人口減少社会の設計―幸福な未来への経済学 (中公新書)

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  • 中央公論新社 (2002年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016461

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人口減少社会の設計―幸福な未来への経済学 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 人口が減少する日本の社会設計論。2002年刊行です。

    「はじめに」において、本書は以下のように主張しています。

    「人が減るのは悪いことではない。要は人口の減少にどう対応するかの問題である。もし経済や社会に悪影響があるとすれば、それは対応を誤ったことによるものであって、人口の減少それ自体の問題ではない。」

    著者らは、日本において今後人口の減少は避けられないが、その大きな変化に順応すれば、幸福な社会を築くことは十分に可能だと論じます。

    本書では多くの予測シミュレーションを用いて、主として経済的な観点から今後の対応策の議論を行っており、右肩上がりが通常の過程と見なされてきたこれまでの経済学ではなく、今後は右肩下がりを通常の過程と見なした経済学が必要になるであろうという主張がなされています。

    人口動態は社会・経済に与えるインパクトが非常に大きいですが、幸福な未来を築く方法を考える上での気付きを本書は与えてくれます。

  • 2002年に書かれた本だが、恐ろしいほどこの10年の社会動向が正確に予見されている。マクロトレンドの大部分は人口動態だけで説明がつくような気さえする。
    ただその処方箋に関しては、本当にそれでいいのかな?と思うものもある。ここまで少子化が進むと多少の出生率の増加では焼け石に水であり、人口減少を前提とした社会構造への変革が必須だということは理解できた。一方で最も大きな課題である医療費の増加を食い止めるために、公的保険で受けられる医療技術の上限を定めて、”貧乏人は金がなくなった時点で死を受け入れよ”という政策の導入が提言されているが、それが社会不安を起こさずに実現可能なのかどうか。もう一つ薬価の引き下げ等による供給サイドの費用削減は、医薬品メーカーの収入減につながって継続的な新薬開発が進まなくなることはないのか?
    とは言え、いろいろ考えさせてくれる良書ではある。

  • 右肩下がり経済の分析と日本の将来像・処方箋につき、物理学(閉鎖空間内の使用可能エネルギーは有限で、右肩下がりは通常の過程とみる思考)の発想から、マクロ経済的に分析したもの。2002年刊行だが、十分に面白い。もちろん、マクロ分析に特化しているため、著者想定の条件をミクロ的には成就できない時について、やや楽観視しすぎの観がある。けだし、合成の誤謬が生じない保証はないからだ。また、既得権を政治的に解体することの困難さもやや甘く見積っていると思う。が、発想の転換ができた本書が個人的に有益であったことは確かだ。

  • 少し難しいが、考えさせてくれる本。

  • マクロ経済的な視点に立って理論を展開させている。著者の主張は「人口減少社会は人々を不幸にするものではなく、悲観する必要はない」で一貫しているがあまりに美しい展開にその主張を盲信する事はきけんであると感じる。これは一主張であり、自然の流れに任せて幸福な社会を実現できない場合でも持続可能になせる方法を構築する必要がある。
    ただし、新しい発見が多い本であり、世の中を見る視点を増やすことができる。

  • ん~。期待はずれでした。

    人口が減ることについて、3つほど問題があるかなーと僕は思います。
    1、需要の減少による企業活動の縮小
    2、社会保障システムの機能不全
    3、国の財政規律の復帰が難しくなる

    この本は、1に関してはよく説明していました。日本型の、「売上主義」から脱却し、「収益主義」になることで、人口減社会のなかでも対応することができるというのは納得しました。

    ただ、2について。保険については述べられていました(でも、保険料の国民の自己負担が増えざるを得ないという結論でお茶を濁したようにしか思えない)。ただ、その他の年金の部分、つまり僕らが一番気になる部分については全く触れられておらず、非常に不満です。

    3についてはまったく述べられていないです。

    よって、「人口減社会は悪くない」みたいな主張をするにあたって、少し見当が不足しているのでは?と思いました。

    それに加えて、「幸せは余暇時間と給料のバランス」(一理あるけど。)とか、数字の根拠の危うさとか、気になるところがいっぱいありました。

    一理あるなぁと思ったところもありました。例えば、国際の自由競争に任せつつも国家として戦略を持って何かの産業を育てないといけない、という発想や金融業界をもっと育てないといけないという主張。その通りだと思います。

    あと、とにかく人口減社会である日本は、GDPの減少も、これからはある程度目をつぶらないといけなくて、それが景気後退によるものなのか如何をこれからは見極めていかないといけないんだなあとも、思いました。

    しかしまあ、これを読んで、結局少子高齢化への不安が20パーセントぐらいしか解消されなかったので、早く結婚して子供産んで、子ども手当をもらいながら日本の人口増に貢献したいなぁと思います!笑

  • 人口減少を食い止めようとするのでなく、それを前提条件として新たな社会設計を考える。

    人口減少とは、すなわち経済規模の縮小。
    だから経済成長は止まる。
    本書は、まず幸せとは何かというところが導入部だ。
    働いた分の賃金でどれだけ物が買えるのか、という観点から、経済成長によって日本人は幸せになったのか、と問う。
    答えはノーだ。
    そのため、経済成長を無理に目指す必要はないと結論付ける。
    よって、現在の社会は右肩上がりの経済成長を前提として設計されているから、それを改めるべき、というのが基本的な主張。

