物語ラテン・アメリカの歴史―未来の大陸 (中公新書)

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著者 : 増田義郎
  • 中央公論社 (1998年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121014375

物語ラテン・アメリカの歴史―未来の大陸 (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • ラテン・アメリカとは?
    プロローグ 新世界
    恐竜とゴンドワナ大陸
    アメリカ大陸の成立
    動物相と陸橋
    ヒトの登場
    1 古代アメリカ人の世界
    農耕の成立
    神殿から文明がはじまる
    征服者の見たアステカの大都市
    インカ帝国の首都クスコ
    2 侵入者
    「一の章」の年
    白い人間たちの正体
    ビラコチャの国
    王と征服者たち
    3 事業家としての征服者
    探検と征服の経費
    事業家コルテス
    ピサロ兄弟の運命
    4 イベロアメリカの成立
    ふたつの副王領
    植民地時代の特質
    太平洋
    5 十六世紀の変動
    疫病と人口減少
    王室に対するあいつぐ反逆
    千年王国の待望
    アラウコ族の抵抗
    6 成熟する植民地社会
    産業の発展
    クリオーヨ階層の出現
    アフリカ人の反乱
    ヨーロッパ人たちの侵入
    7 反乱の世紀
    ボルボンの改革
    首長たちの反乱
    貿易独占体制の崩壊
    8 自由な空間を求めて
    イギリスの攻勢
    ブラジル帝国の独立
    南アメリカの独立
    メキシコの独立
    独立運動の性格
    9 開かれた空間における独立と従属
    カウディーヨの時代
    輸出大成長時代の開始
    輸出ブーム時代の政治
    10 二〇世紀のラテン・アメリカ
    北の巨人の支配
    大衆に顔を向けた政治
    第二次大戦と戦後
    ラテン・アメリカの未来

  • ラテンアメリカをほぼ知らない私が後学のために図書館で借りる。
    読みやすく、勉強になる。

  • アメリカに生活していると中南米の国々との関係を日々意識せざるを得ない。政治、文化等に大きな影響を及ぼしているし、その影響力は益々大きくなることは間違いない。
    一方でその歴史、国の成り立ち、個々の文化等、知らないことが多いことに改めて気付かされる。
    本著は中南米の歴史を古代から現代へ広く薄く解説しているもので、全体の歴史の流れを知るには参考になった。
    然しながら、全体の大きな流れを重視しているが故に、個々の国の成り立ちや、そのアイデンティに関しては、物足りなさがあり、これはもう少し国別の歴史を追うしかないのだろう。
    単純にスペイン、ポルトガルの旧植民地、という扱いではなく、イギリス、アメリカの影響、また、独自な文化との融合等、興味は尽きない。

    以下引用~
    中南米の歴史のステージ
    1.アジアから渡米した民族が、南北アメリカの各地に定着して、他の文化圏からの影響をほどんどうけず、自力で国有の文化を創造した時代。
    2.1492年のコロンブスの渡米にはじまり、アメリカ大陸の大部分が、スペインとポルトガルの政治支配下に入り、その強烈な影響のもとに、ラテン・アメリカ文化の形成がはじまった時代。イベリア両国は、経済的にも他国を排除して、アメリカ植民地との通交を独占しようとした。この体制は、原則的に19世紀初めまで、約300年間続いた。
    3.17世紀以降、カリブ海を中心に侵入をかさね、イベリア両国の独占体制を崩そうとしてきたヨーロッパ列強、特にイギリスの勢力を背景に、ラテン・アメリカ各地で独立国が成立した19世紀はじめから現在までの時代。これは大きくわけて、イギリスの経済的支配が強かった19世紀はじめから第一次大戦までと、アメリカ合衆国の影響が決定的になったそれ以降の時代、を区別することができる。

  • 1571年マニラ市を建設した・・・日本人の渡航もはじまり、17世紀はじめまでにマニラ市に人口2000の日本人町が成立していたという。
    そこに中国人が渡ってきてスペイン人と商売を始めた。
    絹、陶磁器、象牙細工などのためにスペイン人はメキシコから銀を輸入し始める。
    ちょうどこの時期に日本人がペルーの首都リマに渡っていた証拠がある、
    徳川家康はメキシコとの通商を強く望んで、20人の商人団をメキシコに派遣したことがある。
    西回り、ポルトガル領経由でポルトガルやブラジルに渡った日本人がかなりいたこともわかっている。

