言語の脳科学: 脳はどのようにことばを生みだすか (中公新書 1647)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 817
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016478

作品紹介・あらすじ

言語に規則があるのは、人間が言語を規則的に作ったためではなく、言語が自然法則に従っているからである-。こうしたチョムスキーの言語生得説は激しい賛否を巻き起こしてきたが、最新の脳科学は、この主張を裏付けようとしている。実験の積み重ねとMRI技術の向上によって、脳機能の分析は飛躍的な進歩を遂げた。本書は、失語症や手話の研究も交えて、言語という究極の難問に、脳科学の視点から挑むものである。

感想・レビュー・書評

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  • 何回も読み直してきちんと理解したい

  • “言語に規則があるのは、人間が作ったからではなく、自然法則に従っているため“という仮説を検証する。言語をサイエンスの対象と捉え、チョムスキーの言語生得説に対する誤解・批判を脳科学の立場から捉えなおす。

  • 言語の文法はもともと脳に備わっている、という
    考え方にとても共感しました。こちらは2002年発行で
    少し前に発行されたものなので、最新の本を
    読みたくなりました。

  • 卒論で使わせて頂きました。
    手話をテーマに扱ったのですが、手話は言語であることが他のどの本よりも明確に分かりやすく解説されていた。

  • 脳科学の研究を通して言語の謎を解き明かす軌跡を描いている。「脳はどのようにことばを生みだすか」ーこれが究極の問いであると言う。仮説と検証を繰り返して真理に迫ろうとする姿勢はサイエンスそのもので、言語学の多くがいまだに「文系」によって構成されている日本の研究を嘆く氏の言には共感するところが多かった。ブローカ野など大脳の一部が文法上のエラーに反応することまで判明しているのには驚いた。この新書は2002年出版のものなので、最新の研究ではもっと進んでいるのだろう。文法と意味の違いを脳のはたらきを通して捉えるというアプローチも大変奥深いものに思えた。本書によって実証的な言語学にはじめて出遭うことができた。

  •  大学教養課程向きにかなり噛み砕かれた書き振りになっているせいだろう。わかり易さの反面、内容はかなり広範で分量もそれなりにある。言語、進化、脳科学といった領域の往復運動が無理なく理系と文系の考え方を繋げてくれる。言語の本質がヒトならではの特性であることの説明から始まり、全体として、チョムスキーの生成文法を自然科学の仮説と捉えた上で、まず、その仮説の自然科学的な実証方法が示される。人工知能のような自然言語からの応用や手話のような音声に寄らない表現などへと話が進み、外国語学習を含む言語習得という大学生にとっては最も身近な言語の話題で締めくくられる。自然科学的な実証を人文科学の仮説と接合させながら、言語という大きな問題への挑戦がはじまった。

  • 前半はチョムスキー(の言語論)、後半は読字や発話と脳の関係で現時点でわかっていることを紹介する構成。同じ著者による最新のチョムスキー解説が出版されたので、その予習として最適と判断、あまりなじみのないチョムスキーの言語学を読んでみた。

    2章と3章は、スキナーやピアジェへの批判などが紹介されていて読み応えがある。4章は言語学全般についての解説、以降は脳科学に寄った内容となっている。

    読み終えてあらためて著者の最新刊の『チョムスキーと言語脳科学』 (インターナショナル新書)の目次を見てみたが、なんかほとんど一緒じゃね?

  • チョムスキーの生成文法の立場から、脳において文法を司るモジュールが存在しているという仮説を検証するためのさまざまな実験を紹介している本です。

    いわゆる認知言語学的なアプローチではなく、チョムスキーの主張する普遍文法を認知的なアプローチによってたしかめようとする立場がとられているところに、本書の特色があるといえるように思います。

    ただ、こうした立場からの研究プログラムの提示にとどまっているという印象もあります。一方で、とくに日本のアカデミズムにおける文系と理系の断絶、あるいは心理学と言語学の断絶が、著者のような言語についての研究を阻んできたという議論に多くのページが割かれており、言語の科学的研究はどのようにしてなされるべきなのか、という問題に関心をいだく読者にとっては、紹介されている個々の研究成果を知ることができるだけでにはとどまらない、知的刺激を受けることができる内容なのではないかとも感じました。

  • チョムスキーの言語生得説と左脳優位性を中心に 「脳はどのように言語をつくるか」を論証した本。脳科学と言語学を整理しているので わかりやすい。とにかく面白い。人口知能、手話、失語症、バイリンガル、第二外国語 に至るまで 言語というカテゴリーを広げて 論証している

    言語生得説について。言語生得説とは 人は先天的に言語機能を持っているという説。赤ちゃんにも言語機能があるということになる

    言語化までの「脳→心→言語」というプロセスについて。言語は 脳から直接指示されるのではなく、心を通じる。言語は 心の一部であり、言語は 心から生まれ、再び心に返る。自然科学の本で 心が出てくることが意外

  • 新 書 S||491||Sak

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著者プロフィール

言語脳科学者。

「2023年 『高校生と考える 21世紀の突破口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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