タイトルの魔力―作品・人名・商品のなまえ学 (中公新書)

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著者 : 佐々木健一
  • 中央公論新社 (2001年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016133

タイトルの魔力―作品・人名・商品のなまえ学 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 芸術作品とそのタイトルの関係について、理論的および歴史的な観点から考察をおこなっている、ユニークな美学書です。

    著者は、芸術作品とタイトルの関係をめぐって鑑賞者が取る態度には、「教養派」と「審美派」の2種類があると言います。「教養派」はタイトルを通して作品を制作した作者の意図に近づくことをめざし、「審美派」はタイトルによってみずからの芸術的直感が一定の方向に誘導されてしまうことに対する警戒を表明します。著者は、互いに対立するこの2つの態度が、ともに近代的芸術観に基づいていると論じています。こうして著者は、タイトルを手がかりとすることで美学上の中心的な問題に踏み込んでいきます。

    本書の議論のあちらこちらに、美学上の重要な問題へとつながっていく開口部がのぞいているのが何となく理解はできるのですが、個人的に分析美学的な問題の立て方になじみがないので、どことなくおもしろい問題に通じているような印象がするというところにとどまっています。歴史的な考察がおこなわれているところはおもしろく読めました。

  •  オペラのアリアは、その冒頭の歌詞がタイトルになっていますが、それはインチピット(incipit)と呼ばれ、「~と始まる」という意味のラテン語とのことです。
     次の点は、確かに言われてみればそうです。
     「西洋文化圏における書籍の最初の形は、パピルスの巻物だった。その最古のものは紀元前2900年頃のもので、パピルスが羊皮紙に変わるのは1世紀のことだ。パピルスはそれでも11世紀まで使われ続けた。羊皮紙になって本は冊子(ラテン語でcodexという)の形を取りうるようになり、4世紀以後は完全に書物の形になる。古代のパピルスの巻物の一巻は平均して6~7メートルの長さのものだった。

  • 美術史とタイトルの歴史
    かなり、学術的だが、学術くささを排除した良書
    結論が弱い気がする。

  • 美術品のタイトルに関する考察。タイトルに関する研究も様々なアプローチがあるものだなぁと思う。

  • タイトルに関して、歴史的な部分も含めて考察している。

    絵のタイトルが、実は比較的最近なのには驚く。「無題」という絵はタイトルをつけるのを拒否しつつ何かを発信しているタイトル、なんて考えているとクラクラしてきそう。

  • 主に藝術作品における「タイトル」とは何ぞやという視点の思料。そもそもタイトルとは何かを考え始めると、その意味合いや機能性(タイトルにも機能がある)について、幾つもの考え方がででくる。深く考えると、同じ藝術という範疇でも、絵画と彫塑と音楽と文学では、タイトルなるものの価値や歴史が、結構異なっているのがわかる。
    商品等のネーミング論とは一味違う、「名前付け」に対するアカデミックな考察が非常に面白い。

  • 「タイトル」について考えてみたこと、ありますか?
    あなたが美術館に行った時、はじめに見るのは「作品」ですか?「タイトル」ですか?
    「タイトル」は「作品」に対して、またあなたの観賞体験にどのような効果をもたらしているでしょうか。
    私たちの身のまわりには、たくさんのタイトルがあふれています。人の名前、商品名、本の名前・・・。タイトルの歴史と美学的考察を記述した、刺激的な一冊!
    (お薦め本レビュー応募作品2012★ギョロリン賞/人文・文化学群4年)

    ▼附属図書館の所蔵情報はこちら
    http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1439839&lang=ja&charset=utf8

  • ネーミングのヒント探しで手に取ったら、意外に内容がごつかった(学術的でした)。

  • [ 内容 ]
    絵画や彫刻の展覧会で、作品の傍らには必ずネームプレートが寄り添っている。
    音楽、小説、詩、戯曲…。
    いずれにもなんらかのタイトルが付されている(なかには「無題」というタイトルもある)。
    では、このタイトル、いつごろからどのように、作品と不即不離の関係になったのだろう。
    人の名前、商品のネーミングも視野に入れながら、芸術作品におけるタイトルの役割と歴史を考える、刺激に満ちた美学の冒険。

    [ 目次 ]
    タイトル、この気になるもの
    なまえと名詞
    なまえの魔力
    名づけとネーミング
    商品名とタイトルの場所
    タイトルの空間
    タイトルの歴史学(文学の場合;絵画の場合)
    タイトルの言語学―「テネシー・ワルツ」を御存じですか
    タイトルのレトリック
    理論としてのタイトル
    タイトルの脱芸術化

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 文学の題名カテゴライズが面白かった。

  • 2007年07月03日
    ずっと気になっていた図書でしたが、いよいよタイトルについての疑問が湧いてきたので読まざるを得ませんでした。どことは言えないが、美術史家ではなく美学家が書いている文章だな、と全般的に感じ取れる本でした。
     私の興味を特に惹いたのは、タイトルという本題からは逸れますが、ヴィットゲンシュタンの「家族類似性」とか「風景相(アスペクト)」についての話でした。M先生が演習で触れていた作品の内にある美学、作品の外にある美学についても少し言及してありました。
     『本の遠近法』の帯に「本が本を呼ぶ」というフレーズがありますが、本当にそれは可能なのかもしれません。気になる本から、気になる話題についてから、読んでいこうと思います。
     

  • ちょっと僕には難しいので読み終えてはいない本だが「なるほど」と感じることが多い。特に美術系の作品に対しての「タイトル論」みたいなのはアート鑑賞にてはさらに深く作品を感じることができるようになるかも。ただ考え過ぎは余計なことかも、さらっと読んでしまおうと感じた。

  • 近代的タイトル=メタテクスト。
    風景相とひらめきのずれ(タイトルを知ることにより変化するもの)→「…について」「…として」見ろという命令。
    批評家としての修練=見所を教えるという意味で。
    タイトルは作者によってしかつけることができないという時代、すなわち作品に対する作者の所有権はその手を離れたあとも継続する。
    そしてその終わりの時代としての現代。
    個人的にはブリューゲルパパ《イカロスの墜落》。

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タイトルの魔力―作品・人名・商品のなまえ学 (中公新書)の作品紹介

絵画や彫刻の展覧会で、作品の傍らには必ずネームプレートが寄り添っている。音楽、小説、詩、戯曲…。いずれにもなんらかのタイトルが付されている(なかには「無題」というタイトルもある)。では、このタイトル、いつごろからどのように、作品と不即不離の関係になったのだろう。人の名前、商品のネーミングも視野に入れながら、芸術作品におけるタイトルの役割と歴史を考える、刺激に満ちた美学の冒険。

タイトルの魔力―作品・人名・商品のなまえ学 (中公新書)はこんな本です

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