    各国とも、アメリカ合衆国の憲法にまなび、またヨーロッパのナポレオン奉天を模範としながら、法体系をつくり、いずれの国でも、主権在民、三権分立、直接選挙による大統領制、基本的人権の保障などを謳ったりっぱな憲法がさだめられた。しかし、このりっぱな法が運用される現実は、それとはまったく別世界であった。
    独立直後の旧スペイン領中南米各国の政治的不安定は、交付された憲法の数の多さによく反映されている。
    20世紀のラテン・アメリカの一大特徴は、それがアメリカ合衆国の完全な経済的影響下にはいった、ということである。

  • 読了。

  • ○この本を一言で表すと?
     ラテン・アメリカ全体の大きな流れを挙げた通史の本


    ○この本を読んで面白かった点・考えた点
    ・「物語 メキシコの歴史」と併せて読みましたが、こちらではラテン・アメリカ全体の広い範囲で何が起こり、それぞれの地域がどういった位置づけだったのかを俯瞰できてかなり違った印象を受け、いろいろと興味深かったです。

    ・アメリカ大陸が現生人類が一番最後に到達した場所ということはいろいろな本を読んで知っていましたが、大航海時代に「新世界」と見られたことと比較して現生人類にとっても「新世界」だったとしているのはうまいなと思いました。(プロローグ 新世界)

    ・他の大陸との交流がないままに独自に文明が発達したアメリカの文明と、その文明に対して感動を覚えていたヨーロッパ人の記述は、「逝きし世の面影」に書かれていた幕末・明治初期の日本を見た外国人の記述に似ているなと思いました。(1 古代アメリカ人の世界)

    ・アステカ帝国の宿命論的な考え方とインカ帝国のある程度現実的な考え方の対比は面白いなと思いました。その両国を数少ない人数ながら常にイスラム勢力や隣国との戦争で鍛えてきた軍隊で征服したのは、数だけではなく質と戦略で勝って勝利した現代戦ではほとんどありえない例だなと思いました。(2 侵入者)

    ・アステカの王モスクーマとそのアステカを征服したフェルナンド・コルテス、インカの王アタワルパとそのインカを征服したフランシスコ・ピサロの人物像が書かれていて、単なる侵略者・被侵略者ではなく、その背景が語られていて印象深かったです。(2 侵入者)

    ・コルテスが征服したメキシコで大いに富を築き、晩年まで富豪として過ごしたのに対し、ペルーで兄弟とともに財を築きながら後の世代に残せずに副王に接収されたピサロは似たような立ち位置ながら大きな差があるなと思いました。(3 事業家としての征服者)

    ・スペインのラテン・アメリカでの鉱山経営などの力の入れようはすごいなと思いました。現地の部族の首長に権限を与え、搾取の階層構造を作ったことは、「国家はなぜ衰退するのか」などで述べられている100年単位の長期でみてその発展状況がどう判断されるかは別として、利益を上げるにはかなりうまくいく構造になっていたと思いました。(4 イベロアメリカの成立)

    ・メキシコと日本の交流が400年を迎えたという話で、フィリピン総督を助けたことが起源と聞いて因果関係がよく分かっていなかったのですが、フィリピンがメキシコ副王の管轄地域になっていたと知ってようやく腑に落ちました。(4 イベロアメリカの成立)

    ・植民当初に設けられたエンコミエンダ制を徐々に廃止して既存利益を副王の下に戻していく流れは支配する側としてはなかなかうまいやり方だなと思いました。同時にエンコミエンダ制でそれなりに権力を得ていた現地の部族の首長が徐々に権力を失っていく様子は何かに乗っかればその何かと栄枯盛衰を共にするという良い事例だなと思いました。(5 一六世紀の変動)

    ・植民者たちが本国から送られた者に反抗するというのはありがちな構図で、うまくやっていれば北米と同じとはいかないでしょうが、それなりに本国とは切り離された国家運営になっていたのかなと思いました。(5 一六世紀の変動)

    ・現地人の反乱としてアラウコ族が徹底的に抵抗し、最後まで屈しずに今も続く部族として成り立っているというのは珍しい事例だなと思いました。(5 一六世紀の変動)

    ・ラテン・アメリカにおける一七世紀の生産力の向上はすごいなと思いました。何事も土台ができてある転換点に達すれば一気に活性化するものかと思いました。(6 成熟する植民地社会)

    ・現地で生まれたクリオーヨとスペインから来た者が対立する構造は近しい者ながら異なったインセンティブがあって、対立すれば根深そうな構造だと思いました。(6 成熟する植民地社会)

    ・アフリカから連れられてきた黒人が逃げ出してそれなりの規模の勢力を築き、奥地の方で万単位の人口を持っていたというのは初めて知りました。(6 成熟する植民地社会)

