武田信玄: 伝説的英雄像からの脱却 (中公新書 1380)

著者 :
  • 中央公論新社
3.56
  • (2)
  • (7)
  • (8)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 61
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121013804

作品紹介・あらすじ

「風林火山」を旗印とする百戦錬磨の闘将・知将として強調されるあまり、武田信玄は時代を超越した極めて特異で偉大な人物になっている。しかし信玄といえども時代の子であり、社会に規制されて生きるところが大きかった。その信玄を知るには、個人を特別視することなく、戦国という時代の特徴を認識しなければ、真の人間像には迫れない。従来の伝説的な英雄論の枠組みを取り払い、社会の中の戦国大名として生きた武田信玄像を描く。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 信玄について一般的イメージに懐疑的だったので、この本を通読してもやもやがなくなった。

  • タイトル通り、伝説的英雄像で語られる信玄を
    資料から冷静に分析して地に足の着いた人物像に落とし込んでいる。
    信玄の権力基盤、その範囲、金山経営、信玄堤、棒道など、信玄の英雄的君主像を支える通説を伝説的要素をそぎ落とし、現実的な領主としての信玄を浮き彫りにしようとしている。

  • 勝手に読み直す日本史という事で再読する。
    1997年の刊。手堅い内容で、今読んでも得るところ
    が多い。新書ということで、参考文献一覧を省略してい
    る事は玉に疵である。(昔の新書のスタイルなのでやむ
    を得ないか)
    はじめにで高野山の二種類の信玄画像について触れられ
    ている。16年前の時点で持明院蔵の画像の方が有力視
    されていたとはと改めて認識する。

    棒道については否定的見解、金山経営、信玄堤についても
    過大な評価を避けようとしている。甲陽軍艦が描く信玄像
    から脱却を図っているが、やや性急な気もする。
    (2005年刊行のミネルヴァ日本評伝でどの程度深化さ
    れているか気になる。)

  • 四国地方などを舞台とした作品です。

  • タイトルの通り、従来まで伝説的見地から語られることが多かった武田信玄の人間像に学術的見地から客観的に迫っていく。当時の時代背景に関する研究成果を踏まえた上でそこから真実の信玄の姿を解き明かしていくスタンスは一般の読者にも十分読みやすい。良書。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

笹本正治(ささもと しょうじ)
1951年山梨県生まれ。博士(歴史学)。信州大学名誉教授。
1977年名古屋大学大学院文学研究科博士課程前期修了。1977年より名古屋大学文学部助手。1984年より信州大学人文学部助教授。1994年より信州大学教授。2009年より2015年まで信州大学副学長。2016年より長野県立歴史館館長。2021年より特別館長。

主な著書
『山岳信仰伝承と景観-虚空蔵山を中心に-』(岩田書店、2022年)、『歴史のなかの音-音がつなぐ日本人の感性-』(三弥井書店、2021年)、『戦国時代は何を残したか-民衆の平和・神仏への思い・自然開発-』(信濃毎日新聞社、2020年)、『鳴動する中世-怪音と地鳴りの中世史-』(吉川弘文館、2020年)など、著書多数。

「2022年 『土石流と水害 伝承・地名・防災』 で使われていた紹介文から引用しています。」

笹本正治の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
司馬遼太郎
司馬 遼太郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×