軍事革命(RMA): 情報が戦争を変える (中公新書 1601)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016010

作品紹介・あらすじ

ナポレオンによって大兵力の殲滅戦が開始されてから、戦争は火力による殺傷と破壊を意味するようになった。これ以降、工業化時代の戦争は、双方が国力全体を消耗しあう形態となったのである。情報技術や精密誘導技術が驚異的に発達したため軍の運用や編成・組織が劇的に変化しつつある今、もはやクラウゼヴィッツの唱えた消耗戦は主流ではなくなりつつある。これからの戦争はどうなるのかを、シミュレートする。

感想・レビュー・書評

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  • 軍事分野における情報革命が、装備品だけでなく、軍隊の運用まで根本的に変えてしまうことを見通したもの。
    RMA軍の理念型を示しているという点では、今日の各国軍の情報化の進展を見る上でも参考になる。

  • 2001年刊行。著者は元防衛研究所主任研究員。高度情報化社会(軍事技術の情報化の亢進と平時社会における情報ネットワークや情報機器への過度の依存状態)における軍事的戦術の変貌を、過去の戦術論と比較しつつ検討する。「中心拠点の同時攻撃」「消耗戦から麻痺戦へ」「拠点概念が単なる軍事施設のみならず、首都などの中心都市も包含」といった見解が示される。発電施設集中型の東京の電力システムダウン、輸送路(貨物輸送の軸の高速道路)破壊等、悪い想像を逞しくしてしまう一書。2、5、6章だけでも読む価値はある。
    大型発電施設による集中管理は、麻痺戦及び首都のインフラ・物資流入線の破壊という観点からは、戦術防衛的に極めて脆弱である事実が予想される。特に、原発の破壊工作(原発管理部門へのサイバー攻撃も含まれよう)は、メルトダウンその他の危険を招来させる点も考慮すべき点かも。

  • 駅前ブックオフで購入する。このブックオフは、雑誌、新書、書籍ともに、豊富です。興味深い本でした。また、読みやすい本でした。著者は、元防衛庁の研究者です。テーマは、軍事革命です。軍事革命を引き起こしたものは、情報技術の進化である。ただし、軍事革命と軍事技術革命と同じではない。軍事技術革命は、情報技術の進歩に適用したものである。軍事革命は、情報技術の進歩に適用させるだけではなく、従来の戦術を変化させたものである。戦争の目的は、「国家機能を麻痺」させ、降伏に追い込むことである。世間では、イラク戦争の勝利は、軍事革命の成果であると指摘されている。この戦術は、戦後、イラクを泥沼へと招いた。この戦略は、敵軍の兵士、兵器を殆ど破壊していない。そのため、戦後のゲリラへの兵士、武器の供給源となる。参考文献として、春原剛「同盟変貌―日米一体化の光と影」があります。この本の中で、著者が紹介されています。

  • 図書館有

  • RMAの技術的な側面に関する論考。

  • [ 内容 ]
    ナポレオンによって大兵力の殲滅戦が開始されてから、戦争は火力による殺傷と破壊を意味するようになった。
    これ以降、工業化時代の戦争は、双方が国力全体を消耗しあう形態となったのである。
    情報技術や精密誘導技術が驚異的に発達したため軍の運用や編成・組織が劇的に変化しつつある今、もはやクラウゼヴィッツの唱えた消耗戦は主流ではなくなりつつある。
    これからの戦争はどうなるのかを、シミュレートする。

    [ 目次 ]
    序章 情報化社会の特質とその軍事的意義
    第1章 軍事革命(RMA)とは何か
    第2章 「消耗戦」から「麻痺戦」へ
    第3章 情報戦と指揮・統制機能の無能化
    第4章 「集中打撃」から「同時打撃」へ
    第5章 攻撃と防御、どちらが有利か
    第6章 情報型「軍事革命」と日本の防衛戦略
    第7章 米国のRMA軍に挑戦する軍隊

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    [ 参考となる書評 ]

  • ゼミ文献

    費用対効果の考えはないのかと思う。
    最後の章の非対称戦における箇所に人にかかる費用がうんぬんという記述は一応あるにせよ、
    総じてRMA化にかかるコスト計算という発想はなさそう。
    公務員である軍人の書いたものだから仕方がないなどと言われないようにそのあたりへの考察を入れてほしい。

    あと疑問に思ったのは2001年に出たという事の限界もあるのだろうが、
    平和維持活動にRMA化した軍隊はどう貢献できるのかという観点もほしい。
    この本では軍隊の活動の幅が広がっている事への視座はまるで欠けている。
    長期にわたる安定を地域にもたらす事がRMA化した軍隊でできるのか?
    軍事活動というよりは治安活動に近い働きを果たすことができるのか?
    冷戦後から21世紀にわたり国際社会が直面している、していくであろう困難に対するアプローチを欠いている。

  • もうちょっと刺激的なお話が聞きたかったが、こんなもんかな

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著者プロフィール

中村好寿一九四三年(昭和一八年)、広島県三次市に生まれる。防衛大学校卒業。防衛大学校助教授、米国国防大学客員研究員、陸上自衛隊東北方面総監部幕僚、ジョージア工科大学客員教授、防衛研究所主任研究員を経て、退官。現在、軍事アナリスト。著書に『抑止力を越えて―2020年の軍事力』『軍事革命(RMA) : が戦争を変える』『ビジネスに活かす! 最新・米軍式意思決定の技術』『「作戦」とは何か : 戦略・戦術を活かす技術』など多数。共訳にクラウス・クノール著『国際関係におけるパワーと経済』。

「2023年 『制限戦争指導論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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