詩歌の森へ―日本詩へのいざない (中公新書)

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著者 : 芳賀徹
  • 中央公論新社 (2002年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016560

詩歌の森へ―日本詩へのいざない (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • かぜむかふ欅太樹の日てり葉の青きうづだちしまし見て居り

    みじか夜や浅井に柿の花を汲む

    わたくしはまいります あの山々をこえ河をよぎって
    もう路のべの花も摘みませぬ
    獣たちもこわくはありませぬ
    お城も関所も押しひらいてまいります(聖霊愃歌)

    こなた思へば 野もせも山も 薮も林も 知らで来た/山家鳥虫歌

    雲の峯幾つ崩れて月の山/松尾芭蕉

    暑き日を海に入れたり最上川/松尾芭蕉

    月落ちてさ夜ほの暗く未だかも弥勒は出でず虫鳴けるかも/斎藤茂吉

    さ夜なかに地下水の音きけば行きとどまらぬさびしさのおと/同上

    最上川の鯉もねむらぬ冬さむき真夜中にしてものおもひけり/同上

    ぬばたまの夜さり来れば巻向の川音高しも嵐かも疾き/柿本人麻呂

    さ夜中と夜は深けぬらし雁が音の聞こゆる空に月渡る見ゆ/同上

    ぬばたまの夜のふけぬれば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く/山部赤人

    ●蜻蛉/李箱

    ポプラの村の指標のやうに
    少しの風にも
    あのすつきりした長身を
    物線に曲げながら 真空のやうに澄んだ空気の中で
    遠景を縮小してゐます。

    身も羽も軽々と蜻蛉が飛んでゐます
    あれはほんたうに飛んでいるのでせうか
    あれは真空の中でも飛べさうです
    誰かゐて 眼に見えない糸で操ってゐるのではないでせうか



    秋近き心の寄や四畳半/松尾芭蕉



    昼は心の乱れの多き事を厭ひ、夜は夜を専らとし、でうす共に明し奉るべき事を望み、如何なる秋の夜の長きをも長しと覚えず、明けなんとするを苦しむ者也。月朗らかに風涼しく、星の林のさやかなるを眺むれども、更にうき世の人の眺めに等しからず、御作者の艶かなるしるべとする也/『ぎやどぺかどる』(キリシタン)



    さ夜中と夜は深けぬらし雁がねの聞こゆる空に月渡る見ゆ/万葉集・柿本人麻呂



    わたくしのいとしいひとは そびえる山々
    影深いひそかな谷間
    不思議の島々
    音たててゆくゆたかな流れ
    愛をつたえる 風のそよぎ

    暁をはらんで
    満ちわたる夜
    音もなく湧きのぼる音楽
    喨々と鳴る孤独
    愛の火を燈らせる夜半の点心

    (『ぎやどぺかどる』)



    冬ごもり 壁をこころの 山に倚
    鍋敷に山家集有り冬ごもり
    冬ごもり妻にも子にもかくれん坊
    居眠りて我にかくれん冬ごもり
    うづみ火や我かくれ家も雪の中/与謝蕪村
    屋根ひくき宿うれしさよ冬ごもり

  • 大好き!なんて美しい豊かなんだろう。

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詩歌の森へ―日本詩へのいざない (中公新書)の作品紹介

一篇の詩が、苦境から脱出するきっかけになったり、人情の奥行きをかいま見せたりすることは、誰しも経験するだろう。そんな、心に働きかけてくる詩を知れば知るほど、人生は豊かになる。本書は、記紀万葉のいにしえから近現代までの、日本語ならではの美しい言葉の数々を紹介するエッセイである。古今東西の文学・芸術に精通した著者が、みずからの体験を回想しつつ、四季折々の詩歌味読のコツを伝授する。

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