タイトルの魔力: 作品・人名・商品のなまえ学 (中公新書 1613)
- 中央公論新社 (2001年11月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121016133
感想・レビュー・書評
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芸術作品とそのタイトルの関係について、理論的および歴史的な観点から考察をおこなっている、ユニークな美学書です。
著者は、芸術作品とタイトルの関係をめぐって鑑賞者が取る態度には、「教養派」と「審美派」の二種類があるといいます。「教養派」はタイトルを通して作品を制作した作者の意図に近づくことをめざし、「審美派」はタイトルによってみずからの芸術的直感が一定の方向に誘導されてしまうことに対する警戒を表明します。著者は、たがいに対立するこの二つの態度が、ともに近代的芸術観に基づいていると論じています。こうして著者は、タイトルを手がかりとすることで美学上の中心的な問題に踏み込んでいきます。
本書の議論のあちらこちらに、美学上の重要な問題へとつながっていく開口部がのぞいているのがなんとなく理解はできるのですが、個人的に分析美学的な問題の立てかたになじみがないので、どことなくおもしろい問題に通じているような印象がするというところにとどまっています。歴史的な考察がおこなわれているところはおもしろく読むことができました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
美術史とタイトルの歴史
かなり、学術的だが、学術くささを排除した良書
結論が弱い気がする。 -
タイトルに関して、歴史的な部分も含めて考察している。
絵のタイトルが、実は比較的最近なのには驚く。「無題」という絵はタイトルをつけるのを拒否しつつ何かを発信しているタイトル、なんて考えているとクラクラしてきそう。 -
ネーミングのヒント探しで手に取ったら、意外に内容がごつかった(学術的でした)。
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2007年07月03日
ずっと気になっていた図書でしたが、いよいよタイトルについての疑問が湧いてきたので読まざるを得ませんでした。どことは言えないが、美術史家ではなく美学家が書いている文章だな、と全般的に感じ取れる本でした。
私の興味を特に惹いたのは、タイトルという本題からは逸れますが、ヴィットゲンシュタンの「家族類似性」とか「風景相(アスペクト)」についての話でした。M先生が演習で触れていた作品の内にある美学、作品の外にある美学についても少し言及してありました。
『本の遠近法』の帯に「本が本を呼ぶ」というフレーズがありますが、本当にそれは可能なのかもしれません。気になる本から、気になる話題についてから、読んでいこうと思います。
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ちょっと僕には難しいので読み終えてはいない本だが「なるほど」と感じることが多い。特に美術系の作品に対しての「タイトル論」みたいなのはアート鑑賞にてはさらに深く作品を感じることができるようになるかも。ただ考え過ぎは余計なことかも、さらっと読んでしまおうと感じた。
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近代的タイトル=メタテクスト。
風景相とひらめきのずれ(タイトルを知ることにより変化するもの)→「…について」「…として」見ろという命令。
批評家としての修練=見所を教えるという意味で。
タイトルは作者によってしかつけることができないという時代、すなわち作品に対する作者の所有権はその手を離れたあとも継続する。
そしてその終わりの時代としての現代。
個人的にはブリューゲルパパ《イカロスの墜落》。