物語 カタルーニャの歴史―知られざる地中海帝国の興亡 (中公新書)

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著者 : 田沢耕
  • 中央公論新社 (2000年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121015648

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物語 カタルーニャの歴史―知られざる地中海帝国の興亡 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • スペインにあるけどスペインではない、バルセロナを中心とする地域カタルーニャ史の概説書。独立国として地中海を押さえていた中世を中心に、読みやすい文章で描かれていて面白かった。ジャウマ征服王の自伝7,000円が欲しくなる!

  • 家の本棚に偶然あった。地中海帝国!

  • 現在はスペインの一自治州であるカタルーニャだが、その実態は、ほぼ独立国のそれである。
    本書を読めば、そのことがよく理解できるはずである。

    いわゆるスペイン語(=カスティーリャ語)とカタルーニャ語の関係は、標準語と方言ではなく、祖先を共通とする姉妹に過ぎない(スペイン語とフランス語などとの関係と同じ)というのは驚いた。

    堅苦しくなく、気軽に読める。
    独立問題に揺れるカタルーニャをよく理解するのにうってつけ。

  • まさしく「物語」カタルーニャの歴史。魅力的な人物やフランクな語り口ですいすい読める。ロマンのかたまり。カタルーニャに思わず行きたくなる。中世史に限定しているのも潔くてよい。

    (要約)
    カタルーニャは現在でも独立運動をおこしているが独立を達成できていないスペインの一地方である。州都はバルセロナ,人口は約600万人でデンマークを上回り,ヨーロッパでは中程度の国に匹敵する。この地域の独自性が形成された背景には,イベリア半島がムスリムとキリスト教徒の間で争奪された歴史がある。中世初期の段階で西ゴート王国がウマイヤ朝に滅ぼされ,ピレネー山脈以西はイスラームの領域となった。しかしこれを全盛期のフランク王国が押し返そうとし,ピレネーを越えて侵攻した。遅くとも9世紀初めにはリュブレガット川以北はキリスト教徒のテリトリーとなり,この地域が旧カタルーニャとよばれている。初代バルセロナ伯のギフレ1世により修道院が建設されるなどムスリムからの実質的奪還が進んだが,しかし本体であるフランク王国がカール大帝以後分裂・混乱に陥ったため,カタルーニャは西方のアラゴンと結び独立国家の道を歩むことになった。カタルーニャ文化圏はピレネー山脈以北にも存在していたが(ピレネーは自然の国境線としての機能は低く古くから人の移動がさかんであった),この地域はアルビジョワ十字軍以後フランスによって奪われた。そのためカタルーニャは東方,海への膨張を志すことになる。その基盤を形成し,カタルーニャの繁栄を築いたのが「征服王」ジャウマ1世であった。彼の治世は中世の転換期にあたり,生産量の増大や商業ルネサンスに助けられた面はあるものの,ジャウマはその能力をいかんなく発揮してマリョルカ島や南部バレンシアの再征服,他の国には見られないような議会制度の確立といった偉業を成し遂げている。ジャウマの死後もシチリアを征服したり,「アルモガバルス」とよばれ恐れられた屈強な傭兵集団がビザンツの契約違反に怒ってアドリア海沿岸に一時勢力を樹立したりする(彼らの活動に影響されて書かれた小説『ティラン・ロ・ブラン』は現在でも各国で翻訳されており現代にも通用する中世カタルーニャ文学の傑作として有名)等,カタルーニャは「海の帝国」として中世のヨーロッパ世界にその名をとどろかせた。フランス兵捕虜への残虐なエピソードで知られるルジェ・ダ・リュリア提督は次のような言葉を残している。「地中海を安全に航行しようと思えば,黄色地に赤い四本線が入った旗(カタルーニャの国旗)を掲げなければならない。魚とてその例外ではない。背中に四本の赤い線が描かれていなければ,地中海で泳ぐことは許されないのである」。この時代のカタルーニャは文化的にもいくつかのめぼしい成果を挙げているが,中でも有名なのが数奇な人生を送った宗教学者ラモン・リュイの功績であろう。彼は中世後期の交通網の発達に乗じ,ヨーロッパ各地を精力的に旅してキリスト教の布教と殉教の達成を目指したが,最終的には目的を達成することはできなかった。しかし彼は,ラテン語でなく地方の方言で書物を記すという文学史上の偉業を達成し,ブルーノやライプニッツにも影響を残すなど大きな副産物を残した。そのため「カタルーニャ語の父」とよばれている。さて,このように繁栄を極めたカタルーニャであったが,その没落の始まりは1333年と言われている。没落の主な原因は以下のとおり。①ペストの流行,②サルデーニャ島への介入失敗(1960年代アメリカ合衆国のベトナム戦争と同じように国力を消耗させた),③ギフレより続いてきた王家の断絶,④地主・小作人間の格差の拡大とそれにともなう内戦の勃発,⑤カスティーリャ王国との事実上の連合(イサベルとフェルディナントの婚姻)により,イサベルの厳しいカトリック化が導入され,金融・商業にたけるユ... 続きを読む

