南米ポトシ銀山―スペイン帝国を支えた“打出の小槌” (中公新書)

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著者 : 青木康征
  • 中央公論新社 (2000年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121015433

南米ポトシ銀山―スペイン帝国を支えた“打出の小槌” (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • ポトシ銀山によるヨーロッパ側の変容を知りたかったのだけど、現地の労働に焦点をあてた本書はこれはこれで勉強になった。
    労働環境は悲惨だけど、それでも当時、その悲惨さを訴えてなんとか改善しようとしていたヨーロッパ人がいたことは、ちょっとほっとする。

    あと、なんで銀の量を「ペソ」で表記するんだろう?「グラム」を知りたいのに!

  •  大航海時代と言えば、世界が「海の国」ものとなった契機であるわけだが、その先駆者であるスペインを支えたのが、南米にあるポトシ銀山であった。南米の貴金属と価格革命との関連性、この銀山からの銀とヨーロッパ経済との関係を考えるのも面白い。
     この本は、ポトシ銀山において、いかなる状況下で採掘がおこなわれたのか、ヨーロッパ、他の南米地域に、銀がどのように拡散していったかを述べる。
     読むと分かるのが、一度、外部から全くもって新しい産業を持ち込むと、その場所の従来の産業は崩壊するという事だ。また、聖職者が、奴隷とされた南米の土着人への扱いを告発するなど、ドロドロとした政治劇の一端も見る事が出来る。我々が高校で学ぶ世界史が、大雑把過ぎて、微視的には誤りを含んでいるんじゃないのか?と自問してしまうような本だった。

  • ●構成
    第一章 インディアスの略奪
    第二章 セビリアに流入する貴金属
    第三章 ポトシ銀山
    第四章 カリブ海諸島の悲劇
    第五章 鉱山労働をめぐる自由と強制
    第六章 ミタ労働への道
    第七章 ミタ労働を導入する
    第八章 見た労働と水銀アマルガム法
    第九章 変容
    第十章 改革の行方
    第十一章 ミタ労働の終焉
    第十二章 流出する銀
    第十三章 セビリアとポトシ
    --
     15世紀末から始まった、スペインを中心としたヨーロッパ諸国のインディアスすなわちカリブ海の島々の、次いで中米・南米の支配は、19世紀初頭までやむことはなかった。そこでは労働力として先住民族やアフリカから「輸入」された奴隷が「使用」された。
     本書はスペインによる南米支配のなかでも特に苛酷であった、ポトシ銀山におけるインディオの強制労働について、その歴史と実態を明らかにする。
     ポトシ銀山はペルーに位置し、莫大な産出量を誇る銀山として長くスペインの国庫を支え続けた。しかしその背後には、時には片道1ヶ月という遠隔地を含めたペルー国内のインディオの強制徴用と苛烈な労働環境があった。本書は、ミタ制と呼ばれるインディオの雇用政策を中心に論じる。スペイン人によって、採掘や選別、抽出などの鉱山労働のために周辺地域のインディオが低賃金で集められた。賃金といっても、自分の村からポトシへの往復費用や伴った家族のポトシでの生活費で消えてしまい、規定時間以上に休みの日も「自主的」に労働しなくてはならず、また納税のために現金収入を得る必要があったことから、結果的に休みなく働き続けることとなった。こうした非人道的な労働環境を知ったスペイン人からミタ制に反対する声も度々あがったが、その都度現地で作業監督に当たるスペイン人の利益に反するという理由で抵抗にあい、結局最後までミタ制は存続した。ポトシの銀に頼らざるをえないスペイン本国の逼迫した財政状況や、現地スペイン人の利潤追求により、とにかく採掘量を増やすことを最優先に鉱山経営がなされた。その結果としてインディオの人口が激減し、ミタ制の対象下にあった農村社会は崩壊することとなった。
     淡々としかし丹念に論じられ、時折書かれている内容の凄惨さに目を瞑りたくなるような思いを抱く。全世界で起こっていた、ヨーロッパ植民地主義政策に起因する悲惨な現実のひとつがここにある。
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