結核という文化―病の比較文化史 (中公新書)

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著者 : 福田真人
  • 中央公論新社 (2001年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016157

結核という文化―病の比較文化史 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 19世紀以降、結核が佳人薄命の代名詞のような存在となった経緯(結核のロマン化)等、結核が文化に与えた影響また環境変化(産業革命等)が結核に与えた影響について述べた本。とりあげられているテーマは、西洋の結核の歴史、中国と日本の結核の記録、近代の結核療法の登場、細菌学の時代、近代化と産業革命・殖産興業、肺病のロマン化、サナトリウム。少し扱うテーマが多く散漫になってたけど、病気が文化に与える影響って思った以上に多いことがわかって、くてかなり勉強になった。情報疎通がない時代に、西洋・アジアで結核に対するイメージが似通ったものになっていたのは非常に興味深い。

  •  19世紀から20世紀前半にかけて,欧米や日本で猛威を振るった結核。芸術の分野では極度に美化され,美女や若き天才が儚く消えていくような,ロマンチックなイメージがまとわりついてきた。
     結核のロマン化という現象に興味をもって読んだが,古代からの結核の歴史,医学的な概要,現在も決してなくなっていないことなど,広く扱っている。広すぎて少し散漫な感じもした。この病気の,文学などでロマン化され強調されて人々の記憶に根付いている部分というのはやはり虚像なのだろう。

  • [ 内容 ]
    結核は人類の歴史とともに古くから存在し、新旧両大陸で痕跡が見つかっている。
    その古い病気が、突然一九世紀から二〇世紀前半を代表する病となった。
    貧困の中の悲惨な死という現実とは対照的な、佳人薄命を尊ぶロマン化現象、天才芸術家の宿命という伝説、療養所を舞台とするサナトリウム文学などの登場が、その時代の文化を色どっている。
    古今東西の実例を紹介しつつ、病からみた斬新な文化史の構築を試みる。

    [ 目次 ]
    1 病の運命―三つのエピソードから
    2 西洋の結核の歴史―古代から中世へ
    3 中国と日本の結核の記録
    4 近代の結核療法の登場
    5 細菌学の時代
    6 近代化と産業革命・殖産興業
    7 肺病のロマン化
    8 サナトリウムという新しい舞台
    9 結核患者の群像
    10 結核は過去の病気ではない

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 時代の文化を彩った結核…病から見た文化史

    読了日:2007.7.08
    分 類:教養
    ページ:269P
    値 段:820円
    発行日:2001年11月発行
    出版社:中公新書
    評 定:★★★+


    ●作品データ●
    ----------------------------
    テーマ : 医学文化史
    語り口 : 説明文
    ジャンル: 教養、研究
    対 象 : 一般~初学者向け
    雰囲気 : 文化史を病から語る
    ---------------------------

    ---【100字紹介】--------------------
    人類の歴史とともに存在する古い病・結核。
    現実と対照的な、佳人薄命のロマン化現象、
    天才芸術家の宿命という伝説、
    サナトリウム文学などが、その時代の文化を彩る。
    古今東西の実例を交えた、病からみる斬新な文化史
    ---------------------------------------

    最近、ちょっと医学史づいている菜の花です。

    今度は入門書、という感じではないですね。一般教養書といったところか。一般書よりも、教養書の重みが大きい感じ。研究者が易しい本を書いてみました的な雰囲気ですね。菜の花は初学者も初学者、全然専門外ですが、読むのに特に問題はありませんでしたので、まあ一般向けでしょう。

    ただの医学史ではありません。というか、医学史とは言わないような。これは文化史です。たまたまその切り口というか、ツールというか、視点として医学を中心に据えていますが、間違いなく文化史。医学の視点で描いた文化史とは、なかなか斬新ですね。しかも、医学的な発展というより、興味の中心はひたすら文化へ。いや、人、でしょうか。その時代、その時代の人に対するまなざし。そういう作品です。

    結核というのは確かに、どこか甘美な響きがあるような気がします。小説や漫画にも取り上げられる、ちょっとふらふらな沖田総司とか(何故か、翳を背負った上の天真爛漫なキャラで描かれることが多い…本当?)、近代だと樋口一葉や中原中也などの惜しい才能の早逝とか。お話の中なら椿姫だってそうですね。色々思い浮かぶことでしょう。佳人薄命、天才の宿命というイメージは確かにあります。でも本当は違う。それもやっぱり知っているのに、それにも関わらず、何故かそういうイメージがあるんですよねー。このイメージ、どうやら現代日本の人だけじゃないらしい!?世界のあちこちで色々なイメージがあって、そこから起きる事柄…。よく知られている人の実例を随時取り上げつつ、興味深く世界と時代を超えた文化、世相を見る旅に出られます。

    後半がやや、行きつ戻りつな感じで読みづらかったのですが、興味を持って最後まで読めば、なかなか面白い作品です。


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    文章・描写 :★★★+
    展開・結末 :★★
    簡 潔 性 :★★★+
    独 自 性 :★★★★+
    読 後 感 :★★★+
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結核という文化―病の比較文化史 (中公新書)の作品紹介

結核は人類の歴史とともに古くから存在し、新旧両大陸で痕跡が見つかっている。その古い病気が、突然一九世紀から二〇世紀前半を代表する病となった。貧困の中の悲惨な死という現実とは対照的な、佳人薄命を尊ぶロマン化現象、天才芸術家の宿命という伝説、療養所を舞台とするサナトリウム文学などの登場が、その時代の文化を色どっている。古今東西の実例を紹介しつつ、病からみた斬新な文化史の構築を試みる。

結核という文化―病の比較文化史 (中公新書)はこんな本です

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