    ・スペインが一国で支配していた構造から、イギリス・フランス・オランダなどの勢力が手を伸ばしてきた中で少しずつ切り取られていく様子は、侵略するよりそれを維持することが難しく、その維持する土地が大きければ大きいほど難易度が上がるということのよい事例だなと思いました。(6 成熟する植民地社会)

    ・一八世紀のラテン・アメリカ全体におけるメキシコの位置づけの大きさはすごいなと思いました。一八世紀の末ではラテン・アメリカ全体の人口のほぼ半数をメキシコが占めていたようです。(7 反乱の世紀)

    ・現地人やメスティソによる反乱が頻発していたものの、植民地からの脱却を目指していたわけではなく、それぞれ鎮圧されたというのは目的が異なれば達成されるかどうか、その過程に至るかどうかさえも変わってくるのだなと思いました。(7 反乱の世紀)

    ・ポルトガル領のブラジルがほとんど何も産しない土地であったところが鉱物の産出や農産物の生産で興隆し、イギリスがポルトガルの後ろ盾となってスペインとはまた別の勢力になっていたというのはイギリスの立ち回りのうまさが出ているなと思いました。(7 反乱の世紀)

    ・イギリスが直接的な侵略を試みて大きな被害を被り、方針を変えて経済的な進出に切り替えたというのは現実的でうまい方針転換だと思いました。(8 自由な空間を求めて)

    ・サン・マルティンとシモン・ボリバルがラテン・アメリカの独立を促したことは特定の人物が国家情勢に与える影響の大きさを感じさせました。特にシモン・ボリバルの大コロンビア構想に基づく独立闘争への貢献は、その構想自体が成り立たなかったこと以外はほぼ成功させており、すごい人物だと思いました。(8 自由な空間を求めて)

    ・一九世紀中ごろまでのカウディーヨ(私的な軍事力を備えた政治ボス)が様々な場所で出現し、独立を成功させているのは面白いなと思いました。(9 開かれた空間における独立と従属)

    ・パラグアイのドクトル・フランシアがほぼ個人に権力を集中させて24年治めたというのはすごい実力だと思いました。懐疑主義でノイローゼにもなったそうですが、暗殺もされずに自然死だったそうです。(9 開かれた空間における独立と従属)

    ・アルゼンチンのマヌエル・デ・ロサスが周辺のカウディーヨと盟約を結んで反対者を制圧し、密告制度を敷いて弾圧し、パンパの狩猟民6,000人を虐殺していながらも、敵対者の軍隊に敗北してイギリスに亡命し、84歳まで生きてベッドの上で死んだというのは最後までうまくやっているなとある意味感心しました。(9 開かれた空間における独立と従属)

    ・ベネズエラのパエスが単純明快な牧夫的な人物としてボスになり、ベネズエラを支配し、失脚しながらも北米に行って83歳になってベッドの上で死んだというのはロサスと同様に最後までうまくやっているなと思いました。(9 開かれた空間における独立と従属)

    ・メキシコのサンタ・アナは「物語 メキシコの歴史」でも人物像が書かれていましたが、これまた失脚して国外に亡命してまたメキシコに戻り、82歳で自然死というのも他のカウディーヨと似たように落ち着いた晩年を迎えているなと思いました。(9 開かれた空間における独立と従属)

    ・4人のカウディーヨが全員天寿を全うしているのは当時の対立者、被弾圧者としては理不尽に感じたかもしれないなと思いました。(9 開かれた空間における独立と従属)

    ・功利主義のジェレミー・ベンサムが最大多数の最大幸福を考える時に「原住民は考慮しなくていい」と言っていたというのは、学者として公平な人物という印象を持っていましたが、やはり一般的な西欧人としての感覚に囚われていたのだと少し失望しました。(9 開かれた空間における独立と従属)

    ・二〇世紀のラテン・アメリカの特徴は、まず北米の経済的影響下にあったこと、大衆に顔を向けた政治が行われるようになったことだそうです。前者がわかりやすいですが、後者は独裁政治すらも大衆を意識したやり方になっていて、アルゼンチンのホアン・ペロンやキューバのフィデル・カストロのやり方が一九世紀以前のやり方と異なっていて印象深かったです。(10 二〇世紀のラテン・アメリカ)

  • ラテンアメリカの歴史を理解するのに最適な一冊です。
    素晴らしい。
    遠く恐竜の時代から始まり、20世紀までを10章かけて回想する。
    コンパクトなのに内容が濃厚、しかも、文章が簡潔で分かりやすい。

