歴代天皇総覧: 皇位はどう継承されたか (中公新書 1617)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016171

作品紹介・あらすじ

天皇は古代より連綿と代を重ねてきた。壬申の乱、承久の乱、南北朝動乱などの激動を乗り越え、その系譜は千年以上にわたって続いている。皇位継承はどのように行われ、どう変質をとげたのか。摂政・関白、将軍、執権といった時の権力との関わりはいかなる推移をたどったのか。記紀に記される初代神武天皇から昭和天皇に至る百二十四代と北朝天皇五代すべての生涯と事績を丹念に叙述する。巻末に系図、索引を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 天皇とはどんな存在か。
    著者があとがきに記すようにこの問いに答えるのは難しい。

    でもここにまとめられた「天皇」の存在意義とはおそろしくシンプルなものだ。

    それはただひたすらどんな係累を築き、子孫を残すか、ということに集約されている。どんな家系も絶える可能性を常にはらんでいるのだろうが、この家族だけはそれを許されない。ある意味、とても怖いことだ。

    この本の中でも「政治」に深く関わったことが記されている天皇は奈良時代以降については明治、昭和の近代の二人の他は、既存の政体に挑んだ後醍醐天皇や後鳥羽上皇くらいのものであり、むしろ『異端』的な存在だったことがわかる。

    それでは天皇は神道の神官という地位を保持してきたのかというとそうでもなく、災いが起こると般若心経を綴ったり、寺に詣でたりもしている(あ、もちろん創ったりもしている)。

    天皇の存在価値とは、実際の政体が一種の逃げの口実に使うためのクッションとしての存在だったようにも思える。

  • 圧巻。これだけの内容をよくぞ新書でまとめた。
    日本史を読むときは辞書的に手元に置いておきたい。

    「天皇不親政論」
    古代よりこのかた、天皇が政治的権力を掌握することは極めて稀で、実権を握っていたのは臣下であった。これが日本特有の権力の二重構造である。実権のなかった天皇は政治責任を負う立場になく、結果として天皇制が存続してきた。

    女性天皇。
    古代に6人八代【推古・皇極/斉明・持統・元明・元正・孝謙/称徳】
    近世に2人【明正・後桜町】
    なお、明治時代以降の皇室典範は皇位継承資格者は男系男子に限定されている。

  • とにかくひたすら神武〜昭和まで全ての天皇を紹介している点では稀有な本。
    皇統は分かりやすい。しかし、歴史の参考書となるかは疑問。あくまで、天皇が朝廷でどんな足跡を辿ってきたか、に絞っているので、一般的な日本史の知識が分かるわけではない。

  • 神武天皇から昭和天皇に至る、百二十四代と北朝天皇五代すべての生涯と事績を叙述。
    巻末に系図、索引を付す。

  • 勉強用

  • 125人中、何人が神?(笑)

    文字ビッチリで一見、読みにくくて分かりにくそうなのに、読みやすかった! 面白かった。
    125人を1冊にまとめているので、1人を細かく描写はされていないのだけれど、それまで全然、天皇を人として捉えたことがなかったので、この本で面白い人たちがいっぱいだと知って楽しかった。

    読みながら思ったことは、当時、天皇が在位していた時は、みんなどう呼んでいたんだろう? と。
    今上?
    帝?
    陛下?
    ↑もっとぴったりな呼び名があるような気がする。

    読んでて思ったこと。
    聖徳太子は早死にしすぎた。(←ってーか推古天皇、生き過ぎ……)
    藤原頼通はどうして娘をどんどん入内させなかったのか?
    ってことかな?

    それでも天皇は人民の父である自覚を普通に持ってるってところが凄いなぁ、と思わされたと同時に、
    やっぱ、人間じゃないんじゃない?(=神じゃね?) と思っちゃわないでもない。


    天皇万歳。(右の人なので字面通りに受け取ってくださっても可/笑)

  • 歴史小説を読むためのツールとして読んだ。

    全124代の天皇の生涯、治績が簡潔に纏められている。
    ロングセラーも納得。

    最大の障害、名前の読み(かんやまといわれひこのみこと みたいなやつ)はスキップして読む。

  • NHK大河ドラマ「平清盛」には天皇家の方々が多く登場するので、この本を参照しながら観ると非常に参考になる。

  • [ 内容 ]
    天皇は古代より連綿と代を重ねてきた。
    壬申の乱、承久の乱、南北朝動乱などの激動を乗り越え、その系譜は千年以上にわたって続いている。
    皇位継承はどのように行われ、どう変質をとげたのか。
    摂政・関白、将軍、執権といった時の権力との関わりはいかなる推移をたどったのか。
    記紀に記される初代神武天皇から昭和天皇に至る百二十四代と北朝天皇五代すべての生涯と事績を丹念に叙述する。
    巻末に系図、索引を付す。

    [ 目次 ]
    神話時代の天皇(神武天皇 綏靖天皇 ほか)
    古代の天皇(応神天皇 仁徳天皇 ほか)
    中世の天皇(後鳥羽天皇 土御門天皇 ほか)
    近世の天皇(後水尾天皇 明正天皇 ほか)
    近現代の天皇(明治天皇 大正天皇 ほか)

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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 歴代天皇の略歴を即位順に並べている。
    古典や歴史小説などを読んでいるときに、辞書的によく見る。

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著者プロフィール

1956年東京生まれ。1980年慶應義塾大学法学部政治学科卒業、1985年同大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学。1985年慶應義塾大学法学部専任講師、1989年同助教授、1993年同教授。この間、1988年~89年、2000年~01年米国スタンフォード大学フーバー研究所訪問研究員。

単著に、『明治国家と官僚制』(芦書房、1991年)、『天皇親政』(中公新書、1995年)、『日本行政史序説』(芦書房、1998年)、『天皇と官僚』(PHP新書、1998年)、『日本の医療行政』(慶應義塾大学出版会、1999年)、『歴代天皇総覧』(中公新書、2001年)、『女帝誕生』(新潮社、2003年)、『大久保利通』(吉川弘文館、2005年)『明治天皇』(中公新書、2006年)、『象徴天皇制と皇位継承』(ちくま新書、2008年)、『明治留守政府』(慶應義塾大学出版会、2010年)、『新・皇室論』(芦書房、2013年)、『皇室がなくなる日』(新潮選書、2017年)、『歴代天皇総覧 増補版』(中公新書、2021年)。
共著・編著として、『明治期医療・衛生行政の研究』(ミネルヴァ書房、2011年)、『公共政策の歴史と理論』(ミネルヴァ書房、2013年)、『時代が求める後藤新平』(藤原書店、2014年)、『なぜ日本型統治システムは疲弊したのか』(ミネルヴァ書房、2016年)、『天皇退位 何が論じられたのか』(中公選書、2020年)ほか。

「2022年 『天皇・皇室制度の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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