  • ★★★2017年5月のレビュー★★★

    カタルーニャはスペイン北東部、地中海側の地域。バルセロナを中心とした地域といえばわかりやすいだろうか。
    スペインは各地域ごとに文化・言語が異なり独特の風土を生み出している。


    カタルーニャにもまた独自の歴史がある。
    この本では特に中世に光を当てている。
    歴代のバルセロナ伯には面白い人物が多い。
    普通なら毛が生えていないところ(どこかは不明)に毛が生えていた毛むくじゃら伯ギフレ一世。
    マヨルカ島をイスラム教徒から奪い取った征服王ジャウマ一世。教皇に堂々と歯向かう、怖いもの知らずのペラ2世。


    このカタルーニャがスペインの一地域となっている事から、独立を望む声は今でも大きい。

  • 目次

    1 カタルーニャの誕生
    2 栄光への助走
    3 「征服王」ジャウマ一世
    4 地中海の覇者
    5 停滞、そして凋落
    終章 その後のカタルーニャ

    バルセロナ伯、カタルーニャ・アラゴン連合王国国王系図
    カタルーニャ史・西洋史・日本史比較対象年表


    あと図版の出典が巻末にあり。

  • スペインを構成するカタルーニャ地方の歴史を
    かいつまんで解説する。
    スペイン全体の歴史としては
    中公新書「スペインの歴史」がより分かりやすい。
    しかし当然ながら各地方においても独立した歴史があって
    特にこのカタルーニャ地方についてはそれが顕著であり
    この現代において、今後この地方がどのように推移するか
    非常に興味深く感じさせられた。

  • バルセロナへ旅行する前に読んでおきたい。

  • バルセロナを中心とするカタロニア・アラゴン連合王国の歴史を詳細に紹介しています。ポルトガルのようにスペインから独立した可能性もあった、カタロニアが実は中世において、文化そして軍事面においていかに地中海地域をリードしたのか!正に地中海を支配することとなった時代の栄華は驚きでした。そしてイスラムをピレネーの北から退けたキリスト教が実は、当時においては先進イスラムから見た場合に後進・野蛮のキリスト教国の脅威であったという逆転の解明は実に面白いものがあります。映画「エル・シド」をもう一度見てみたいと思いました。

  • ○この本を一言で表すと?
     カタルーニャだけで完結する本ではなく、カタルーニャの視点から見たスペインの歴史の本


    ○この本を読んで面白かった点
    ・レコンキスタの初期にキリスト教勢力に再征服されたカタルーニャが力をつけていき、王の権威主義的な統治ではなく協約による統治という独自の文化をつくり上げ、古くから商人が力を持っていた地域だというのはなかなか面白い話だなと思いました。

    ・強力な国家だったカタルーニャが、王の女性関係や兄弟の争いなどで都度力を落としつつもまた興隆し、ついには失墜していったという流れは、トップがどうあるかで全体の動きや結果まで変わる大企業と似ているなと思いました。

    ・マジョルカ島とバレンシア再征服した征服王ジャウマ一世、傭兵部隊アルモガバルスのイタリアだけでなくバルカン半島まで領土にしてしまう強さ、いきなり出家して語学を学び広範囲に布教して学校も作り著作もたくさんあってライプニッツやデカルトにも影響を与えたラモン・リュイ、ナポリが好き過ぎてナポリ王になってカタルーニャに戻ってこなかったアルフォンス四世など、なかなか面白い人物がカタルーニャから輩出されているなと思いました。

    ・カタルーニャ凋落の原因となった飢饉やペストの被害が集中した1333年以降の状況はすごいなと思いました。
     1333年:記録的不作・飢饉、1347年:飢饉、1348年:ペスト流行、1357年:イナゴの異常発生、1362年:ペスト流行、1363年:ペスト流行、1371年:ペスト流行、1373年:地震、1374年:不作・ペスト流行、1381年:ペスト流行、1398年:ペスト流行、1410年:ペスト流行、1427年:地震、1428年:地震、1429年:ペスト流行、1439年:ペスト流行、1448年:地震・ペスト流行、1457年:ペスト流行、1465年:ペスト流行、1486年:ペスト流行、1493年:ペスト流行、1494年:ペスト流行、1497年:ペスト流行