    星マイナス一つなのは、発行されたのが1998年で、内容が若干古いため。
    最近の動向は、別途追う必要がある。

    しかし、それでも、現在もラテンアメリカが抱える課題や人々に根付く様々な習慣や感情などがとてもよく理解できる。

    前半の1章から5章までで、ヨーロッパ人たちが大陸にやってきて各地方を制圧した16世紀までが見渡せる。

    歴史的事実なのだろうが、ややヨーロッパ人に否定的な書き方をしている印象を受けた。
    確かに我々のような第三者からすると、ヨーロッパ人たちが「一神教のキリスト教を押しつけた」のだが、ラテンアメリカでは今でも「キリスト教を教えてくださった」という風潮がある。
    私が見た現地の教科書では、ヨーロッパ人の「征服者」はあまり好ましく描かれていないのに、「宣教師」はかなり好意的に描かれていた。

    それにしても、金(きん)の求心力って恐ろしい。
    スペイン人とポルトガル人の新大陸征服の原動力となった、金銀。
    命かけてまで突き進み闘う戦士たち。

    ヨーロッパ本国では、金持ち以外は恵まれない生活を強いられていた時代背景もあるのかもしれない。

  • ラテン・アメリカの歴史的ななりゆきについて、まとまった知識がなかった私には好個の本だった。この本を読めば、近世以降のヨーロッパの残虐な「世界支配」、近現代のアメリカ合衆国の狡猾な他国利用、アステカ・インカ以降の南米先住民の運命、さらにはキューバ革命の背景と意味、20世紀後半から起こったラテン・アメリカ文学の背後にあるものなどが理解できる。
    先日読んだジャック・アタリ『1492』に書かれた時代よりあとに起きた事の概略を把握する上で、たいへん有益な読書になった。
    とりわけピサロらスペイン人の悪逆ぶりは印象的だったが、アタリが指摘したような<大陸=歴史>としてのヨーロッパの世界支配は、ローマ法王という超国家的な権力と、キリスト教思想に支えられていたようにも思われる。
    メキシコ、ペルー、ブラジル、いずれにおいても近代をとおして支配層である「純粋な白人」は全人口の1割とか、その程度の少なさだが、19世紀初め頃にはインディオは人口の半分くらいを占めていた。「最大多数の最大幸福」を唱えたベンサムは、中南米情勢に関心を持ちながらも、多数者であるインディオを無視し、支配層であるヨーロッパ出自の血筋のみを問題にしたらしい。
    19世紀までのヨーロッパの「権力への意志」は、私の目から見て端的に「悪」であるが、その「悪」は20世紀にはアメリカ合衆国により継承された。
    しかし「正義」などというものがどこにあるのか?
    人類の生命力は善悪を超えて延々とひきつがれ、移りゆく。
    インディオと白人という認識上の差異は、混血という民衆的日常の営為によって曖昧になって行き、今では中南米は「混血」がもっとも多いはずだ。イデオロギーを超え、生命は大地に花開いてゆく。

  • なかなか勉強する機会がなかったラテンアメリカの歴史をしることができました。

    モンゴロイド、白人、黒人がいりまじった社会を形成し、現代社会の坩堝と化しているラテンアメリカ。
    そこから、新しい文化のいぶきを嗅ぎ分けるには、歴史を知ることが手がかりになるだろう。

    気候、風土、資源、ラテンアメリカをしるのに、この3要素にもっと切り込んでもらえるとうれしいかもしれない。
    ラテンアメリカに対抗する文化は、中東のイスラム社会だろう。

    さらに、インドと中国の4つを加えれば、BRICSのブラジル、インド、中国の3つの主要国が押さえれたことになる。

  • ラテンアメリカの通史をものすごくざっくり書いた本。全体像をつかむのには悪くない。
    ●良かった点
    全体像がわかる
    ●気になった点
    ダラダラと書いてある。図とかが少なく、同時期の他の地域の出来事などを把握するのには不向き

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物語ラテン・アメリカの歴史―未来の大陸 (中公新書)の作品紹介

かつては高度の神殿文化を生み出しながら、16世紀以来ラテン・アメリカは常に外部の世界に従属してきた。スペイン、ポルトガルの征服と植民地支配、イギリスはじめ列強の経済的支配、アメリカの政治的影響。独立後も独裁制から民主制へ、統制経済から自由経済へと激動が続く。ラテン・アメリカ諸国は共通の文化的伝統を基盤に、いかに苦悩の歴史と訣別し、自立と自己表現を達成するか。恐竜の時代から現代まで、長大なタイムスケールで描く。

物語ラテン・アメリカの歴史―未来の大陸 (中公新書)はこんな本です

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