はインドの影響の強いヴェトナムを扱う場合、どのようなものになるか逆に楽しみでした。で、内容は中国の影響の強い北部に登場した王朝が中心となっており、それでもなお“ヴェトナムの歴史”にこだわっているため人名などの表記が分かりにくくなっています(これは慣れかもしれませんが)。あと範囲は神話の時代からホー=チ=ミンの時代までで、あとがきで「歴史として語ることのできる時代まで」ということでヴェトナム戦争には触れていません。著者の他の著作を参考にと書いていましたが、少しく残念です。あと接続詞や主語が分かりにくいなど内容外にもちょっと目につくところがありました。東南アジアの一国家の通史という新しい試みではありますが、出来としてはあまり高評価できなかったのは残念です。

  •  古代のフン・ヴォンによる建国から、ホー・チミンらによるフランス植民地からの独立までのベトナム通史を、各時代を代表する人物のエピソードを通して紹介している。あまり教科書で触れられないベトナム史の入門に最適。

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物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム (中公新書)の作品紹介

ヴェトナムは一億人の国になろうとしている。ヴェトナム戦争では大きな犠性を払いながら独立を堅持、経済成長のダイナミズムは二十一世紀のヴェトナムの発展を約束している。このエネルギーはどこから生まれるのだろうか。ヴェトナム人のこころ、民族の象徴として親しまれている建国の王フンヴォン(雄王)から、独立の指導者ホ・チ・ミンに至る歴史群像を語り、あくなき抵抗と独立の戦いに勝ち抜いてきた逞しい国民性の根源を探る。

物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム (中公新書)はこんな本です

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