    ・経済的な蓄積のあったポルトガルがスペインから独立でき、同じような状況にあったカタルーニャが独立できなかったこと、スペインの一部となったことからカタルーニャは商業的に成功したことなど、時期や歴史的な因果関係によって何か一つ違えばカタルーニャも独立国家だったかもしれないなと思いますし、カタルーニャの人が自分をスペイン人だと思っていないという話もわかる話だなと思いました。

  • 意外と面白くて一気に読んでしまいました。
    ジョージ・オーウェル「カタロニア賛歌」を読み直そっと思いました。
    books207

  • 仕事で初めてバルセロナを訪れた。
    現地のスタッフが度々口にする「カタラン」(カタロニア語)。
    「ブエノス・ディアス」でなく「ボン・ディア」と挨拶したときの
    かれらの表情の中にある歴史の淀み。
    ある家を訪ねたときに、チェ・ゲバラの肖像とともに
    「Catalonia is not Spain!」と大書された旗。
    青空と太陽が眩しいこの街の、陽気な人たちの中にある
    澱のようなものが気になって、帰りの飛行機で読みふけった。

    ヨーロッパの壮絶な歴史を改めて知り、
    教科書でさらっと習ったスペイン王位継承戦争などが
    リアリティを持って蘇ってきた。

    血肉になる読書は実体験と不可分であることを改めて知った。

  •  カタルーニャが中世にアラゴン・カタルーニャ帝国となりフランスと向かい合っていたかという、歴史である。
     近年のところがはしょっているので残念であるので、第二次世界大戦及びフランコのクーデター後のことを詳しく書いてほしかった。

  • 平坦な歴史の解説書かと思いきや、意外に読ませる感じで面白い。著者自身が「歴史の専門科ではない分、読者にとって読みやすく親しみやすくなるように書くことが出来た」ということを言っています。
    スペインに興味が出たので読んだのですが、カタルーニャ史の中で特に面白くまた魅力的な時代と人物を取り上げているので、カタルーニャ地方の事前知識全く無しでも読めました。どちらかに興味を持った最初の段階での入門書としてもいい。
    宗教人ラモン・リュイの人生と功績は、文章の書かれ方もあり、どこか滑稽にも感じるギャップが面白かった。

  • [ 内容 ]
    ピカソやダリが生き、ガウディの建築がそびえ立つバルセロナ。
    この街を中心に、いまもスペイン随一の繁栄を誇るカタルーニャは、かつてイタリアや遠くギリシャまで、地中海全域を支配した大帝国だった。
    建国の父・ギフレ「毛むくじゃら伯」、黄金時代をもたらしたジャウマ「征服王」や、騎士・錬金術師・怪僧が地中海せましと活躍する。
    栄光の中世から、混乱をへながらも再生への努力を続ける現代までをたどる通史。

    [ 目次 ]
    1 カタルーニャの誕生
    2 栄光への助走
    3 「征服王」ジャウマ一世
    4 地中海の覇者
    5 停滞、そして凋落
    終章 その後のカタルーニャ

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • バルセロナ伯家の歴史中心で、連合王国を形成したアラゴンなどの記載も結構ある。
    他の「物語○○の歴史」は、トピック選んでエピを綴るものが多いような気がするが、これはカタルーニャが海洋貿易等で一番栄えた中世を中心とし、中世部分についてはかなり経年的にたどることができる。
    スペイン中世史、それもイスラム絡みでない、非カスティーリャ地域の一般書なんて貴重。

    「アルカサル」でおなじみのドン・ペドロ(カタルーニャ語ではペラ!)も、ペラ3世(アラゴン王としてはペドロ4世)のライバルとして登場。
    ペラ3世はがんばってたことがわかったが、彼の子どもの代で断絶してしまったのね…(ただし、後を継いだフェラン(フェルナンド)1世はペラ3世の娘レオノールの子)

    トラスタマラ家以降の系図もほしかった(年表は現代までつけてるんだし)。

  • スペインは多様性の国である。
    この書籍を読む前から、スペインには、バスク地方やカタルーニャ地方で民族運動が盛んだとは分かっていたが、理由を知らなかった。

    本書では、バルセロナを含むカタルーニャ地方の歴史を古代から近現代まで網羅的に紹介してくれている。

    この書籍によって、スペイン旅行がより一層興味深いものとなった。

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ピカソやダリが生き、ガウディの建築がそびえ立つバルセロナ。この街を中心に、いまもスペイン随一の繁栄を誇るカタルーニャは、かつてイタリアや遠くギリシャまで、地中海全域を支配した大帝国だった。建国の父・ギフレ「毛むくじゃら伯」、黄金時代をもたらしたジャウマ「征服王」や、騎士・錬金術師・怪僧が地中海せましと活躍する。栄光の中世から、混乱をへながらも再生への努力を続ける現代までをたどる通史。

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