    では具体的にどのような社会にすべきかということを、経済や街づくり、医療等の幅広い分野にわたって述べている。

    経済に関しては、言うまでもなく高付加価値産業。
    これは目新しさはない。
    売り上げ重視から利益率重視へ。
    これも驚きはなく、素直に頷ける。
    設備投資しすぎると、維持コストの増大によって逆に経済は停滞する。
    これは私は「あっそうか」と思ったけれど、経済学的には常識なのかな?
    そして、他産業の競争力低下により、今後は小売業が重要視されるなど。
    これはインターネット販売があるから、個人的には疑問。

    街づくりに関しては、欧米を見習い、老人が街路に溢れるようにベンチを設置するなど。
    これに関しては、割と感覚的な視点から書いているように思った。
    実際のニーズだとか、根拠があまり見えず。

    医療に関しては、市場原理の導入による医療負担削減など。
    なぜなら、医療費は人口減少がなくとも医療技術進歩によって必ず高くなる。
    よって所得による医療格差は必ず広がる。
    加えて高齢化だ。
    この医療に関する部分は、非常に論理的に書かれていて納得できた。
    元々知識のないこともあり、勉強になったと思う。


    文章や内容がかたくてとっつきにくい本ではある。
    しかし、それを乗り越えて一読する価値はあるように思った。

  • [ 内容 ]
    二〇〇六年、日本の人口は減少に転じる。
    急速に進む少子高齢化で、医療や年金など、私たちの生活にさまざまな影響があるのは避けられない。
    だが、人口の減少とは本当に憂慮すべき問題なのだろうか。
    本書では、むしろ居住空間や余暇など質的に充実した社会を確立する好機であることを指摘した上で、すでに人口が減少に転じているヨーロッパの例を参考にしつつ、私たちが直面する課題とその先にある未来像を提示する。

    [ 目次 ]
    第1章 人口減少社会がくる
    第2章 人口増加は何をもたらしたか(人々は幸福になったか 日本経済の問題点)
    第3章 経済・社会の将来像(経済の変質 社会の変化 医療制度の将来)
    第4章 人口減少社会にどう対処するか(日本経済の新しい道 成熟した社会を求めて)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 人口減少で経済は低成長になるけれど、そんなに悲観することないよ、という論旨の本。経済、福祉、人口分布など広い話題がカバーされている。

    過剰な悲観がかえって事態を悪くするよというのはその通りかも。
    いずれにせよ、右肩上がりを前提に設計された今のシステムは、どこかで一度スクラップされなきゃいけないんだろうな。

  • 2冊目です。

    テレビなどで最近の政治家はよくこう言います、「日本は少子高齢化社会だ。2050年には高齢化率が40%にもなる。そうするとどうなるか。
    まず老人ばかりが増え子供が減るから労働力が減少する。問題はそれだけではない。老人の保険料は若者が負担しているのだから
    若者も苦しむことになる。これでは日本が崩壊する。だからもっと女の人は子供を産むべきだ・・・云々」と。

    ですが、子供の数が増えればすべての問題が解決されるのか、いやそれ以前に子供を増やすのはそんなに簡単なことなのか・・
    こういった疑問に政治家は耳を傾けてくれません。せいぜい女性が子供を産みやすい環境を作るとか補助金を出すとかその程度の
    ことでしょう。ですが生みやすい環境を作るといっても具体的にどうするのかとか補助金を出したとしても子供を産まない理由は
    各々違うのだから子供の数は増えないかもしれません。いやそれ以前にそもそも子供を産めばすべて解決するという前提が間違っているのではないか。
    つまり少子化は止まらないという見地に立ってスリムな国家を作るべきではないか。
    そのような考えを示してくれるのが本書「人口減少社会の設計ー幸福な未来の経済学」です。

    内容としては上に書いたように少子化が進むという前提で人口が少ないなら少ないなりの国家を作るべきだ、という発想から
    どのような政策をとるべきか説いています。まず、序盤は戦後の日本経済を振り返ることによりかつての高度成長期のような
    人口が多い段階ではかえって労働生産性を落とし、労働時間が長くなってしまうことを示しています。そして、中盤では現在
    高付加価値のものを生み出す時代になっていることからただ単に労働人口を増やすのではなくむしろ設備投資に費用をかける
    べきだということを主張しています。そして、最後にこれから力を注ぐべき対象として農業分野を例にあげています。それは
    ただ単に農業の効率化ということだけではなくそれぞれの地域に特色のある作物を作りそれを主軸とし農業機器、バイオテク産業
    も発展させるというものです。

    ただ、途中さまざまな経済学で用いるようなグラフが数多く出てくるので
    私のような数学が苦手な人にとってはめんどくさいかもしれません(実際半分ぐらいしか頭に入ってません^^;)
    ですがそれでも本書は普段耳にするような議論とは違った視点を提供してくれるのでいい刺激になると思います。
    もうちょっと経済に詳しくなってもう一度読んでみたいと思います。












  • 講義のレポート本

    2000年〜2030くらいまでの人口減少社会での変化とどういった経済にすればよいのかということが書かれています。
    人口の減少をプラスにとらえているのが特徴

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人口減少社会の設計―幸福な未来への経済学 (中公新書)の作品紹介

二〇〇六年、日本の人口は減少に転じる。急速に進む少子高齢化で、医療や年金など、私たちの生活にさまざまな影響があるのは避けられない。だが、人口の減少とは本当に憂慮すべき問題なのだろうか。本書では、むしろ居住空間や余暇など質的に充実した社会を確立する好機であることを指摘した上で、すでに人口が減少に転じているヨーロッパの例を参考にしつつ、私たちが直面する課題とその先にある未来像を提示する。

人口減少社会の設計―幸福な未来への経済学 (中公新書)はこんな本です

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