ハワイの歴史と文化―悲劇と誇りのモザイクの中で (中公新書)

  • 127人登録
  • 3.58評価
    • (4)
    • (15)
    • (16)
    • (0)
    • (1)
  • 16レビュー
著者 : 矢口祐人
  • 中央公論新社 (2002年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016447

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
マーク・ピーター...
ジャレド・ダイア...
村上 春樹
J・モーティマー...
三島 由紀夫
デール カーネギ...
有効な右矢印 無効な右矢印

ハワイの歴史と文化―悲劇と誇りのモザイクの中で (中公新書)の感想・レビュー・書評

  •  多くの日本人にとって、ハワイは旅行の目的地としてしか見ないだろうが、単純な「楽園ハワイ」のイメージからは程遠い、ハワイがくぐり抜けてきた様々な歴史や、ハワイに住む人々、ハワイにやって来る人々について、主に歴史的な観点から述べたもの。具体的にはサトウキビのプランテーションで働く移民たち、真珠湾攻撃から始まる大戦の中でハワイに生きた日本人、ハワイブームでハワイに出かける日本人、ハワイ王国の成立と滅亡を中心としたハワイ小史について説明されている。
     放送大学の面接授業で「ハワイの歴史と文化」という授業をとったので、その行き帰りで読んだ。今度、はからずも初めてハワイに行くことになりそうで、静岡まで授業を受けに行った。本は写真も多く紹介されており、読みやすい。巻末には著者独自のハワイの音楽紹介もある。参考文献や読書案内もすごくしっかり載っていて、ハワイアン・スタディーズの導入にもなるかもしれない。
     個人的には「ハワイ王国」と言うと「悲劇の歴史」みたいな感じでしか捉えられず、カメハメハ大王も「最後の女王」もみんな悲劇の人、くらいにしかイメージしてなかった。実際にはカメハメハは案外好戦的な人で、悲劇的では全くないな、という部分が最も印象的だった。あとキリスト教に改宗している王も結構いるようだし。日系移民の話とか、第二次世界大戦中の日本人の様子など、具体的な人のエピソードが多く出てきて、よく分かる。
     本の話ではないが、放送大学の講義で考えたことをここにメモしようと思う。「ポリネシア人の到来」、「西洋人の到来」、「ハワイ王国の成立と崩壊」以外で、19世紀までに起こったことで三大ニュースを挙げるなら、という話があった。おれは「カメハメハの死」、「キリスト教の伝来」、「土地私有制度」だと思う。カメハメハが死んだので、白檀貿易が盛んになり、それがきっかけで貴族が破綻していったから。宣教師が来て、キリスト教の価値観を押し付けると同時に、文字が伝来したから。これまで神の土地だったのに、私有を認め、ついに外国人まで私有できるようになったので、サトウキビのプランテーションが行われるようになったから。というのがそれぞれの理由。いずれにしても、ハワイが太平洋の真ん中にあるという地理的なユニークさによって、こんな歴史を歩むことになっているのだと思った。(13/12/08)

  • 家の本棚にあった本。できるだけ筆者の主張が抑えられていて、論文の形式にのっとって書かれている。国の歴史について論じるとき、それが重要かつ繊細な問題であることを認識すべきだと思うので、この本の論じ方には好感がもてた。

    いくつか印象に残った部分を書く。
    日系人の日本に対する帰属意識について。特に2世3世の日系人は、自身のルーツを日本に感じながらも、ハワイ市民やアメリカ国民としてのアイデンティティを確立しているという。「日本人」でありながらも、「ハワイ市民」、「アメリカ国民」としての意識をもつ(p52)とある。(だからハワイに住む日系人に、安易に「いわゆる日本人」的なイメージの押しつけをしてはならない。)日本で育った僕には、その意識は斬新に思えた。今後、日本がより多くの移民を受け入れたり、日本から多くの人が移民として海外に渡ったりすると、日本人という概念が変化するだろう。このような変化はおもしろいと思う。

    そして、ハワイがグローバル経済に組み込まれていく過程も印象的だった。ジェームズ・クック来航以前のハワイのなんと魅力的なこと。島ごとに王がいて、その下に首長がいて、神官がいる。アフプアアと呼ばれる、扇状地が集落の単位である。(この扇状地で区切る発想もおもしろい)人々は漁をしたり、タロを育てたりしながら生きている。火山を神聖視し、詩や踊りで神々を祀る。
    しかし、このような生活は外的世界との関わりで崩される。ヨーロッパ人に白檀が高く売れるので、山の白檀はすべて切り倒されてしまった。サトウキビのプランテーション栽培が始まり、サトウキビ畑が広がる。さらに時代が進むと、軍事需要、観光需要に応えるため、ビルが立ち並びショッピングモールができるようになる。こうしてまた、特徴のないまちができてしまう。
    グローバル化は、世界をひとつの論理で支配しようとする動きなのか。その論理のせいでかき消されてしまった風景、言語や習慣、コミュニティが、ある。

  • ハワイの歴史と文化について、特に日本との関わり、
    移民した日系人の歴史、文化、暮らしぶりを中心に描く。
    内容は分かりやすく読みやすい。
    考えさせられる点もあり、入門書として適していると感じた。

  • ハワイの歴史と文化ということですが、ハワイに移住した日系ハワイ人の歴史に重点がおかれた本です。そのため、我々日本人が読むと、日系人の視点でハワイの歴史を学ぶことができるので、その点興味深く読むことができます。

    従って、ネイティブハワイアンのことについて、もっと深く知りたい人にとってはやや不満な内容に思えます。

    そんな本ですが、ネイティブハワイアンの西洋文明への対処の仕方は、日本の明治維新のようにある意味成功していて、ハワイアンのポテンシャルの高さに唸らされます。いや、日本以上に原始的であったと思われるハワイアン、特にカメハメハ大王が、西洋の文明を取り入れながらハワイを統一し、その後も近代国家を成立させるなどは、彼のリーダーシップと組織力に関心させられます。

    もっと詳しいハワイアンの歴史が知りたくなりました。

  • ピクチャーブライドの話は初耳だったので、現地で娘の結婚式の司式をした牧師に訪ねてみたら、よく知っていた.これもハワイの歴史なのだと感じた.実際に現地でワイキキの海岸を歩くと、平日にあのような人数の各国人がバカンスを楽しんでいることに驚いた.

