安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書)

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著者 : 山岸俊男
  • 中央公論新社 (1999年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121014795

安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • この本、たぶん世の中的には評価が高いんでしょうね。日本社会の「集団主義」的特質が、仲間内の輪の中での不確実性低下を目的として保たれてきたものだ、という指摘自体は、確かに納得できます。そして、メンバーを輪の中に固定しようとすることには機会費用が発生する、という点もわかります。しかし、だからと言って、輪がばらけていくことを単純素朴に歓迎して済まされる問題なのでしょうか? どうも筆者は、輪がばらけて人々の流動性が高まっていけば「信頼」を軸とした個人の行動原理が立ち上がってくる、とでも考えているように思えますが、本当にそうなのでしょうか。私はそんなに単純に「救い」があるようには思えません。すでに世界には、容易には乗り越えがたい「力」の格差が存在しており、そのことを無視して単純に輪をばらけさせるだけでは、その巨大な「力」の影響下に個々人が再編成されておしまい、という気がしてならないのです。そんなわけで、本書は真ん中あたりから眉唾で読みました。かなり胡散臭い気がしますけど、どうでしょう?

  • 糸井重里氏の「インターネット的」がこの本に着想を得たというのを読み、図書館で借りてきた一冊。
    何時だったかチームラボの猪子さんが日本は「チーム」ではなく「グループ」で動いている。従って個の総体が集団になっている、シンクロやショーなどは強いがサッカーのチーム戦になるとクリエイティブな発想が生まれにくいという事を仰られていて成程なあと思った次第。
    日本文化は「安心社会」であり「信頼文化」ではないという一見乱暴な議論。統計的な数値は結論ありきでちょっとなあという感じでしたが重要な指摘と感じました(日本がアメリカがという対比は正直飽き飽きですが)

    山岸氏は日本は人が人を管理する相互監視、相互規制するような集団利益を優先せざるをえない構造によるとし

  • 人を信じて行動する方が得だという実験。読みづらい。

  • 働き方改革のセミナーの資料で、社会環境の変化についての参考図書として書かれていたから読んだけど、ピンと来なかった。
    それにしても、社会学の本ってひさびさに読んだかも。

  • 氏曰く、日本人の「和の心」とは、他人の気持ちになって、互いに協調しあう関係を好むというよりは、
    周囲からどう思われるかを気にして、まわりとの間で波風を立てないようにビクビクすることだと指摘しています。
    かなり日本人の行動原理の本質に迫った指摘です。

    人に嫌われることを極端に恐れ、嫌われないないようにする。なぜかというか、この行動が日本社会では合理的だからです。自分の主張を押し殺して、
    みんなで協力するというよりは、自分のしたいことを遠慮する、したいことをすると、仲間はずれにされてしまう可能性が出てくるからです。

    しかし、今、企業(仲間内)がリストラが当たり前のようになりました。外の世界に投げ出されることがあたり前になりました。日本人の所属意識は、所属することで、少なくなくない対価・そして賃金が得られるからでしたが、その前提が今崩れ去っています。

    その中で氏は、仲間うちを超えてどこでも通用する良い評判を確立することが、これから、最も合理的な行動だと言っています。非常に、示唆に富む良書だと思います。

  • 安心社会から信頼社会へ❣️

  • 社会生物学エドワードウィルソン、社会科学がいずれ生物学の一部となる。

    認知心理学者、戸田正直。
    不確実性が高かった野生の環境では明日得られるかもしれない食料より、今手にしている食料の方がずっと重要だった。

    集団の中の関係性認知能力に優れている人は「びくびく」しながら生きている。不安が高い。

    自由競争の資本主義でこそ差別が採用される。

    非差別的な行動が適応的になるような社会環境をつくれば差別は自ずから消滅するはず。

    やはり西日本出身者か、と思った。えげつない女性差別発言をしらっとかけるあたりでびっくりする。自分の周辺にいる女性という少ないサンプルをとって極度な一般化をしないでほしい。

  • 能力への期待,意図への信頼.間違いがないことがわかっている場合の安心,深く低要素が含まれる場合の信頼.日本人の方がアメリカ人よりも信頼が弱い.集団社会で相互監視によるもの

  • 良書。
    もう一回ちゃんと読みたい。

  • 大学の時に読み残した本シリーズ4冊目。
    ソーシャルキャピタルの勉強してた時に買ってたんだけど、なぜか読んでなかった。
    先日読んだ糸井重里さんの「インターネット的」が、
    この本から着想を得たという記述を見て引っ張り出してきました。

    経済成長やら人口増加などなどを背景とした日本型システムによる日本的な大きな物語が崩壊したこれからの日本では、
    個人個人が周囲の人に対する捉え方を変えてかないとこれからどんどん変化していく社会ではうまいこと回っていかなくなっちゃいますよ、というお話。

    これまでの日本(式集団主義社会)では集団内部の仲間内における「安心」がある一方で、よそ者に対する不信感をも生み出していた。
    社会システムの前提条件であったものが崩れていく中では、固定された仲間内の協力だけでは新たな問題に対処していくことができない。
    このとき必要になるのは、他者一般に対する「信頼」であり、適切に他者一般との関係を築くことのできる共感的能力である。

    とても面白いことが書いてあるのですが、
    中盤は社会心理学の実験に関してかなり長いこと解説されていて、ここらへんは興味のない人にはちょっと退屈かもしれません。

    結論部分、今後の社会のあり方に関しては、
    情報公開・透明性という部分だけでは足りないかなとも思いますが、それが必要ないということではなくてすでに前提になっていってるのかなと。自治体とか企業とかのレイヤーでは。
    透明性でもって社会的不確実性を担保した上で、さらに効率や成功の可能性を高めるための方法が模索されている段階、なのかな。

    一方で個人のレイヤーではこの「情報を公開することによって社会的不確実性を低下させる」という方策はとても大切になってると思う。
    ここらへんが、糸井さんが「インターネット的」で主張されていた「正直は最大の戦略である」につながるわけですね。

    もうちょっと早めに読んでおけば良かったなという思いが強いですが、今読んでも考えることが多かったので良かったです。

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安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書)の作品紹介

リストラ、転職、キレる若者たち-日本はいま「安心社会」の解体に直面し、自分の将来に、また日本の社会と経済に大きな不安を感じている。集団主義的な「安心社会」の解体はわれわれにどのような社会をもたらそうとしているのか。本書は、社会心理学の実験手法と進化ゲーム理論を併用し、新しい環境への適応戦略としての社会性知性の展開と、開かれた信頼社会の構築をめざす、社会科学的文明論であり、斬新な「日本文化論」である。

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