  • ハワイの歴史といっても、太古からの歴史ではなく、近代の移民の話が中心に書かれている印象。

  • 目次:プロローグ、第I章 移民たちのハワイ、第II章 リメンバー・パール・ハーバー、第III章 「憧れのハワイ航路」、第IV章 これからのハワイ、エピローグ、注記、参考文献、ハワイ史年表、ハワイの音楽

  • 先日、マウイ島→オアフ島と観光してきました。

    マウイ島の畏怖の念を起こさせるような自然のすばらしさに感動しきっていた私は、オアフ島はワイキキのすっかり観光地化されてしまった様、また現地を歩く日本人、そのハワイ独自の文化を知ろうという気が全くないかのような(現在の観光地として飼いならされてしまった状態=ハワイと捉え、その背景に全く疑問を抱かないような無邪気すぎる観光客としての)姿勢に、何故かいいようのない憤りのようなものを感じてしまい(自分だって初ハワイのくせに…)、一方で自分もハワイの歴史を何も知らないことが悔しく、帰国後すぐに借りて読みました。
    我ながら、あんなリゾート島において、こんな釈然としない思いを抱えてしまうなんて因業な性格だと思いましたが…。

    やはり私が現地で感じたとおり、ある日突然、西欧文化を受け入れざるを得なくなった島・ハワイでは、さまざまな文化の蹂躙、軋轢、葛藤、差別などを抱えながら、現在の状態にたどり着いていました。

    観光がメイン産業となってしまった今、ハワイが現在の姿になっているのは仕方がないとも言えるのですが、それでもあの美しい島に身売りをさせてしまっているような、そんな気がしてしまって心苦しくなるのは否めません。

  • [ 内容 ]
    ハワイ―世界中の観光客を魅了する太平洋の美しい島島。
    十八世紀以来、欧米、そしてアジア諸国から多くの移民が来島し、定着・活動してきた。
    しかし、異人種、異文化との接触が、ネイティヴ・ハワイアンに苛酷な歴史を強いてきたことも忘れてはならない。
    本書は、日本との交流に光をあてながら、楽園イメージの奥に横たわる、もう一つの現実を浮かび上がらせ、ハワイ文化の力強い流れを描き出すものである。

    [ 目次 ]
    第1章 移民たちのハワイ(サトウキビとピクチャーブライド;移民到来;日本人移民の生活;戦後の日系アメリカ人)
    第2章 リメンバー・パール・ハーバー(パール・ハーバー攻撃の日;戒厳令下のハワイ社会;戦時下の日系人;戦争の言説)
    第3章 「憧れのハワイ航路」(日本からのハワイ観光;ハワイ観光団;バブルとハワイ観光;観光王国ハワイ)
    第4章 これからのハワイ(南の島のハメハメハ大王;ハワイ小史;あらたな「伝統」)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ハワイ在住の日本人は第二次世界大戦開始時に全体の半分だったということに衝撃を受ける。
    それで爆撃を受けた際はすごく大変だっただろう。
    100年前の移民の歴史など、知らなかったことばかり。

    ただの楽園の土地ではない、ハワイ(特にハワイ島)などの歴史が分かる本。

  • ひろくポリネシア文化や神話、性愛観(例えば、ハワイ王室の近親婚とか、太平洋民族に共通する同性間の性愛行為、などのトピックに関する言及も乏しいため、題名と中身とがそぐわないのではないかとの感にとらわれました。

  • 私たちには「南の楽園」というイメージしかないハワイ。

    ハワイのサトウキビ産業が好調になり、人手不足の解消として日本からの移民を募ったのは明治のこと。
    そんな移民の苦労はもちろん、ネイティブ・ハワイアンの苦労の他、ハワイの産業の移り変わりを含め痛々しい歴史も知ることのできる本。

  • 図書館で借りて思わず欲しくなり買った。

  • 現代の「ハワイ」についてしか興味がない人にぜひ読んでいただきたいと思いました。新書なんで詳しくないかもしれませんが歴史を知る入門書になります!

全16件中 1 - 16件を表示

ハワイの歴史と文化―悲劇と誇りのモザイクの中で (中公新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

ハワイの歴史と文化―悲劇と誇りのモザイクの中で (中公新書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ハワイの歴史と文化―悲劇と誇りのモザイクの中で (中公新書)を本棚に「積読」で登録しているひと

ハワイの歴史と文化―悲劇と誇りのモザイクの中で (中公新書)の作品紹介

ハワイ-世界中の観光客を魅了する太平洋の美しい島島。十八世紀以来、欧米、そしてアジア諸国から多くの移民が来島し、定着・活動してきた。しかし、異人種、異文化との接触が、ネイティヴ・ハワイアンに苛酷な歴史を強いてきたことも忘れてはならない。本書は、日本との交流に光をあてながら、楽園イメージの奥に横たわる、もう一つの現実を浮かび上がらせ、ハワイ文化の力強い流れを描き出すものである。

ハワイの歴史と文化―悲劇と誇りのモザイクの中で (中公新書)はこんな本です

ハワイの歴史と文化―悲劇と誇りのモザイクの中で (中公新書)のKindle版

ツイートする